6月26日、独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)が実施した新型コロナウイルスに対する消毒方法の有効性評価を踏まえ、経済産業省、厚生労働省、消費者庁が合同で、消毒・除菌方法に関する情報を取りまとめた。次亜塩素酸水は、物品における新型コロナウイルスの消毒に対して、一定条件下での有効性を報告した一方、手指消毒や空間噴霧の有効性・安全性は評価されておらず、まわりに人がいる中での空間噴霧はお勧めできないと注意喚起している。
有効塩素濃度35ppm以上の次亜塩素酸水が物品消毒に有効
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、アルコール消毒液が手に入りにくい状況が続いたことを受け、家庭や職場でアルコール以外による物品の消毒の選択肢を増やすため、経済産業省の要請を受けたNITEが消毒方法の有効性評価を進めていた。
新型コロナウイルスに対する消毒方法として新しく有効と判断されたのは、界面活性剤の純石けん分(脂肪酸カリウム 0.24%以上/脂肪酸ナトリウム 0.22%以上)と、有効塩素濃度35ppm以上の次亜塩素酸水(電解型/非電解型)。ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムを水に溶かす場合は、有効塩素濃度100ppm以上で有効とされる。
なお、検証結果を踏まえ、次亜塩素酸水の利用に当たっては(1)汚れ(手垢、油脂など)をあらかじめ除去すること、(2)対象物に対して十分な量を使用することなどの注意が必要だ。
次亜塩素酸水の空間噴霧は勧められない
経済産業省の取りまとめサイトでは、新型コロナウイルスに有効な消毒・除菌方法についてまとめた以下のポスターが公開されている。
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次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)など既存の消毒・除菌方法について
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界面活性剤の使い方について
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次亜塩素酸水の使い方について
なお、次亜塩素酸水に関しては、製造・販売事業者向けにも、
有効性・使い方・販売方法などについてのお知らせが出されている。これによると、次亜塩素酸水の手指などへの影響、空間噴霧の有効性・安全性は評価されておらず、利用する際の注意として「塩素に過敏な方は使用を控えるべきこと」、「飲み込んだり、吸い込んだりしないよう注意すること」、「次亜塩素酸水を、まわりに人がいる中で空間噴霧することはお勧めできないこと」が明記されている。
これ以外にも、次亜塩素酸ナトリウムとは異なることや、酸性の製品と混ぜると塩素ガスが発生して危険であることなど、適切な表示をするよう呼び掛けられている。国民一人ひとりが目的にあった製品を正しく選び、正しい方法で使用するために、情報の周知が重要だ。
(ケアネット 堀間 莉穂)