感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:172

COVID-19標準治療薬を決めるべく国際共同治験を実施/国立国際医療研究センター

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の国内発生の初期から本感染症患者の診療にあたってきた国立国際医療研究センター(NCGM)は、3月23日にメディア勉強会を開催し、アメリカ国立衛生研究所(NIH)と共同で抗ウイルス薬remdesivir(ギリアド・サイエンシズ)の医師主導治験を行うと発表した。勉強会ではNCGMの国際感染症センター長の大曲 貴夫氏が、治験の概要と今後の展開について説明した。  大曲氏は冒頭で高齢男性のCOVID-19症例を呈示し、「発症から重症化への進行が速いのが特徴」と述べ、人工呼吸器をつけて容体が好転し装置を外すまで1ヵ月を要したという。また、COVID-19では、致死率が高齢になるほど上がるとの中国の報告を示した。

COVID-19のCT所見、919例の系統的レビュー

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のCT画像の特徴についてさまざまな論文が公表されているが、まとまった文献レビューはまだない。今回、南カリフォルニア大学ケック医科大学のSana Salehi氏らが、PubMed、Embase(Elsevier)、Google Scholar、世界保健機関のデータベースから系統的に文献を検索、レビューし、その結果を報告した。American Journal of Roentgenology誌オンライン版2020年3月14日号に掲載。  主な結果は以下のとおり。

COVID-19への抗HIV薬ロピナビル・リトナビル、RCTで有意差認めず/NEJM

 重症COVID-19入院成人患者において、抗HIV薬のロピナビル・リトナビルは標準治療よりも有効とはいえないとの見解を、中国・National Clinical Research Center for Respiratory DiseasesのBin Cao氏らが、199例を対象に行った非盲検無作為化比較試験の結果、示した。SARS-CoV-2による重症疾患の効果的な治療としての薬物療法はまだ判明していない。結果を踏まえて著者は、「重症患者においてさらなる試験を行い、効果的と思われる治療の確認・除外を行う必要がある」と述べている。NEJM誌オンライン版2020年3月18日号掲載の報告。

重症COVID-19肺炎にアクテムラの第III相試験開始/ロシュ

 ロシュ社(スイス)は3月19日、米国食品医薬品局(FDA)と連携し、米国生物医学先端研究開発局(BARDA、米国保健福祉省の事前準備・対応担当次官補局の一部門)と共同で無作為化二重盲検プラセボ対照第III相臨床試験を開始すると発表した。同試験では、重症 COVID-19肺炎による成人入院患者におけるアクテムラ(一般名:トシリズマブ)と標準的な医療措置の併用の安全性および有効性をプラセボと標準的な医療措置の併用と比較する。

新型コロナウイルスの侵入過程を阻止する薬剤を同定/東大医科研

 東京大学医科学研究所分子発癌分野の井上 純一郎教授らのグループは、3月18日に「新型コロナウイルス感染初期のウイルス侵入過程を阻止、効率的感染阻害の可能性がある薬剤を同定」したとする会見を開き、同時にプレスリリースを同研究所のホームぺージに公開した。  現在世界各国で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬、ワクチンの開発が行われている中で同グループは、COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2が細胞に侵入する最初の過程であるウイルス外膜と細胞膜との融合を、セリンプロテアーゼ阻害剤ナファモスタット(商品名:フサンほか)が、従来発表されている融合阻害剤カモスタット(同:フォイパンほか)に比べて10 分の1以下の低濃度で膜融合を阻害することを見出した。

新型コロナ、エアロゾルで3時間生存可能/NEJM

 アメリカ国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)のNeeltje van Doremalen氏らは、エアロゾル(粒子径5μm未満)での新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)とコロナウイルス(SARS-CoV-1)の表面安定性について比較した結果、SARS-CoV-2はエアロゾル内で3時間、物質の表面上では2~3日生存できることを示唆した。NEJM誌オンライン版2020年3月17日号のCORRESPONDENCEに報告した。

COVID-19とインフルの重感染例/CDC

 呼吸器疾患に影響するウイルスが共検出される可能性は周知の事実である。今回、中国・中日友好医院のXiaojing Wu氏らは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)とA型インフルエンザウイルスに重感染した症例について報告。上気道の検体検査が偽陰性になる、または、ほかの呼吸器ウイルスとの重感染によって新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が過少診断される可能性を示唆した。研究者らは「明らかな病因が特定された場合、とくに臨床マネジメントの決定に影響を及ぼす場合は、より広範なウイルス検査が必要になるかもしれない」としている。CDCのEMERGING INFECTIOUS DISEASES誌オンライン版2020年3月11日号のリサーチレターに報告された。

COVID-19、ロピナビル・リトナビルで悪化例も/JAMA

 シンガポールでSARS-CoV-2感染が確認された最初の18例の臨床所見は、軽度の気道感染症が多く、一部の患者で酸素吸入を要し、抗レトロウイルス薬による治療の臨床転帰はさまざまであったという。シンガポール・国立感染症センター(NCID)のBarnaby Edward Young氏らが、同国SARS-CoV-2感染症例の最初の経験を報告した。SARS-CoV-2感染は2019年12月に中国湖北省武漢市で発生し、中国国外で持続的なヒトからヒトへの感染が世界的に広がっている。JAMA誌オンライン版2020年3月3日号掲載の報告。

AIDS関連カポジ肉腫、有病率が高い地域での最適治療は?/Lancet

 資源が限られた地域における進行性AIDS関連カポジ肉腫に対する最適な治療戦略は「パクリタキセル+抗レトロウイルス療法(ART)」であることが、米国・AIDS Malignancy ConsortiumのSusan E. Krown氏らによる無作為化非盲検非劣性試験の結果、示された。非劣性の証明は事前に設定したマージンではできなかったが、「経口エトポシド+ART」および「ブレオマイシン+ビンクリスチン+ART」の両治療に対して優越性が示されたという。AIDS関連カポジ肉腫は、HIV患者の頻度の高い併存疾患および死亡の原因であるが、疾患頻度が最も高い低所得および中所得国では最適な治療レジメンについて系統的な評価がされていなかった。Lancet誌オンライン版2020年3月5日号掲載の報告。