感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:156

浮腫による蜂窩織炎の再発予防、圧迫療法は有効か/NEJM

 下肢の慢性浮腫による蜂窩織炎がみられる患者の予防治療において、圧迫療法は保存的治療に比べ、蜂窩織炎の再発率が低く、蜂窩織炎による入院も抑制される傾向がみられることが、オーストラリア・Calvary Public Hospital BruceのElizabeth Webb氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年8月13日号に掲載された。下肢慢性浮腫は、蜂窩織炎のリスク因子とされる。蜂窩織炎の再発予防には、下肢の着圧衣類(弾性ストッキングなど)の日常的な使用が推奨されているが、その効果に関する臨床試験のエビデンスは乏しいという。  研究グループは、下肢の蜂窩織炎の予防における圧迫療法の有用性を評価する目的で、単一施設での非盲検無作為化試験を実施した(Calvary Public Hospital Bruceの助成による)。

新型コロナ、前立腺がん患者でアンドロゲン除去療法が感染を抑制か

 イタリアで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により最も影響を受けた州の1つであるヴェネト州における集団ベースの研究で、アンドロゲン除去療法(ADT)を受けている前立腺がん患者ではSARS-CoV-2感染が抑制された可能性が示唆された。イタリア・パドヴァ大学のM. Montopoli氏らが報告した。Annals of Oncology誌2020年8月号に掲載。  SARS-CoV-2は、ウイルスのスパイク(S)蛋白であるアンジオテンシン変換酵素(ACE)2への結合とTMPRSS2によるS蛋白のプライミングにより細胞に侵入する。そのため、TMPRSS2を阻害すれば、SARS-CoV-2感染を阻害または軽減する可能性がある。

HIV患者の多剤耐性結核、ART実施で死亡リスク大幅減/Lancet

 抗レトロウイルス治療(ART)とより効果的な抗結核薬の使用が、HIV陽性の多剤耐性結核患者の死亡率の低下と関連していることが、米国・ペンシルベニア大学のGregory P. Bisson氏らによるメタ解析の結果、明らかにされた。HIV感染症が多剤耐性結核治療中の死亡リスクを増大することは知られているが、これまでARTや抗結核薬の使用が同リスクに影響するのかは不明だった。結果を踏まえて著者は、「これらの治療へのアクセスを強く求めるべきだろう」と述べている。Lancet誌2020年8月8日号掲載の報告。

マスク・手袋などのPPEによる皮膚疾患をどう防ぐか

 COVID-19感染流行の長期化に伴い、フェイスマスク・手袋をはじめとした個人用防護服(PPE)の長期着用を要因とした医療者の皮膚疾患が報告されている。こうした皮膚疾患への対応と予防策について、Seemal R. Desai氏らがJournal of the American Academy of Dermatology誌のリサーチレターで提言している。  サージカルマスク・N95マスク・ゴーグル・フェイスシールドなどのPPEは、マスク表面やストラップの摩擦によって耳の後ろや鼻梁、あるいは顔全体に接触皮膚炎を引き起こす、という報告がある。

日本人COVID-19死亡例、80代と2型糖尿病併存で最多

 メディカル・データ・ビジョン株式会社(以下、MDV)は、自社診療データベースから新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の死亡事例を調査。その結果、2020年2月~5月までの期間の死亡者は110例(男性:77例 、女性:33例)で、年代別では80代が4割超を占めていることが明らかになった。また、併存疾患では2型糖尿病が最も多かった。  主な結果は以下のとおり。 ・年代別では、90代が17例(15.5%)、80代が48例(43.6%)、70代が33例(30%)、60代が7例(6.4%)、50代が5例(4.5%)だった。100歳以上と40代から下の年齢層はいなかった。

「COVID-19×高血圧」を徹底討論!日本高血圧学会がwebシンポ開催

 COVID-19は依然、収束の兆しが見えず、第2波、第3波を迎え撃つ備えが求められている。日本高血圧学会は8月29日、「高血圧×COVID-19白熱みらい討論」と題し、ライブ配信でシンポジウムを開催する。COVID-19を念頭に置いた新たな高血圧診療のあり方を巡り、各領域のスペシャリストたちが、文字通り白熱した議論を交わす。今回は同学会の学術総会として初の試みとなるウェブ開催であり、参加視聴者とパネリストの垣根を超えたインタラクティブなやり取りも期待できる。参加には事前の予約申し込みが必要で、ウェブの専用ページで8月20日まで受け付けている。

妊娠初期のジカウイルス感染で児の脳・眼の異常が増加/NEJM

 コロンビアでは、2015~16年にジカウイルス感染症(ZVD)のアウトブレイクが発生した。コロンビア・Instituto Nacional de SaludのMartha L. Ospina氏らは、同国内のサーベイランスシステムのデータを用い、ZVDのアウトブレイクが妊娠アウトカムに与えた影響について分析し、乳児/胎児の脳・眼障害有病率はアウトブレイク期間中のほうがアウトブレイク直前や発生後より高く、ジカウイルスRNA検査で陽性が確認された妊婦における乳児/胎児の脳・眼障害有病率は妊娠初期のZVD発症で増加したことを報告した。NEJM誌2020年8月6日号掲載の報告。

新型コロナ、無症状者のウイルス排出量と臨床経過

 無症状の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染者の臨床経過とウイルス量に関する情報は少ない。今回、韓国・天安の地域治療センターに隔離されたSARS-CoV-2感染者のコホート研究で、感染者のウイルス排出を定量的に調べたところ、多くの感染者が長期間無症状で、無症状者のウイルス量は有症状者と同等であることが示唆された。報告した韓国・Soonchunhyang University Seoul HospitalのSeungjae Lee氏らは、この結果から「SARS-CoV-2の蔓延を防ぐために、無症状感染者の隔離が必要」としている。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2020年8月6日号に掲載。

COVID-19に有効な薬剤は?RCT23報のメタ解析/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者への薬物治療の有効性について比較検討したところ、グルココルチコイド投与は標準治療と比べて、死亡率および人工呼吸器リスクを減少する可能性が示されたという。カナダ・マックマスター大学のReed A. C. Siemieniuk氏らが、米国疾病予防管理センター(CDC)のCOVID-19試験結果データベースを基に、システマティック・レビューとネットワークメタ解析を行い明らかにした。なお、有症状期間を短縮する可能性がある薬物治療として、ヒドロキシクロロキン、レムデシビル、ロピナビル・リトナビルが挙げられたが、著者は、「ほとんどの試験が小規模でエビデンスの質は低く、治療薬の有効性については確定できないままだ」と述べている。BMJ誌2020年7月30日号掲載の報告。

COVID-19罹患の精神疾患患者に対する推奨治療

 精神疾患患者における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のマネジメントでは、とくに薬物相互作用に関して、いくつかの課題がある。スペイン・バルセロナ大学のG. Anmella氏らは、COVID-19に罹患した精神疾患患者に関する代表的な3つのケースと、既知の文献およびコンサルテーション・リエゾン精神科の専門家チームの臨床経験に基づいた実践的なアプローチの報告を行った。Journal of Affective Disorders誌2020年9月1日号の報告。