再発・転移子宮頸がんへのtisotumab vedotin、日本人でも有望な結果/日本癌治療学会

提供元:ケアネット

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公開日:2024/11/11

 

 再発・転移子宮頸がんに対する新規ADC・tisotumab vedotinは、担当医師の選択による化学療法と比較して全生存率を有意に改善したことが昨年の欧州臨床腫瘍学会(ESMO2023)で報告された。この国際共同第III相ランダム化非盲検試験innovaTV 301の日本人のサブグループの解析結果を、第62回日本癌治療学会学術集会(10月24~26日)において久留米大学の西尾 真氏が発表した。

・対象:再発・転移子宮頸がん患者(化学療法+ベバシズマブ、抗PD-(L)1療法後に病勢進行)
・試験群:tisotumab vedotin(2.0mg/kg、3週ごと:TV群)
対照群:医師選択の化学療法(トポテカン、ビノレルビン、ゲムシタビン、イリノテカン、ペメトレキセド:CT群)
・評価項目:
[主要評価項目]全生存期間(OS)
[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性

 主な結果は以下のとおり。

・全体集団502例中、日本人は101例(TV群50例、CT群51例)だった。日本人サブグループは年齢中央値50歳、92%が転移、63%がベバシズマブ、9%が抗PD-(L)1療法を受けていた。2023年7月24日のデータカットオフ時点における追跡期間の中央値は13.7ヵ月だった。

【OS】
(中央値)
全体:TV群11.5ヵ月(95%信頼区間[CI]:9.8~14.9)、CT群9.5ヵ月(95%CI:7.9~10.7)
日本人:TV群15.0ヵ月(95%CI:9.7~NE)、CT群8.5ヵ月(95%CI:6.8~10.6)

(ハザード比)
全体:0.70(95%CI:0.54~0.89)
日本人:0.45(95%CI:0.27~0.77)

【PFS】
(中央値)
全体:TV群4.2ヵ月(95%CI:4.0~4.4)、CT群2.9ヵ月(95%CI:2.6~3.1)
日本人:TV群4.0ヵ月(95%CI:3.0~4.4)、CT群2.0ヵ月(95%CI:1.5~3.0)

(ハザード比)
全体:0.67(95%CI:0.54~0.82)
日本人:0.63(95%CI:0.42~0.95)

【ORR】
全体:TV群17.8%、CT群5.2%
日本人:TV群24%、CT群2%

・日本人サブグループにおける主な治療関連有害事象は、TV群では結膜炎(47%[Grade3以上0%])、悪心(39%[0%])、末梢感覚神経障害(37%[2%])、CT群では悪心(42%[6%])、貧血(42%[21%])、好中球減少症(24%[20%])、好中球数減少(24%[12%])であった。

 西野氏は「innovaTV 301試験の日本人サブグループの解析結果は全体集団と一致しており、TVはCTと比較してすべての評価項目で有意な改善をもたらし、安全性プロファイルも同等だった。TVは再発転移子宮頸がんの日本人患者において、化学療法後の次療法として有望だろう」とまとめた。

 この結果を受け、tisotumab vedotinは2次または3次治療の再発または転移を有する子宮頸がんを適応として、日本における承認申請が行われている。

(ケアネット 杉崎 真名)

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