感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:155

COVID-19、31ヵ国716例にみる皮膚科症状の特徴は?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、特徴的な皮膚科症状が認められると伝えられている。米国・ハーバード大学医学大学院/マサチューセッツ総合病院皮膚科部門のEsther E. Freeman氏らは、それらの皮膚科症状を特徴付け、根底にある病態生理の解明を促進する目的で、国際レジストリの症例集積研究を行った。その結果、多くの症状は非特異的であったが、COVID-19の病態生理における潜在的な免疫や炎症性反応の解明に役立つ可能性がある知見が得られたという。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2020年7月2日号掲載の報告。  研究グループは、米国皮膚科学会および国際皮膚科学会連盟の国際レジストリを用いて症例集積研究を行い、COVID-19が確認または疑われ、新規発症の皮膚科症状が認められた患者のデータを分析した。

バロキサビル、インフルエンザの家族間感染予防に有効/NEJM

 インフルエンザの家族間感染予防に、バロキサビル マルボキシル(商品名:ゾフルーザ、以下バロキサビル)の単回投与が顕著な効果を示したことが報告された。リチェルカクリニカの池松 秀之氏らによる多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果で、NEJM誌オンライン版2020年7月8日号で発表された。バロキサビルは、ポリメラーゼ酸性タンパク質(PA)エンドヌクレアーゼ阻害作用を有し、合併症リスクの高い外来患者などを含む合併症のないインフルエンザの治療効果が認められている。しかし、バロキサビルの家庭内での曝露後予防効果については、明らかになっていなかった。

COVID-19死亡例、肺病理所見の特徴は?/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行における主な死因は進行性呼吸不全であるが、死亡例の末梢肺の形態学的・分子的変化はほとんど知られていないという。ドイツ・ヴィッテン・ヘアデッケ大学のMaximilian Ackermann氏らは、COVID-19で死亡した患者の肺組織の病理所見を調べ、インフルエンザで死亡した患者の肺と比較した。その結果、COVID-19患者の肺で顕著な特徴として、重度の細胞膜破壊を伴う血管内皮傷害がみられ、肺胞毛細血管内の微小血栓の有病率が高く、新生血管の量が多いことを確認した。NEJM誌2020年7月9日号掲載の報告。  研究グループは、COVID-19で死亡した患者の剖検時に得られた肺の形態学的・分子的特徴を、インフルエンザで死亡した患者の肺および年齢をマッチさせた非感染対照肺と比較した(米国国立衛生研究所[NIH]など助成による)。

新型コロナ抗体検査「陽性」8例で中和抗体を確認、国内初

 厚生労働省は7月14日、6月に3都府県で実施した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の抗体検査で陽性となった8例について抗体量を測定したところ、全例で実際にウイルス感染阻害機能を持つ抗体量(中和抗体価)が確認されたと発表した。新型コロナウイルスに対する免疫獲得が確認されたのは、国内では初めてとなる。  厚労省は、6月1~7日に東京都・大阪府・宮城県の一般住民それぞれ約3,000名を無作為化抽出して抗体保有調査を実施。

新型コロナ集団免疫は期待薄、感染者25万人のスペインでの調査/Lancet

 スペインで6万人超の国民を対象に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の血清疫学調査を行ったところ、感染蔓延(ホットスポット)地域でさえも大部分の人が血清反応陰性で、PCR検査で確認された大半の症例で検出可能な抗体が認められる一方、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連した症状を有するかなりの人がPCR検査を受けておらず、血清反応陽性者のうち3分の1以上の人が無症状であることが明らかにされた。スペイン・National Centre for EpidemiologyのMarina Pollan氏らが、約3万6,000件の家庭を対象に行った調査の結果で、著者は、「スペインでは、COVID-19の影響が大きいにもかかわらず推定有病率は低いままで、集団免疫の獲得には明らかに不十分である。獲得には多くの死亡者や医療システムへの過度な負担なしにはなし得ない状況にある」と述べ、「今回の結果は、新たなエピデミックを回避するためには、公衆衛生上の対策を継続していく必要性を強調するものであった」とまとめている。Lancet誌オンライン版2020年7月3日号掲載の報告。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)への3剤配合吸入薬治療について(解説:小林英夫氏)-1255

呼吸機能検査において1秒率低下を呈する病態は閉塞性換気障害と分類され、COPD(慢性閉塞性肺疾患)はその中心的疾患で、吸入薬による気道拡張が治療の基本であることはすでに常識となっている。その吸入療法にどのような薬剤が望ましいのか、短時間作用型抗コリン薬(SAMA)、長時間作用型抗コリン薬(LAMA)、短時間作用型β2刺激薬(SABA)、長時間作用型β2刺激薬(LABA)などが登場している。さらに、COPDの一種として気管支喘息要素を合併している病態(ACO)が注目されてからは吸入ステロイド薬(ICS)が追加される場合もある。そして、これら薬剤を個別に使用するより合剤とすることで一層の効果を得ようと配合薬開発も昨今の流れである。

アビガン、ウイルス消失傾向も有意差示せず/多施設無作為化試験

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の無症状および軽症患者に対するファビピラビル(商品名:アビガン)のウイルス量低減効果を検討した多施設非盲検ランダム化臨床試験の最終結果の暫定的な解析から、通常投与群(1日目から投与)は遅延投与群(6日目から投与)に比べて6日までにウイルスの消失や解熱に至りやすい傾向が見られたが、統計学的に有意ではなかったことを、7月10日、藤田医科大学が発表した。本研究の詳細なデータを速やかに論文発表できるよう準備を進めるという。

コロナ自粛でイライラや暴力行為、低年齢ほど傾向強く

 新型コロナウイルスの流行は、感染への不安や恐れもさることながら、さまざまな社会・経済行動の自粛とstay homeによる生活の変化がもたらした緊張やストレスも大きかった。国立成育医療センターは、全国の7~17歳までの子供および0~17歳の子供がいる保護者を対象に、インターネットでアンケートを実施。その回答結果によると、すぐにイライラしたり、自傷や他人への危害といった何らかのストレス反応を呈したりした子供が75%にのぼった一方、保護者の62%が心に何らかの負担を感じていたことがわかり、これまでに経験したことのない自粛生活が親・子の双方に大きく影響を及ぼしていた様子がうかがえる。

COVID-19でみられる後遺症は?/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では、回復後もなお、しつこく残るだるさや息苦しさを訴えるケースが多くみられるが、その実態は不明である。イタリア・ローマの大学病院Agostino Gemelli University PoliclinicのAngelo Carfi氏ら研究グループは、COVID-19回復後に退院した患者の持続的な症状について追跡調査を行った。その結果、COVID-19発症から約2ヵ月の時点においても87.4%の患者が何らかの症状があり、とくに倦怠感と呼吸困難の持続を訴える人が多いことがわかった。COVID-19を巡っては、これまでもっぱら急性期に焦点を当てて研究や分析が進められてきたが、著者らは、退院後も継続的なモニタリングを行い、長期に渡る影響についてさらなる検証を進める必要があるとしている。JAMA Network Open誌2020年7月9日号のリサーチレターでの報告。

肺炎小児へのアモキシシリン推奨は妥当か/NEJM

 5歳未満の非重症肺炎小児の治療において、治療失敗の頻度はアモキシシリンよりもプラセボのほうが高く、この差はプラセボの非劣性マージンを満たさないことから、現在の世界保健機関(WHO)の推奨は有効であることが、パキスタン・アガカーン大学のFyezah Jehan氏らが実施した「RETAPP試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年7月2日号に掲載された。WHOは、頻呼吸を伴う肺炎患者に経口アモキシシリンを推奨している。一方、この病態の治療にアモキシシリンを使用しなくても、使用した場合に対して非劣性である可能性を示唆するデータがあるという。