感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:162

初診料が前年比5割減、健診・検診は9割減も/日医・医業経営実態調査

 2020年3~5月、月を追うごとに病院の医業収入が大きく落ち込み、健診・検診の実施件数は半減から9割減となった実態が明らかになった。6月24日の日本医師会定例記者会見において、松本 吉郎常任理事が全国の医師会病院および健診・検査センターの医業経営実態調査結果を発表した。  調査は73の医師会病院、164の健診・検査センターが対象。回答率はそれぞれ71.2%(52病院)、51.2%(84施設)だった。回答病院のうち、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者「あり」は25.0%(13病院)、COVID-19患者のための病床「あり」は50.0%(26病院)。COVID-19入院患者「あり」の病院における月平均入院患者数は7.6人だった(最大は4月に76人の入院患者[東京都])。

新型コロナで低カリウム血症、その原因は?

 中国・温州医科大学のDong Chen氏らは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者における治療転帰との関連性を見いだすため、低カリウム血症の有病率、原因、および臨床的影響を調査する目的で研究を行った。その結果、COVID-19患者において低カリウム血症の有病率が高いこと、さらにその原因として、新型コロナウイルス(SARS-Cov-2)がアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)に結合することにより、ACE2(レニン-アンジオテンシン系を抑制)が分解され、レニン-アンジオテンシン系が活性化して持続的に腎からカリウムが排泄されることが示唆された。JAMA Network open誌2020年6月1日号掲載の報告。

未治療HIV結核患者、検査に基づく治療が有益/NEJM

 抗レトロウイルス療法(ART)歴のない重度免疫不全状態のHIV感染成人患者における結核治療について、検査結果に基づく治療は系統的・経験的治療と比べて24・48週後のアウトカムはいずれも同等で、Grade3/4の有害事象発生率は低いことが示された。フランス・ナント大学のFrancois-Xavier Blanc氏らSTATIS ANRS 12290 Trial Teamが、コートジボワールやウガンダなどの患者1,000例超を対象に無作為化比較試験を行い報告した。結核およびHIVの疾病負荷が高い地域において、HIV感染成人患者の多くがART開始時にはすでに重度の免疫不全状態にあり、これらの患者のART開始後の死亡率は高く、結核および侵襲性の細菌感染症が死因の多くを占めているという。NEJM誌2020年6月18日号掲載の報告。

COVID-19、ABO血液型により重症化に違い/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者が重症化し呼吸不全を来すリスクについて、ゲノムワイド関連分析(GWAS)を行い調べたところ、3p21.31遺伝子座と9q34.2遺伝子座の変異との関連性が明らかになった。9q34.2遺伝子座は血液型の遺伝子座と一致しており、血液型A型の人は、他の血液型の人に比べ重症化リスクが1.45倍高く、一方で血液型O型の人は重症化リスクが0.65倍低いことが示されたという。COVID-19を引き起こすSARS-CoV-2に感染した患者にばらつきがみられることから、ドイツ・Christian-Albrechts大学のDavid Ellinghaus氏らの研究グループ「The Severe Covid-19 GWAS Group」が、イタリアとスペインの患者を対象にGWASを行い明らかにした。NEJM誌オンライン版2020年6月17日号掲載の報告。

新型コロナが流行しやすい気候条件とは?

 世界的な危機をもたらしている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、気候変動や季節性と感染拡大との潜在的な関連を調査することは、予防・監視戦略に役立つ可能性がある。米国・メリーランド・スクール・オブ・メディスン大学のMohammad M Sajadi氏らは、特定の緯度、温度、湿度が観測された地域でのCOVID-19の集団発生分布は、季節性の呼吸器系ウイルスの挙動と一致していたことを明らかにした。研究者らは、気象モデリングを使用すれば、COVID-19の拡大リスクが高い地域の推定ができ、監視や封鎖のもと公衆衛生へ注力することが可能になるとしている。JAMA Network Open誌2020年6月11日号掲載の報告。

武漢に派遣の医療者、PPE適切使用で新型コロナ感染せず/BMJ

 中国・中山大学附属第一病院のMin Liu氏らは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行期の武漢市の病院に、広州市の病院から派遣された医療従事者を対象に感染状況の調査を行った。その結果、派遣中にCOVID-19関連症状を発症した者はなく、広州市へ帰還後の検査でも全員が、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)陰性であった。これは、適切な個人用防護具(PPE)の使用によるものと考えられるという。研究の成果は、BMJ誌2020年6月10日号に掲載された。武漢市では、SARS-CoV-2感染爆発の早期には、医療従事者の感染頻度がきわめて高く、その主な原因は、不適切な個人用防護具の使用とされている。

COVID-19流行期の小児炎症性多臓器症候群、その臨床的特徴は?/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生率が高い地域では、通常とは異なる発熱や炎症の症候群を呈する子供の症例が報告されている。そこで、英国・Imperial College Healthcare NHS TrustのElizabeth Whittaker氏らは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)による感染症流行期の小児炎症性多臓器症候群(PIMS-TS)の判定基準を満たした入院患児の調査を行い、発熱や炎症から心筋障害、ショック、冠動脈瘤の発現まで、さまざまな徴候や症状とともに、重症度にも違いがみられることを明らかにした。JAMA誌オンライン版2020年6月8日号掲載の報告。

ダイヤモンド・プリンセス104例からの知見(自衛隊中央病院)/Lancet Infect Dis

 クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」から搬送された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と診断された104例について臨床的特徴を分析した単一施設・後ろ向き研究の結果が発表された。自衛隊中央病院のチームによるもので、これまで同病院のサイトで公開されたまとめを論文化したものが、2020年6月12日にLancet Infectious Diseases誌オンライン版に掲載された。  2020年2月11~25日まで自衛隊中央病院に入院したCOVID-19感染者を対象とし、臨床記録、検査データ、放射線検査の所見を分析した。追跡期間は、退院もしくは2月26日のどちらか早い日まで。期間中にダイヤモンド・プリンセス号の乗客・乗員3,711人が船内の検疫における咽頭スワブのPCR検査を受け、SARS-CoV-2陽性となった患者のうち、合意のとれた104例が対象となった

新型コロナ、国内初のワクチン治験開始へ―阪大など

 待ち望まれる国産の新型コロナワクチン実現に王手か―。大阪府は6月17日の記者会見で、大阪大学などと共に産官学連携で開発に取り組んできた、新型コロナウイルスの予防ワクチンの治験を6月30日に開始することを明らかにした。新型コロナウイルスを巡っては、世界規模で予防ワクチンの開発が進行中であり、1日も早い実現が待たれる状況だが、ヒトへの投与が実施されるのは国内初となるという。会見で吉村 洋文知事は、「新型コロナ対策に治療薬とワクチンが非常に重要で、その第1歩を大阪で踏み出す。国産ワクチンによって、日本のコロナとの戦いを反転攻勢させていきたい」と語り、期待感を示した。

新型コロナ感染妊婦、転帰良好で母子感染はまれ/BMJ

 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に感染し入院した妊婦のほとんどは、妊娠中期後半~後期で、重症ではなくアウトカムは良好であり、母子感染はまれであることが明らかにされた。英国・オックスフォード大学のMarian Knight氏らが、同国でのCOVID-19で入院した妊婦を対象に、SARS-CoV-2感染の要因とその予後、ならびに母子感染について検討する前向きコホート研究の結果を報告した。なお、感染が認められ入院した妊婦の半数以上が黒人、アジア系および他の少数民族であったことから、著者はその割合の高さについて「早急な調査と解明が必要である」との見解を示している。BMJ誌2020年6月8日号掲載の報告。