産婦人科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:4

体外受精、タイムラプスイメージングシステムは有益か/Lancet

 体外受精(in-vitro fertilisation:IVF)あるいは顕微授精(intracytoplasmic sperm injection:ICSI)の治療を受ける女性において、胚の培養および選択にタイムラプスイメージングシステムを用いても、これを用いない標準治療と比較して生児出産率の有意な上昇は認められなかった。英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のPriya Bhide氏らが、多施設共同二重盲検無作為化試験の結果を報告した。タイムラプスイメージングシステムの使用は、胚を培養器から取り出さずundisturbedな培養状態で評価ができること、異常な胚の発育イベントを見逃さない利点があり、胚の選択を改善すると考えられること、およびその両者によってIVFやICSI治療を改善する可能性があるが、その有益性については明らかにされていなかった。Lancet誌2024年7月20日号掲載の報告。

重症HDFNのリスクが高い妊婦、nipocalimabが胎児輸血を抑制/NEJM

 早期発症の重症胎児・新生児溶血性疾患(HDFN)では、母体の抗赤血球IgG同種抗体が経胎盤的に胎児に移行することで胎児貧血が引き起こされ、これによる胎児水腫や胎児死亡を回避するために高リスクの子宮内胎児輸血が行われている。米国・テキサス大学オースティン校のKenneth J. Moise氏らは「UNITY試験」において、重症HDFNのリスクが高い妊娠では、胎児性Fc受容体(FcRn)阻害薬nipocalimabが、過去の基準値(historical benchmark)と比較して胎児貧血とこれに対する胎児輸血を遅延または予防することを示した。研究の成果は、NEJM誌2024年8月8日号に掲載された。

HIV感染症完治と見られる7例目の症例が報告される

 あるドイツ人男性が、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染症が完治した7人目の患者となったと、シャリテ・ベルリン医科大学(ドイツ)のOlaf Penack氏らが報告した。報告書の中で「次のベルリンの患者(next Berlin patient)」と表記されているこの60歳の男性は、2015年10月に急性骨髄性白血病の治療のため幹細胞移植を受けていた。彼は2018年9月、エイズを引き起こすウイルスであるHIVを抑制するために必要な抗レトロウイルス薬の服用を中止したが、それ以来、約6年間にわたってHIVが検出されていないという。この症例については、同医科大学のChristian Gaebler氏が、第25回国際エイズ会議(AIDS 2024、7月22~26日、ドイツ・ミュンヘン)で報告予定。

AI搭載超音波デバイス、妊娠週数を正確に推定/JAMA

 超音波検査の訓練を受けていない初心者でも、AI搭載超音波デバイスを用いた低コストのポイント・オブ・ケア検査なら、認定超音波検査技師が高性能機器を用いて行う標準的な測定と同等の精度で、妊娠14~27週の妊娠週数(GA)が推定できることを、米国・ノースカロライナ大学チャペルヒル校のJeffrey S. A. Stringer氏らが前向き診断精度研究の結果で報告した。GAの正確な評価は適切な妊娠ケアに不可欠であるが、多くは超音波検査が必要であり、医療資源の少ない環境では利用できない場合があった。JAMA誌オンライン版2024年8月1日号掲載の報告。

浸潤性子宮頸がん、HPV遺伝子型別の有病率を解明/Lancet

 ヒトパピローマウイルス(HPV)の遺伝子型別に浸潤性子宮頸がん(ICC)の有病率を把握することは、1次予防(すなわちワクチン接種)および2次予防(すなわちスクリーニング)のターゲットとすべきHPV遺伝子型を明らかにすることを可能とする。フランス・国際がん研究機関(IARC/WHO)のFeixue Wei氏らは、各HPV遺伝子型のICCとの因果関係を明らかにするために、世界レベル、地域レベルおよび各国レベルのHPV遺伝子型別の人口寄与割合(AF)をシステマティックレビューにより推定した。Lancet誌2024年8月3日号掲載の報告。

日本人の子宮頸がんに対するペムブロリズマブ+同時化学放射線療法(KEYNOTE-A18)/日本婦人科腫瘍学会

 局所進行子宮頸がん(LACC)に対する同時化学放射線療法(CCRT)へのペムブロリズマブの上乗せは、日本人患者においてもグローバルと同様に無増悪生存期間(PFS)の改善傾向を示した。  1999年以降、LACCの標準治療は、化学療法と外部照射放射線治療(EBRT)の併用とその後の小線源療法へと続くCCRTである。現在、CCRTの効果をさらに高めるために免疫チェックポイント阻害薬の上乗せが検討されている。  KEYNOTE-A18試験(ENGOT-cx11/GOG-3047)は未治療の高リスクLACCにおいてペムブロリズマブ+CCRTとCCRT単独を比較した第III相試験である。

HPVワクチンのキャッチアップ接種推進に向けて/日医

 日本医師会(会長:松本 吉郎氏[松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長])は、定例会見を開催した。会見では、「2025(令和7)年度の予算要求要望」について、「医療DXの適切な推進、地域医療への予算確保、新興感染症などへの予算確保」ならびに事項要求として「物価高騰・賃金上昇への対応」を厚生労働省に要望したことが報告された。また、医師会が日本医学会との協力で発行している英文ジャーナル「JMA Journal」が「1.5」(クラリベイト社発表)のインパクトファクターを取得したことも報告された。そのほか、2024年9月末に期限が迫っている「HPVワクチンキャッチアップ接種推進に向けて」について医師会の取り組みが説明された。

世界では、HIV予防は新しい時代へ(解説:岡慎一氏)

Pre-Exposure Prophylaxis(PrEP)と呼ばれる、HIV感染リスクがある人に対する予防法の研究が、欧米を中心に盛んに行われていたのは、2010年前後である。その結果をもとに2012年には、米国でPrEPが、HIV感染予防法として承認された。当時の方法は、TDFとFTCという2剤の合剤(ツルバダ錠)を1日1回経口服用するというものであった。その後、ほぼ世界中でツルバダ錠によるPrEPは承認された。これに対し、日本では、2024年9月頃にやっとツルバダ錠によるPrEPが承認される予定である。まさに、12年という十二支の周回遅れである。先進国でPrEPが認可されていなかったのは、もちろん日本だけである。

cfDNAでHER2陽性の固形がん、T-DXdの奏効率56.5%(HERALD)/JCO

 抗HER2抗体薬物複合体トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)は、前治療歴があり代替の治療手段のない切除不能または転移を有するHER2陽性(IHC 3+)固形がんについて、米国食品医薬品局(FDA)より2024年4月に迅速承認を取得している1)。本承認は、組織検体をもとにHER2陽性(IHC3+)が認められた患者での有効性が評価されており、リキッドバイオプシー検体でも同様の結果が得られるかは、明らかになっていなかった。そこで、血中遊離DNA(cfDNA)でERBB2(HER2)遺伝子増幅が検出された切除不能固形がん患者を対象に、医師主導治験として、国内多施設共同第II相単群試験「HERALD/EPOC1806試験」が実施された。その結果、対象患者は前治療ライン数中央値3であったが、奏効率(ORR)は56.5%と高率であった。本研究結果は、八木澤 允貴氏(いまいホームケアクリニック)らによって、Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2024年8月1日号で報告された。

産後の尿失禁、身体的にも精神的にも大きな負担に

 尿失禁は産後の後遺症として頻発する症状の1つだが、新米の母親に重大な影響を与える可能性のあることが、米テキサス大学(UT)サウスウェスタン医療センター産科婦人科教授のDavid Rahn氏らによる研究で示された。Rahn氏らによると、こうした産後の尿もれ症状が不安や抑うつ症状に有意に関連していることが明らかになったという。この研究結果は、「Urogynecology」に4月30日掲載された。  Rahn氏は、「尿失禁がひどいと、孤立感や恥ずかしさを感じ、社会的なつながりを持つことが難しくなる。尿失禁によって精神的な問題に苦しむようになる可能性のあることは想像に難くない」と話す。