乳がんと診断された男女2万5千例以上を対象とした研究で、BRCA1/2病的バリアント保持者における二次原発がんリスクの高さが明らかになった。英国・ケンブリッジ大学のIsaac Allen氏らによるJournal of Clinical Oncology誌オンライン版2024年10月29日号掲載の報告より。
本研究では、1995~2019年に英国国民保健サービス(NHS)臨床遺伝学センターで乳がんと診断され、生殖細胞系列のBRCA遺伝子検査を受けた女性2万5,811例と男性480例について、二次原発がん診断、死亡、国外移住、対側乳房/卵巣手術の1年後または2020年12月31日まで追跡調査が行われた。
英国の一般人口における罹患率を使用した標準化罹患比(SIR)、Cox回帰法によりBRCA1/2病的バリアント保持者と非保持者を比較したハザード比(HR)、およびKaplan-Meier法による10年累積リスクが推定された。
主な結果は以下のとおり。
・女性のBRCA1病的バリアント保持者は1,840例、BRCA2病的バリアント保持者は1,750例であった。
・一般人口と比較すると、BRCA1病的バリアント保持者は対側乳房(SIR:15.6、95%信頼区間[CI]:11.8~20.2)、卵巣(44.0、31.4~59.9)、非乳房/卵巣の複合(2.18、1.59~2.92)、大腸(4.80、2.62~8.05)、および子宮内膜(2.92、1.07~6.35)における二次原発がんリスクが高かった。
・BRCA2病的バリアント保持者は対側乳房(SIR:7.70、95%CI:5.45〜10.6)、卵巣(16.8、10.3〜26.0)、膵臓(5.42、2.09〜12.5)、および非乳房/卵巣の複合(1.68、1.24〜2.23)における二次原発がんリスクが高かった。
・検査でBRCA1/2病的バリアントが認められなかった女性と比較すると、BRCA1病的バリアント保持者は対側乳房(HR:3.60、95%CI:2.65〜4.90)、卵巣(33.0、19.1〜57.1)、非乳房/卵巣の複合(1.45、1.05〜2.01)、および大腸(2.93、1.53〜5.62)における二次原発がんリスクが高かった。
・BRCA2病的バリアント保持者は、対側乳房(HR:2.40、95%CI:1.70〜3.40)、卵巣(12.0、6.70〜21.5)、および膵臓(3.56、1.34〜9.48)における二次原発がんリスクが高かった。
・10年累積リスクは、対側乳房、卵巣、および非乳房/卵巣の複合について、BRCA1病的バリアント保持者では16%/6.3%/7.8%であり、BRCA2病的バリアント保持者では12%/3.0%/6.2%、非保持者では3.6%/0.4%/4.9%であった。
・男性では、BRCA2病的バリアント保持者は非保持者と比較して、対側乳房(HR:13.1、95%CI:1.19〜146)、および前立腺(5.61、1.96〜16.0)における二次原発がんリスクが高かった。
(ケアネット 遊佐 なつみ)