産婦人科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:38

4価HPVワクチン、浸潤性子宮頸がんリスクを大幅に低減/NEJM

 スウェーデンの10~30歳の女児および女性は、4価ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種により、浸潤性子宮頸がんのリスクが大幅に低く、同リスクは接種開始年齢が若いほど低いことが、スウェーデン・カロリンスカ研究所のJiayao Lei氏らの調査で明らかとなった。研究の詳細は、NEJM誌2020年10月1日号に掲載された。これまでに、子宮頸部高度異形成(Grade2または3の子宮頸部上皮内腫瘍[CIN2+、CIN3+])の予防における4価HPVワクチンの効能と効果が確認されている。一方、4価HPVワクチン接種と接種後の浸潤性子宮頸がんリスクとの関連を示すデータはなかったという。

KRASG12C阻害薬sotorasib、進行固形がんに有望/NEJM

 複数の前治療歴のあるKRAS p.G12C変異が認められる進行固形腫瘍の患者に対し、sotorasibは、有望な抗腫瘍活性を示したことが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのDavid S. Hong氏らによる第I相臨床試験の結果、報告された。Grade3または4の治療関連毒性作用の発生は11.6%であった。sotorasibは、開発中のKRASG12Cを選択的・不可逆的に標的とする低分子薬。KRAS変異をターゲットとしたがん治療薬は承認されていないが、KRAS p.G12C変異は、非小細胞肺がん(NSCLC)では13%、大腸がんやその他のがんでは1~3%で発生が報告されているという。NEJM誌2020年9月24日号掲載の報告。

卵巣がん・卵管癌・腹膜癌治療ガイドライン 2020年版発刊

 日本婦人科腫瘍学会は、「卵巣がん・卵管癌・腹膜癌治療ガイドライン 2020年版」を8月31日に発刊した。5年ぶりの改訂となる2020年版には、妊孕性温存や漿液性卵管上皮内癌(STIC:Serous tubal intraepithelial carcinoma)、分子標的薬、PARP阻害薬などに関する新たな情報も追加され、手術療法、薬物療法のクリニカルクエスチョン(CQ)が大幅に更新された。そのほか、推奨の強さの表記は「推奨する」「提案する」に一新され、臨床現場ですぐに役立つ治療フローチャートや全45項のCQが収載されている。

HPVワクチン啓発 産婦人科・小児科・行動科学の力を合わせて

 子宮頸がん等の原因となるヒトパピローマウイルスへの感染を防ぐHPVワクチンの有用性・安全性は医療者の間では既知の事実だ。諸外国では高い割合で接種されているが、日本は積極的接種勧奨が中止されたまま、接種率は1%と危機的な状況にある。この現状を変えるために医師たちが立ち上げたのが「一般社団法人 みんパピ!みんなで知ろうHPVプロジェクト」だ。  8月25日に行われた設立説明会で、産婦人科、小児科、そして行動科学の観点からのこの状況を変えるための課題と団体の取り組みが共有された。

周産期うつ病に対するピアサポート介入の有効性~メタ解析

 周産期うつ病の予防や治療に対する代替アプローチとして、ピアサポート介入が有効である可能性が示唆されているが、出産前および産後の有効性、経済性、満足度については、あまりわかっていない。中国・湖南医薬学院のRuirui Huang氏らは、周産期うつ病に対するピアサポート介入の有効性、経済性、満足度に関する利用可能なエビデンスをレビューした。Journal of Affective Disorders誌2020年7月15日号の報告。  英語および中国語の複数の電子データベースより、2019年4月までのエビデンスを検索した。リファレンスのハンドサーチも行った。周産期うつ病を対象としたピアサポート介入について報告されたランダム化比較試験を抽出した。エビデンスの質は、Cochrane risk of bias toolを用いて評価した。

妊婦の定期健診とSARS-CoV-2感染リスクの相関は?/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック時に懸念されたことの1つに、患者の受診自粛がある。しかし、医療機関を訪れることが感染リスクにどう影響するかについては、十分に明らかになっていない。本研究は、米国・Brigham and Women's HospitalのSharon C. Reale氏らの研究チームが、コロナパンデミックの中にあっても定期的な診察が必要だった妊婦を対象に、受診回数がSARS-CoV-2感染のリスクと関連しているかどうかを検証した。JAMA誌オンライン版2020年8月14日号リサーチレターでの報告。  本研究の対象は、2020年4月19日~6月27日(産科患者全員が入院時にSARS-CoV-2のRT-PCR検査を実施した期間)にマサチューセッツ州ボストンの4つの医療機関で出産した2,968例。

超低出生体重児輸血戦略、非制限vs.制限/JAMA

 1,000g未満の超低出生体重児において、非制限輸血は制限輸血と比較して、補正年齢24ヵ月時点の死亡または障害発生の確率を抑制しなかった。ドイツ・テュービンゲン大学病院小児科部門のAxel R. Franz氏らが、欧州36施設・1,013例の新生児を対象とした無作為化試験「ETTNO試験」の結果を報告した。超低出生体重児には赤血球輸血治療が行われるが、エビデンスに基づいた輸血閾値は確定されていない。先行研究では、制限輸血を受けた新生児で認知障害の発生率が高いことが示されていた。JAMA誌2020年8月11日号掲載の報告。

卵巣腫瘍の悪性度診断に最適な予測モデルは?/BMJ

 卵巣腫瘍で手術または保存療法を受けた患者における診断予測モデルを検証した結果、ADNEXモデルとSRRiskが、腫瘍が良性か悪性かを識別する最適なモデルであることが、ベルギー・ルーヴェン・カトリック大学のBen Van Calster氏らによる検討で明らかにされた。卵巣腫瘍では最適な治療を選択するため、悪性度を予測するモデルが必要になる。既存の予測モデルは手術を受けた患者のデータのみに基づいており、モデルの検証も大半が手術を受けた患者のデータを使用したもので、キャリブレーションや臨床的有用性の評価はほとんど行われていないという。BMJ誌2020年7月30日号掲載の報告。

認知症と女性の生殖期間との関係

 85歳以上の女性は、同年齢の男性よりも認知症の発症リスクが高い。これには、内因性エストロゲンの影響が示唆されている。スウェーデン・ヨーテボリ大学のJenna Najar氏らは、内因性エストロゲンが認知症リスクに及ぼす影響を調査するため、縦断的研究を行った。Alzheimer's & Dementia誌オンライン版2020年6月23日号の報告。  スウェーデン・ヨーテボリ市在住の自然閉経後の女性1,364例を追跡した(追跡期間:1968~2012年)。内因性エストロゲン(初潮年齢、閉経年齢、妊娠回数、母乳育児の月数)に関する情報は、1968~1992年のインタビューより収集した。認知症の診断は、神経精神医学的検査および情報提供者のインタビューによる情報に基づいて確立された基準に従い実施した。

妊娠初期のジカウイルス感染で児の脳・眼の異常が増加/NEJM

 コロンビアでは、2015~16年にジカウイルス感染症(ZVD)のアウトブレイクが発生した。コロンビア・Instituto Nacional de SaludのMartha L. Ospina氏らは、同国内のサーベイランスシステムのデータを用い、ZVDのアウトブレイクが妊娠アウトカムに与えた影響について分析し、乳児/胎児の脳・眼障害有病率はアウトブレイク期間中のほうがアウトブレイク直前や発生後より高く、ジカウイルスRNA検査で陽性が確認された妊婦における乳児/胎児の脳・眼障害有病率は妊娠初期のZVD発症で増加したことを報告した。NEJM誌2020年8月6日号掲載の報告。