感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:174

退院後に陽性のCOVID-19症例、CTに悪化みられず/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から回復した患者の一部にウイルスキャリアの可能性が示唆されたー。中国・武漢大学中南医院のLan Lan氏らは、中国で退院または隔離解除の基準を満たしたCOVID-19の4症例(臨床症状とCT異常所見の消失、およびRT-PCR法による検査で2回とも陰性)が、退院・隔離解除5〜13日後にRT-PCR検査で陽性になったことを明らかにした。JAMA誌オンライン版2020年2月27日号のリサーチレターに報告した。

妊娠中のマクロライド系抗菌薬、先天異常への影響は/BMJ

 妊娠第1期のマクロライド系抗菌薬の処方は、ペニシリン系抗菌薬に比べ、子供の主要な先天形成異常や心血管の先天異常のリスクが高く、全妊娠期間の処方では生殖器の先天異常のリスクが増加することが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのHeng Fan氏らの調査で示された。妊娠中のマクロライド系抗菌薬処方に関する最近の系統的レビューでは、流産のリスク増加には一貫したエビデンスがあるが、先天異常や脳性麻痺、てんかんのリスク増加には一貫性のあるエビデンスは少ないと報告されている。また、妊娠中のマクロライド系抗菌薬の使用に関する施策上の勧告は、国によってかなり異なるという。BMJ誌2020年2月19日号掲載の報告。

COVID-19、無症状でもCTに異常、急速な進行も

 武漢の病院に入院したCOVID-19肺炎患者の胸部CT画像の所見と変化について、華中科技大学放射線科のHeshui Shi氏らがまとめた研究結果が発表された。疾患経過における複数時点でのCT所見を分析した結果、無症状の患者であってもCT画像には異常が認められ、1〜3週間以内に急速に進行するケースが示された。著者らは「CT画像と臨床および検査所見を組み合わせることで、COVID-19の早期診断が容易になるだろう」と述べている。Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2月24日号掲載の報告。  研究者らは、2019年12月20日~2020年1月23日に武漢の2病院に入院し、胸部CTによる経過観察が行われた81例(RT-PCR法あるいは次世代シーケンシングによる確定例)を遡及的に登録。

COVID-19への治療薬の考え方/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:舘田 一博)は、今般の新型コロナウイルスの治療に関し、「COVID-19に対する抗ウイルス薬による治療の考え方 第1版」を2月26日に公開した。  本指針は、現時点で収集されている知見より抗ウイルス薬に関するわが国における暫定的な指針を示すのが目的。そして、抗ウイルス薬の使用にあたっては、現在わが国ではCOVID-19に適応を有する薬剤は存在しないことを前提に、行うことのできる治療は、国内ですでに薬事承認されている薬剤を適応外使用することであり、使用では各施設の薬剤適応外使用に関する指針に則り、必要な手続きを行うことになるとしている。

HIVリザーバーに対するkick and kill法は有効か?/Lancet

 HIVリザーバー(潜伏感染細胞)に対するkick and kill法は、抗レトロウイルス療法(ART)単独と比較して有意な効果は確認されなかった。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのSarah Fidler氏らが、同国6施設で実施したART+kick and kill法の有効性を検証する多施設共同非盲検無作為化第II相試験「RIVER試験」の結果を報告した。ARTではHIV潜伏感染細胞が長期に残存するため、HIV感染症を完全に治癒させることはできない。そこで、潜伏感染細胞でのHIVの転写を誘導してHIVを再活性化させ、HIV潜伏感染細胞を死滅させようというkick and kill法がHIV治療戦略として期待されていた。Lancet誌オンライン版2020年2月18日号掲載の報告。

新型コロナウイルス感染の家族内感染クラスター事例(解説:浦島充佳氏)-1194

一番注目するべきは、どこで感染したか明確にトレースできない患者が含まれる点と、発症直後より感染力を有する点である。SARSのときは、誰からどこで感染したということがほぼすべてのケースで同定できた。また、SARS患者は発症して5日目より感染力を増す傾向にあった。そのためSARS患者を4日以内に入院隔離すれば感染拡大を阻止し、封じ込めることができる。実際、発熱から入院までが平均3日となった時点より患者発生数が減り始めている。しかし、中国の対策チームは「新型コロナウイルスは潜伏期間にも感染させる可能性がある」と発表した。

COVID-19、今検討すべき各医療機関の対応/日本医師会

 政府は、新型コロナウイルス感染症対策本部の会合を連日開催し、25日に「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」を発表。26日には、全国的なスポーツ・文化イベントについて、今後2週間は中止もしくは延期、規模縮小するよう要請し、日本医師会もこれに準じた対応を呼び掛けている。  各地域の医療機関では、周辺の流行状況に応じた対策が求められるが、まずは標準予防策を徹底することが非常に重要だ。釜萢 敏氏(常任理事)は、「今後、一般の医療機関でも新型コロナウイルス感染疑い患者の受け入れが必要になる事態に備え、各医療機関では、診療時間や動線を区分するなどの感染対策がどこまで可能なのか、事前に確認してほしい」と呼び掛けた。

COVID-19、家族クラスターにおける感染の経過/Lancet

 中国・深圳市の家族7人における、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)への感染および臨床経過が報告された。香港大学のJasper Fuk-Woo Chan氏らによる、Lancet誌2月15日号(オンライン版1月24日号)掲載の報告。  2019年12月29日から2020年1月4日まで武漢市に滞在した家族6人を、1月10日から登録。うち5人で感染が確認された。さらに、旅行していないもう1人において、家族のうち4人と数日間接触した後、SARS-CoV-2陽性が確認された。本研究では、同家族の疫学的、臨床的、実験的、放射線学的、および微生物学的所見を報告している。

COVID-19、そのまま渡せる「感染予防ハンドブック」を無料公開

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大を続ける中、東北医科薬科大学は市民向けにCOVID-19の基礎知識と対応策をまとめた感染予防ハンドブックを作成し、PDFをサイトで公開している。医療者にとって、患者からの問い合わせに応える一助となる内容だ。  2月25日に公開されたこの「新型コロナウイルス感染症~市民向け感染予防ハンドブック」は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)そのものに関する情報からはじまり、感染した場合の症状、潜伏期間、感染経路の可能性などについて解説。とくに「かからない・うつさないための対策」として手洗いや咳エチケットについてイラストを交え、ページを割いて丁寧に解説している。同大の感染症学教室特任教授の賀来 満夫氏の監修のもと、2月25日時点の情報に沿ってまとめられたもので全19ページ、出典を記載したうえで自由に印刷・配布ができる。

COVID-19、重症肺炎の臨床経過や投与薬剤は?/Lancet

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)関連肺炎の重症例について、臨床経過・転帰などを調査する目的で中国・華中科技大学のXiaobo Yang氏らがレトロスペクティブスタディを実施。その結果、SARS-CoV-2感染症による重症肺炎患者の死亡率の高さが明らかとなった。また、死亡者の生存期間は集中治療室(ICU)入室後1〜2週間以内の可能性があり、併存疾患や急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を有する高齢者(65歳以上)では死亡リスクの上昇もみられた。Lancet誌オンライン版2020年2月24日号掲載の報告。