感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:215

単純性膀胱炎に対するイブプロフェンの効果(解説:小金丸 博 氏)-476

女性の単純性膀胱炎は抗菌薬で治療されることが多い疾患だが、自然軽快する例も少なからずみられる。また、尿路感染症の主要な原因菌である大腸菌は、薬剤耐性菌の増加が問題となっており、耐性菌の増加を抑制するためにも、抗菌薬を使用せずに膀胱炎の症状緩和が図れないか研究が行われてきた。79例を対象としたPilot studyでは、症状改善効果に関してイブプロフェンは抗菌薬(シプロフロキサシン)に対して非劣性であり、イブプロフェン投与群の3分の2の患者では、抗菌薬を使用せずに改善したという結果が得られた。さらなる評価のため、規模を拡大した研究が実施された。

卵アレルギーと弱毒生インフルエンザワクチン(解説:小金丸 博 氏)-475

インフルエンザワクチンの製造には、インフルエンザウイルスを鶏卵に接種し培養する工程があるため、ワクチンにはオバルブミンなど卵の成分が含まれる。そのため、卵アレルギーのある人にインフルエンザワクチンを接種すると、重大な副反応が起こる可能性があると広く認識されている。近年、オバルブミン含有量の少ない不活化インフルエンザワクチンは、卵アレルギーのある患者に安全に接種できるとの報告があるが、経鼻的に投与される弱毒生インフルエンザワクチン(LAIV)の安全性に関しては、十分なデータがなかった。

クラリスロマイシンと心血管リスク/BMJ

 抗菌薬クラリスロマイシンの使用は、心筋梗塞、不整脈および心臓死リスクの有意な増大と関連していることが、中国・香港大学のAngel Y S Wong氏らが行った住民ベース試験の結果、示された。ただしその関連は短期的なもので、長期的な関連は観察されなかったという。先行疫学研究で、クラリスロマイシンが重篤な心血管アウトカムのリスク増加と関連していることが示唆されていたが、リスクが短期的なものか長期にわたるのか不明であった。BMJ誌オンライン2016年1月14日号掲載の報告。

結核性髄膜炎への強化療法は生存率を改善するか/NEJM

 成人結核性髄膜炎患者に対し、最初の2ヵ月間高用量リファンピシン+レボフロキサシンを併用する初期強化標準治療を行っても、標準治療のみの場合と比較して生存率は上昇しなかった。ベトナム・オックスフォード大学臨床研究所のA. Dorothee Heemskerk氏らが、無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験の結果、明らかにした。結核性髄膜炎はしばしば致命的であり、早期の抗結核治療とグルココルチコイドを用いた補助療法により生存率は改善するが、それでも患者の3分の1近くが死に至るとされている。研究グループは強化抗結核療法により、脳内結核菌への殺菌力が高まり死亡率を低下するのではないかと仮説を立て試験を行った。NEJM誌2016年1月14日号掲載の報告。

難治性クロストリジウム、凍結 vs.新鮮便微生物移植/JAMA

 再発を繰り返す難治性クロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI)の治療として、便微生物移植(FMT)が有望視されているが、新鮮FMTの即時入手ができず介入に困難を来している。カナダ・マックマスター大学のChristine H. Lee氏らは、凍結-解凍タイプのFMT利用の可能性を探るため、新鮮FMTと比較する無作為化試験を行った。その結果、凍結FMTを用いた場合も、下痢症状の解消について非劣性であることが示され、著者は、「凍結FMTの使用は選択肢となることが示された」と報告している。JAMA誌2016年1月12日号掲載の報告。

妊婦のフルコナゾール内服、自然流産のリスク増加/JAMA

 妊娠7~22週にカンジダ症の治療薬として経口フルコナゾールを服用した妊婦は、服用しなかった妊婦、またはアゾール外用薬を使用した妊婦に比べ、いずれも自然流産リスクが約5~6割増大することが判明した。一方で死産リスクについては、有意な増大は認められなかった。デンマークStatens Serum InstitutのDitte Molgaard-Nielsen氏らが、140万例超の妊婦コホートを対象に行った試験で明らかにした。JAMA誌2016年1月5日号掲載の報告。

イブプロフェンは尿路感染症の代替治療となりうるか/BMJ

 単純性尿路感染症の女性患者の初回治療において、イブプロフェンによる対症療法はホスホマイシンによる抗菌薬治療に比べ抗菌薬の使用を抑制するが、症状の緩和効果は低く、腎盂腎炎の発症が増加する傾向がみられることが、ドイツ・ゲッティンゲン大学医療センターのIldiko Gagyor氏らの検討で示された。単純性尿路感染症の女性患者には通常、抗菌薬治療が行われるが、本症は無治療で回復する症例も多く、耐性菌増加の防止の観点からも、抗菌薬の処方の抑制対策が進められている。非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)であるイブプロフェンは、パイロット試験において、症状消失に関して抗菌薬治療に対し非劣性で、3分の2の患者で抗菌薬の処方なしに回復したことが報告されていた。BMJ誌オンライン版2015年12月23日号掲載の報告より。

ASTRAL-2,-3試験:遺伝子型2型3型のHCVに対するソホスブビル・velpatasvir併用療法(解説:中村 郁夫 氏)-466

本論文は、HCV(遺伝子型2型および3型)に対するソホスブビル(核酸型NS5Bポリメラーゼ阻害薬)・velpatasvir(NS5A阻害薬)併用療法(SOF・VEL)の治療効果に関する治験の報告である。遺伝子型3型は、欧米では本邦と比べて頻度が高い。遺伝子型3型のHCV患者は、線維化の進行が早く、発がん率が高いことから、欧米では治療法の開発が急務である。2015年11月にサンフランシスコで行われた米国肝臓学会年会においても、3型のHCV患者に対する治療法に関して、多数の発表がなされた。