感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:174

COVID-19、医師のツイートから行政手続きが効率化

 医療現場は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の対応と感染対策に追われているが、そこに拍車を掛けているのが非効率な行政手続きだ。新型コロナウイルス感染症は指定感染症となっており、患者が出た場合には感染症法に基づき保健所への届け出が必要となる。このやり取りに使われる「新型コロナウイルス感染症発生届」は医師が所定の用紙を埋めてFAXで送付し、電話で確認するという形式。PCR検査実施を依頼する際にも同様の電話連絡と紙伝票のやり取りが必要となる。

COVID-19、ICU入室患者の臨床的特徴/JAMA

 集中治療を要する新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染患者の臨床的特徴の情報は限られている。イタリア・Fondazione IRCCS Ca' Granda Ospedale Maggiore PoliclinicoのGiacomo Grasselli氏らCOVID-19 Lombardy ICU Networkの研究グループは、同国ロンバルディア州の集中治療室(ICU)に入室した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の調査を行った。その結果、ICU入室患者の多くは高齢男性で、機械的換気を要する患者が9割近くに及び、呼気終末陽圧(PEEP)値が高く、ICU内死亡率は26%に達したことがわかった。研究の詳細は、JAMA誌2020年4月28日号で報告された。ICUベッドの利用や集中治療の提供の状況は国によって異なるが、ICU治療を要する重篤なCOVID-19患者のベースラインの特徴やアウトカムに関する情報は、地域の集団発生に対処するための取り組みの計画に従事する保健当局や政府関係者にとってきわめて重要である。

COVID-19、抗HIV薬と脱毛症薬併用に可能性/東京理科大など

 抗HIV治療薬ネルフィナビルと白血球減少症や脱毛症、まむし咬傷などの治療薬セファランチンという2つの既存薬の併用が、新型コロナウイルス増殖を効果的に排除する可能性が示唆された。東京理科大学/国立感染症研究所の渡士 幸一氏らの研究グループによるもので、4月22日に発表された。   研究者らは、国立感染症研究所で分離された新型コロナウイルスと、これを実験室で感染増殖できる培養系技術を利用し、すでに何らかの疾患に対して臨床で使用認可されている約300のFDA/EMA/PMDA承認薬のウイルス増殖への効果を検証。調べた承認薬の中で5剤がウイルス増殖による細胞傷害を抑えることを見出し、この中からとくにネルフィナビル、セファランチンに着目した。

COVID-19にレムデシビルが有意な効果示せず、早期なら有効か/Lancet

 中国で行われた無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同試験では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の入院患者へのレムデシビル投与は、臨床的改善までの期間を統計学的に有意に短縮しなかったことが報告された。しかし、発症後10日以内の患者に限定した解析で、有意差は示されなかったものの、臨床的改善までの期間はレムデシビル群で短縮する傾向が認められた。中国・中日友好医院のYeming Wang氏らによる試験の結果で、著者は「早期投与については大規模な研究で確認する必要がある」とまとめている。Lancet誌オンライン版2020年4月29日号掲載の報告。

日本のCOVID-19症例を症状で検索可、新サイトオープン/日医有識者会議

 5月7日、日本医師会は緊急記者会見を開き、「COVID-19有識者会議」のホームページ開設を発表した。4月30日に日本医師会が発行した「新型コロナウイルス感染症 外来診療ガイド」のほか、約70症例について所見から検索できる症例データベース、WHO発の情報を日本語で提供するWHOアップデート、治療薬開発の現状などが掲載されている。  COVID-19有識者会議は、COVID-19 に関するできるだけ良質な情報を収集し、現場に提供することを目的として、日本医師会内に設置される形で4月18日に発足。座長を永井 良三氏(自治医科大学学長)、副座長を笠貫 宏氏(早稲田大学特命教授)が務める。発足時開催された記者会見で横倉 義武会長は政府の専門家会議との関係について、「本有識者会議は主に、臨床の観点からエビデンスのある提言を行い、現場の支援を行うものであり、専門家会議とは“車の両輪"と言うべきものである」とし、連携を図りながらCOVID-19対策を推進していく考えを示した。

COVID-19に特例承認のレムデシビル、添付文書と留意事項が公開

 2020年5月8日、ギリアド・サイエンシズ社(以下、ギリアド社、本社:米カリフォルニア州)は、特例承認制度の下、レムデシビル(商品名:ベクルリー)が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬として承認されたことを発表した。現時点では供給量が限られているため、ギリアド社より無償提供され、公的医療保険との併用が可能である。  本治療薬は5月1日に米国食品医薬品局(FDA)よりCOVID-19治療薬としての緊急時使用許可を受け、日本では5月4日にギリアド社の日本法人から厚生労働省へ承認申請が出されていた。

COVID-19、糞便でのウイルス検出期間中央値が22日/BMJ

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、呼吸器や血清検体と比較して糞便検体で持続期間が有意に長く、流行の予防と管理という点で糞便検体の管理を強化する必要性があることが明らかとなった。さらに、このウイルスは、重症患者の呼吸器組織ではウイルス量が高い状態が長期的に持続しピークが遅いことも確認された。中国・浙江大学のShufa Zheng氏らが、中国・浙江省の病院に入院した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の後ろ向きコホート研究の結果を報告した。2020年4月9日現在、世界中で150万人以上のCOVID-19患者がおり、その数は急増を続けている。これまで、SARS-CoV-2は呼吸器、糞便、血清および尿から検出されることは少数例の検討で報告されてきたが、重症度が異なる疾患進行中のウイルス量の変化はわかっていなかった。BMJ誌2020年4月21日号掲載の報告。

NYのCOVID-19入院患者、高血圧57%、糖尿病34%/JAMA

 米国ニューヨーク州の12病院に入院した、新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019、COVID-19)患者5,700例について症例研究(case series)を行ったところ、年齢中央値は63歳、約57%が高血圧症を、また約34%が糖尿病を有していたことなどが明らかにされた。米国・Northwell HealthのSafiya Richardson氏らが報告した。試験期間中(2020年3月1日~4月4日)に退院・死亡した患者は、約半数近くの2,634例で、うち死亡は21%だった。また、侵襲的機械的人工換気を要した患者は320例で、その死亡率は88.1%だったという。米国におけるCOVID-19入院患者の特徴とアウトカムの情報は限定的であったが、著者は、「今回の症例研究により、ニューヨーク市周辺におけるCOVID-19入院患者の特徴と早期アウトカムが明らかになった」と述べている。JAMA誌オンライン版2020年4月22日号掲載の報告。

COVID-19に対応する医療者のためのメンタルケアガイドを公開

 日本赤十字社は、感染が拡大する新型コロナウイルスによる感染症に対応する医療者に向けて、心の健康を保つために知っておくべきこと、やるべきことをまとめたガイドを作成し、サイトで公開している。  この「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対応する職員のためのサポートガイド」では、冒頭に感染症の影響を「ウイルスによって引き起こされる疾病そのもの」(生物学的感染症)、「見えないこと、治療法が確立されていないことで生じる強い不安や恐れ」(心理的感染症)、「不安や恐怖が生み出す嫌悪・差別・偏見」(社会的感染症)に分類し、とくに医療従事者に関連する心理的感染症と社会的感染症に対するケアが重要とする。

COVID-19、軽症患者の64%が嗅覚・味覚に異常/JAMA

 新型コロナウイルス感染時の症状としては発熱、倦怠感、筋肉痛、呼吸困難などに加え、嗅覚・味覚の異常についても報告されている。これまで、COVID-19感染者の嗅覚と味覚障害の有病率を評価した研究は1件のみで全体の有病率は34%であったが、ほかの症状との関連における発症タイミングに関するデータはなかった。イタリアTreviso Regional Hospital を2020年3月19~22日に受診し、鼻咽頭および咽頭スワブの RT-PCR 検査でSARS-CoV-2陽性と診断され、自宅待機可能な18歳以上の軽症患者202例を対象に嗅覚・味覚障害の発現状況を評価した。JAMA誌オンライン版2020年4月22日号のリサーチレターに報告された。