感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:171

COVID-19重症例、COPDや糖尿病併存が転帰不良

 中国・広州医科大学のWei-Jie Guan氏らは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の併存疾患を層別化し、重篤な有害転帰リスクを評価した。その結果、併存疾患のない患者よりも併存疾患を有する患者で転帰が不良になることを示唆した。また、併存疾患数の多さが転帰不良と相関していたことも明らかにした。The European respiratory journal誌オンライン版3月26日号掲載の報告。  研究者らは2019年12月11日~2020年1月31日の期間、中国本土の31省・市・区の病院、575施設に入院した患者1,590例のデータを分析。複合エンドポイントはICUへの入室、侵襲的換気、死亡で、その到達リスクとして併存疾患の有無と数を比較した。

MRSA菌血症におけるβラクタム薬の併用効果(解説:吉田敦氏)-1207

MRSA菌血症では、限られた抗菌薬の選択肢を適切に使用しても、血液培養陰性化が達成できなかったり、いったん陰性化しても再発したり、あるいは播種性病変を来してしまう割合は高い。in vitroや動物実験の結果を背景とし、抗MRSA薬にβラクタム薬を追加すれば臨床的な効果が上乗せできるのではないかと長らく期待されてきたが、実際は培養結果判明までなど短期間併用されている例は相当数存在するものの、併用のメリット・デメリットが大規模試験で前向きに評価されたことはほとんどなかった。

新型コロナ、2021年初頭にもワクチンを世界規模供給へ―米国J&J

 世界規模で感染拡大に歯止めがかからない新型コロナウイルス。その予防に向けた最初の突破口になり得るのか。米国のジョンソン・エンド・ジョンソン社(以下、J&J社)は3月31日、最初の製造ステップに進むための新型コロナウイルスのリードワクチン候補を同定。2021年初頭にも10億回分超のワクチンを世界規模で供給することを目指し、生産態勢の強化を急ピッチで進めることを発表した。

中国のCOVID-19情報充実のサイトを開設/神戸医療産業都市推進機構医療イノベーション推進センター

 神戸医療産業都市推進機構 医療イノベーション推進センター(センター長:福島雅典氏)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する特設ページを3月18日に公開した。  COVID-19による重症肺炎が最初に蔓延した中国では、すでに膨大な研究が行われ、多くの論文が発表されている。そして、それらの知見を取り入れたガイドラインが改訂・出版されている中で、このウェブサイトでは中国における診療ガイドラインや臨床試験情報などへのリンクを紹介している。センターでは随時更新を行う予定。

B群髄膜炎菌ワクチンの用途と限界(解説:吉田敦氏)-1206

髄膜炎菌感染症は、保菌者の咽頭から感染し、進行の速い重篤な菌血症・髄膜炎・臓器不全を来す疾患であり、公衆衛生上も重大な脅威である。12種類の血清群が知られているが、血清群A、B、C、W、Yが原因となることが多く、本邦における統計ではY、B、C、Wの順であった。ただし血清群の内訳は地域によって異なることが特徴で、海外で導入されていたACWYの4価ワクチンが本邦で使用可能になったのは2015年である。しかしながらB群の莢膜多糖体はヒトのneural cell adhesion moleculeなどと類似しているため免疫原性が低く、自己免疫の発症も懸念され、結合型ワクチンでなくリコンビナントワクチンが開発された。

抗真菌薬の妊婦への処方は安全か?

 皮膚科医にとって難問の1つとなっている妊婦への抗真菌薬投与について、デンマークの全国規模の妊娠登録ベースコホートにおける研究結果が発表された。デンマーク・Bispebjerg and Frederiksberg HospitalのNiklas Worm Andersson氏らによる検討で、経口または局所テルビナフィンの投与と、主要な形成異常または自然流産のリスク増大の関連は特定できなかったという。テルビナフィンは一般的に使用される抗真菌薬だが、妊娠中の使用に関する安全性データは限定的である。JAMA Dermatology誌オンライン版2020年3月4日号掲載の報告。

COVID-19、家族内感染まで3~8日/Lancet

 シンガポールでは、2020年2月、新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019、COVID-19)の3つの小規模感染者集団(cluster)―中国からの団体旅行、社内会議、教会―が特定された。同国保健省のRachael Pung氏らの研究チームは、これらの集団の疫学的および臨床的な調査の結果を、Lancet誌オンライン版2020年3月16日号で報告した。  研究チームは、COVID-19と確定診断された患者との面談および入院診療記録を用いて疫学および臨床データを収集した。同時に、実地調査を行い、原因ウイルスである重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)への接触機会や、可能性のある伝播経路を追跡した。  2020年2月15日現在、36例のCOVID-19患者が確認され、検疫で425人の濃厚接触者が見つかっている。患者は、3つの小規模感染者集団(A群[中国からの団体旅行者と小売店店員]11例、B群[社内会議出席者]20例、C群[教会訪問者]5例)と関連していた。36例のうち17例がSARS-CoV-2陽性で、2例(いずれもC群)が症状発現の14日前に中国へ旅行していた。A群の2例とB群の17例は、居住または旅行先の国の保健当局によって報告された。

アルナイラムとVir社、siRNAによるCOVID-19治療薬を共同開発

 Vir Biotechnology社およびアルナイラム社は、2020年3月4日、両社の既存の提携関係を拡大し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因ウイルスであるSARS-CoV-2を標的とする RNAi治療薬の開発と実用化も共同で行うと発表した。  この合意で、アルナイラム社のsiRNA(低分子干渉 RNA)新規コンジュゲートの最新の肺への薬剤送達技術、およびVir Biotechnology社の感染症の専門知識と能力を合わせ、SARS-CoV-2および他のコロナウイルスによる感染症の治療薬として、一つ以上のsiRNAの開発を前進させる。

COVID-19、182ヵ国の対応・管理能力は/Lancet

 COVID-19のアウトブレークを踏まえ、公衆衛生上のリスクとイベントに対する既存の健康安全保障能力を評価する目的で182ヵ国の国際保健規則(IHR)年次報告を解析した結果を、スイス・世界保健機関(WHO)のNirmal Kandel氏らが報告した。世界各国のアウトブレークに対する予防、検知および対応の能力は大きく異なっているが、半数の国は高い運用即応性を備えており、COVID-19を含む衛生緊急事態に対して、効果的に対応できることが示唆されたという。IHRで強調されているように、感染症のアウトブレークなど公衆衛生上のリスクを管理するためには、事象を予防、検知し、対応する公衆衛生対策が不可欠である。解析を踏まえて著者は、「COVID-19に関する国家の即応能力を十分理解するには、地域リスク評価からの知見が必要である。また、アウトブレークの制御に対するグローバルな即応を強化するには、単一ではなく複数国家での能力構築(capacity building)と協力(collaboration)が必要である」とまとめている。Lancet誌オンライン版2020年3月18日号掲載の報告。

薬剤耐性結核、ベダキリン+pretomanid+リネゾリドが有効/NEJM

 高度薬剤耐性結核症患者の治療において、ベダキリン+pretomanid+リネゾリド併用療法による26週間の治療は、治療終了から6ヵ月時のアウトカムが良好な患者の割合が90%と高く、有害事象は全般に管理可能であることが、南アフリカ共和国・ウィットウォータースランド大学のFrancesca Conradie氏らの検討(Nix-TB試験)で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年3月5日号に掲載された。高度薬剤耐性結核患者の治療選択肢は限られており、アウトカムは不良である。pretomanidは、最近、超多剤耐性(XDR)肺結核症(イソニアジド、リファンピシン、フルオロキノロン系抗菌薬、および1剤以上の注射薬[アミカシン、カプレオマイシン、カナマイシン]に抵抗性)または複雑型多剤耐性(MDR)肺結核症(イソニアジド、リファンピシンに抵抗性で、治療に反応しない、または副作用で治療が継続できない)の成人患者の治療において、ベダキリンおよびリネゾリドとの併用レジメンが、「限定的集団における抗菌薬および抗真菌薬の開発経路(Limited Population Pathway for Antibacterial and Antifungal Drugs)」の下で、米国食品医薬品局(FDA)の承認を得ている。