感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:25

モデルナのコロナワクチン、生後6ヵ月以上で初回免疫の一変承認取得

 新型コロナウイルスに対するmRNAワクチンを提供するモデルナは、2023年10月25日付のプレスリリースで、「スパイクバックス筋注」の生後6ヵ月以上を対象とした初回免疫に関する承認事項の一部変更承認を取得したと発表した。厚生科学審議会への諮問・答申を経て、予防接種実施規則改正をもってはじめて特例臨時接種での使用が可能となる。  今回の一部変更承認は、生後6ヵ月以上を対象とした「スパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)」「スパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)」および「スパイクバックス筋注(1価:オミクロン株XBB.1.5)」における初回免疫である。

引用頻度が高いコロナ論文の多い国・大学は

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック開始から3年間、非常に多くのCOVID-19関連の論文が世界中で発表された。京都大学大学院医学研究科の船田 哲氏(現:慶應義塾大学)らの研究グループは、被引用数の多いCOVID-19関連論文を発表した国や機関、研究領域などの傾向を調査した。その結果、高被引用論文の件数は2021年末にピークに達した後、2022年末まで減少傾向を示し、発表数の多い国は当初の中国から米国および英国へと推移していることなどが判明した。JAMA Network Open誌2023年9月8日号に掲載。  本研究では、2020年1月~2022年12月の期間で、Clarivate社のEssential Science Indicators(学術論文の引用動向データを提供するデータベース)から、引用頻度の高い論文を、2ヵ月ごと18期間分を抽出した。それらの論文の固有のアクセッション番号に基づいて、論文データベースのWeb of Science Core Collectionを用いて書誌情報を照会し、COVID-19に関する論文を特定した。論文数は分数カウント法に基づいてカウントし、著者の国、所属機関、研究分野などを調査した。

関節形成術の感染予防、バンコマイシン追加は有効か/NEJM

 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の保菌が確認されていない関節形成術を受ける患者において、セファゾリンによる標準的な周術期抗菌薬予防投与にバンコマイシンを追加しても手術部位感染予防効果は改善しないことが示された。オーストラリア・モナシュ大学のTrisha N. Peel氏らが、多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験「Australian Surgical Antibiotic Prophylaxis trial:ASAP試験」の結果を報告した。現行ガイドラインでは、関節形成術における感染予防としてセファゾリンや第2世代セファロスポリン系抗菌薬の投与が推奨されているが、MRSAやメチシリン耐性表皮ブドウ球菌の感染は予防できない恐れがある。バンコマイシンの追加で手術部位感染が減少する可能性があるが、有効性および安全性は不明であった。NEJM誌2023年10月19日号掲載の報告。

新型コロナによる多臓器不全のメカニズム、iPS細胞由来オルガノイドで解明/阪大ほか

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染によって起きる特徴的な症状の1つとして全身の血管で血栓が形成され、多臓器不全につながることは知られていたが、そのメカニズムについては明らかではなかった。大阪大学ヒューマン・メタバース疾患研究拠点(WPI-PRIMe)の武部 貴則氏ほか、東京医科歯科大学、タケダ-CiRA共同研究プログラム(T-CiRA)、滋賀医科大学、名古屋大学の共同研究グループは、ヒトiPS細胞由来の血管オルガノイドを作成し、それを用いたin vitroおよびin vivo実験で、補体代替経路と呼ばれる分子経路群が血管炎や血栓の原因となりうることを発見した。さらに、補体代替経路を増幅するD因子に着目し、D因子を阻害する半減期延長型抗D因子抗体を用いることで、SARS-CoV-2感染モデルの血管炎症状の軽減に成功した。本研究結果は、Cell Stem Cell誌2023年10月5日号に掲載された。

抗インフル薬、国内で最も処方頻度が高いのは?/NCGM国府台病院

 国立国際医療研究センター(NCGM)国府台病院総合内科の酒匂 赤人氏らの研究グループと国立国際医療研究センター病院は共同でわが国の全国規模のインフルエンザ診療の実態を調べ、その結果を報告した。  研究報告によると2017年度の抗インフルエンザ治療薬処方人数は1,339万例で、薬剤費は480億円。2018年度では処方患者数の約38%を20歳未満が占め、5~9歳では4例に1例が処方された計算だった。PLoS One誌2023年10月4日号の報告。

HIV陽性者の結核性髄膜炎、デキサメタゾン追加は有用か/NEJM

 結核性髄膜炎を有するHIV陽性の成人患者の治療において、抗結核化学療法に補助療法としてデキサメタゾンを追加する方法は、プラセボの追加と比較して、1年生存率を改善せず、神経障害や免疫再構築症候群(IRIS)の発生などに関しても有益性を認めないことが、ベトナム・オックスフォード大学臨床研究所(OUCRU)のJoseph Donovan氏らが実施した「ACT HIV試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌2023年10月12日に掲載された。  ACT HIV試験は、ベトナムとインドネシアの施設で実施された二重盲検無作為化プラセボ対照試験であり、2017年5月~2021年4月の期間に参加者の無作為化を行った(Wellcome Trustの助成を受けた)。

医師が不足を痛感している医薬品は?緊急アンケート結果/日本医師会

 医薬品不足が止まらない。厚生労働省は9月29日に『鎮咳薬(咳止め)・去痰薬の在庫逼迫に伴う協力依頼』の事務連絡を出し、各医療機関、薬局および医薬品卸売販売業者に対して現況の周知を依頼する事態が起きている。医療ジャーナリストの村上 和巳氏もこの医薬品不足が処方医においても他人事ではないことを訴え、CareNet.comの連載『第182回:鎮咳薬・去痰薬不足、医師が知っておきたい“患者対応Q&A”』で取り上げて、昨今の医薬品不足の背景や今後の見込みなど、患者が処方医に尋ねそうな質問と模範回答を10項目列挙している。

革新的新薬の創出へ、アカデミア・ベンチャーと製薬企業の連携強化

 一般社団法人アカデミア発バイオ・ヘルスケアベンチャー協会が設立記念シンポジウムを10月18日に開催した。本協会は前身の大学発バイオベンチャー協会の趣旨を引継ぎ、バイオベンチャーやスタートアップの振興と産官学連携の推進を目的に今年5月22日に設立された。本協会の理事長である森下 竜一氏(大阪大学寄付講座 教授)によると、医療イノベーション推進のためには業界をワンボイスで進めて行く必要があり、そのためにさまざまな意見を取り込みながらアカデミア発のベンチャー振興の政策提言を令和6年半ばを目途に取りまとめていく予定だという。

洪水後に水が引いても死亡リスクは長期にわたり上昇

 洪水を経験した人は、災害が起きている間だけでなく、その後も最長で60日にもわたって死亡リスクが上昇することが、新たな研究で明らかにされた。モナシュ大学(オーストラリア)公衆衛生・予防医学部のYuming Guo氏らによるこの研究の詳細は、「The BMJ」に10月4日掲載された。  Guo氏らはこの研究で、2000年から2019年の間に1回以上の洪水に見舞われた、世界35カ国の761カ所のコミュニティーの死亡データを入手して調査し、洪水を経験することと、あらゆる原因による死亡(全死亡)、心血管疾患による死亡、および呼吸器疾患による死亡との関連を時間の経過に沿って検討した。

介護施設の入浴時ユニバーサル除菌、感染症入院リスクを低下/NEJM

 ナーシングホームにおいて、全入所者に対するクロルヘキシジンの使用とポビドンヨード経鼻投与による除菌は、通常ケアよりも感染症による入院リスクを有意に低下することが示された。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のLoren G. Miller氏らが、ナーシングホーム28ヵ所の入所者計2万8,956人を対象に行ったクラスター無作為化試験で明らかにした。ナーシングホームの入所者は、感染・入院および多剤耐性菌の保菌率が高いといわれる。NEJM誌オンライン版2023年10月10日号掲載の報告。