感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:164

新型コロナ、抗原検出用キットの活用に関するガイドライン発表/厚労省

 5月13日、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の抗原検査キット「エスプライン SARS-CoV-2」(富士レビオ)が製造販売承認を取得した。これを受け、厚生労働省では同日開催された第40回厚生科学審議会感染症部会において、「SARS-CoV-2 抗原検出用キットの活用に関するガイドライン」について審議、了承した。ガイドラインでは、これまでに得られている科学的知見に基づき、同キットの最適な使用を推進する観点から、考え方や留意事項が示されている。

ARBとACE阻害薬、COVID-19への影響みられず/NEJM

 ARBおよびACE阻害薬が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のリスクに影響を及ぼすとのエビデンスは示されなかったことが、イタリア・University of Milano-BicoccaのGiuseppe Mancia氏らが同国ロンバルディア地方で行った、住民ベースの症例対照試験で示された。症例群の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染確認群は対照群と比べて、心血管疾患の有病率が30.1%と高く、ARB(22.2% vs.19.2%)やACE阻害薬(23.9% vs.21.4%)の使用率も高かったが、両薬とCOVID-19にいかなる関連性も認められず、重症化や死亡との関連性もみられなかった。NEJM誌オンライン版2020年5月1日号掲載の報告。

COVID-19患者の自宅などでの健康観察/厚生労働省

 4月27日、厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部は、「新型コロナウイルス感染症の軽症者等に係る宿泊療養・自宅療養における健康観察における留意点について」の事務連絡を全国の関係機関に発出した。  この連絡では、新型コロナウイルス感染症の無症状原体保有者と軽症患者(以下「軽症者など」と略す)の宿泊療養および自宅療養で、軽症者などの状態が急変する可能性があることから、軽症者などの本人が自ら経過観察(セルフチェック)を行う際に留意すべき「緊急性の高い症状」と下記の項目に該当したときの対応を整理し、宿泊療養・自宅療養での健康観察の際に活用できるようにしたものである。

COVID-19、医師のツイートから行政手続きが効率化

 医療現場は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の対応と感染対策に追われているが、そこに拍車を掛けているのが非効率な行政手続きだ。新型コロナウイルス感染症は指定感染症となっており、患者が出た場合には感染症法に基づき保健所への届け出が必要となる。このやり取りに使われる「新型コロナウイルス感染症発生届」は医師が所定の用紙を埋めてFAXで送付し、電話で確認するという形式。PCR検査実施を依頼する際にも同様の電話連絡と紙伝票のやり取りが必要となる。

COVID-19、ICU入室患者の臨床的特徴/JAMA

 集中治療を要する新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染患者の臨床的特徴の情報は限られている。イタリア・Fondazione IRCCS Ca' Granda Ospedale Maggiore PoliclinicoのGiacomo Grasselli氏らCOVID-19 Lombardy ICU Networkの研究グループは、同国ロンバルディア州の集中治療室(ICU)に入室した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の調査を行った。その結果、ICU入室患者の多くは高齢男性で、機械的換気を要する患者が9割近くに及び、呼気終末陽圧(PEEP)値が高く、ICU内死亡率は26%に達したことがわかった。研究の詳細は、JAMA誌2020年4月28日号で報告された。ICUベッドの利用や集中治療の提供の状況は国によって異なるが、ICU治療を要する重篤なCOVID-19患者のベースラインの特徴やアウトカムに関する情報は、地域の集団発生に対処するための取り組みの計画に従事する保健当局や政府関係者にとってきわめて重要である。

COVID-19、抗HIV薬と脱毛症薬併用に可能性/東京理科大など

 抗HIV治療薬ネルフィナビルと白血球減少症や脱毛症、まむし咬傷などの治療薬セファランチンという2つの既存薬の併用が、新型コロナウイルス増殖を効果的に排除する可能性が示唆された。東京理科大学/国立感染症研究所の渡士 幸一氏らの研究グループによるもので、4月22日に発表された。   研究者らは、国立感染症研究所で分離された新型コロナウイルスと、これを実験室で感染増殖できる培養系技術を利用し、すでに何らかの疾患に対して臨床で使用認可されている約300のFDA/EMA/PMDA承認薬のウイルス増殖への効果を検証。調べた承認薬の中で5剤がウイルス増殖による細胞傷害を抑えることを見出し、この中からとくにネルフィナビル、セファランチンに着目した。

COVID-19にレムデシビルが有意な効果示せず、早期なら有効か/Lancet

 中国で行われた無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同試験では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の入院患者へのレムデシビル投与は、臨床的改善までの期間を統計学的に有意に短縮しなかったことが報告された。しかし、発症後10日以内の患者に限定した解析で、有意差は示されなかったものの、臨床的改善までの期間はレムデシビル群で短縮する傾向が認められた。中国・中日友好医院のYeming Wang氏らによる試験の結果で、著者は「早期投与については大規模な研究で確認する必要がある」とまとめている。Lancet誌オンライン版2020年4月29日号掲載の報告。

日本のCOVID-19症例を症状で検索可、新サイトオープン/日医有識者会議

 5月7日、日本医師会は緊急記者会見を開き、「COVID-19有識者会議」のホームページ開設を発表した。4月30日に日本医師会が発行した「新型コロナウイルス感染症 外来診療ガイド」のほか、約70症例について所見から検索できる症例データベース、WHO発の情報を日本語で提供するWHOアップデート、治療薬開発の現状などが掲載されている。  COVID-19有識者会議は、COVID-19 に関するできるだけ良質な情報を収集し、現場に提供することを目的として、日本医師会内に設置される形で4月18日に発足。座長を永井 良三氏(自治医科大学学長)、副座長を笠貫 宏氏(早稲田大学特命教授)が務める。発足時開催された記者会見で横倉 義武会長は政府の専門家会議との関係について、「本有識者会議は主に、臨床の観点からエビデンスのある提言を行い、現場の支援を行うものであり、専門家会議とは“車の両輪"と言うべきものである」とし、連携を図りながらCOVID-19対策を推進していく考えを示した。

COVID-19に特例承認のレムデシビル、添付文書と留意事項が公開

 2020年5月8日、ギリアド・サイエンシズ社(以下、ギリアド社、本社:米カリフォルニア州)は、特例承認制度の下、レムデシビル(商品名:ベクルリー)が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬として承認されたことを発表した。現時点では供給量が限られているため、ギリアド社より無償提供され、公的医療保険との併用が可能である。  本治療薬は5月1日に米国食品医薬品局(FDA)よりCOVID-19治療薬としての緊急時使用許可を受け、日本では5月4日にギリアド社の日本法人から厚生労働省へ承認申請が出されていた。

COVID-19、糞便でのウイルス検出期間中央値が22日/BMJ

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、呼吸器や血清検体と比較して糞便検体で持続期間が有意に長く、流行の予防と管理という点で糞便検体の管理を強化する必要性があることが明らかとなった。さらに、このウイルスは、重症患者の呼吸器組織ではウイルス量が高い状態が長期的に持続しピークが遅いことも確認された。中国・浙江大学のShufa Zheng氏らが、中国・浙江省の病院に入院した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の後ろ向きコホート研究の結果を報告した。2020年4月9日現在、世界中で150万人以上のCOVID-19患者がおり、その数は急増を続けている。これまで、SARS-CoV-2は呼吸器、糞便、血清および尿から検出されることは少数例の検討で報告されてきたが、重症度が異なる疾患進行中のウイルス量の変化はわかっていなかった。BMJ誌2020年4月21日号掲載の報告。