感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:70

サル痘を疑う閾値を低くする必要も、多様な症状/Lancet

 スペイン・Hospital Universitario 12 de OctubreのEloy Jose Tarin-Vicente氏らは、同国サル痘患者について臨床およびウイルス学的特性を明らかにする前向き観察コホート研究を行い、サル痘は性器、肛門周囲および口腔の病変と直腸炎や扁桃炎などの合併症を引き起こしており、病変部でウイルス量が多いことを示した。著者は、「症状はさまざまであり、臨床医はサル痘を疑う閾値を低くする必要がある」と述べている。また、「罹患者の性的接触歴や病変の分布から、現在起きている集団発生は濃厚接触が主要な感染経路と考えられる」とも報告した。サル痘は、2022年5月に欧州の複数の国で発症例が報告されて以降、急速に世界中に広がったが、初期の報告では非定型的な症状が示唆されていた。Lancet誌オンライン版2022年8月8日号掲載の報告。

コロナ罹患後症状、約13%は90~150日も持続/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後の持続する全身症状(いわゆる後遺症)としての呼吸困難、呼吸時の痛み、筋肉痛、嗅覚消失・嗅覚障害などの長期(90~150日)発生率は12.7%と推定されることが、オランダで約7万6,000例を対象に行われた観察コホート試験で示された。オランダ・フローニンゲン大学のAranka V. Ballering氏らが、同国北部在住者を対象にした、学際的前向き住民ベース観察コホート試験で、健康状態や健康に関連する生活習慣などを評価するLifelines試験のデータを基に、COVID-19診断前の状態や、SARS-CoV-2非感染者のマッチングコントロールで補正し、COVID-19に起因する罹患後症状の発生率を明らかにした。Lancet誌2022年8月6日号掲載の報告。

心筋炎リスクを天秤にかけても新型コロナワクチンは接種したほうがよいようだ(解説:甲斐久史氏)

感染力は強いものの重症化率が低いとされるオミクロン株が主流となったことで、正常な社会経済活動と新型コロナウイルスが共存するWithコロナ時代が本格的到来かと思われた。しかし、オミクロン株BA.5による感染拡大第7波は、8月に入ってもピークアウトすることなく、3年ぶりの行動制限のない夏休み・お盆休みを迎えた。感染者も小児〜若年者中心から後期高齢者も含めた全年齢層に拡大し、重症者数・死亡者数も着実に増加している。加えて、多くの医療従事者が感染者あるいは濃厚接触者となることで出勤停止となり、その結果、コロナ診療のみならず一般医療・救急医療はこれまでにない逼迫した状況に直面している。そのような中、60歳以上の高齢者に加えて、急遽、医療従事者および高齢者施設等の従事者への新型コロナワクチン第4回目接種が進められることとなった。わが国における3回目接種率は60歳以上では80%以上であるのに対して、12〜19歳では36%、20〜30歳代では50%前後にとどまっている。若者ほどワクチン接種後の高熱や倦怠感といった副反応が強いことに加え、若者には実感しにくい重症化予防効果はさておき、目に見える感染予防効果がオミクロン株において低下していることもその背景にあろう。

モデルナ、オミクロン株対応2価ワクチンを国内承認申請

 2022年8月10日、モデルナ・ジャパンは、追加接種用2価ワクチンmRNA-1273.214 50μgを、18歳以上を対象とした追加接種用ワクチンとして厚生労働省に承認事項一部変更申請を行ったことを発表した。追加接種用2価ワクチンmRNA-1273.214は、mRNA-1273とオミクロン株対応のmRNAを含んでいる。  今回の申請は、臨床試験前に血清学的にSARS-CoV-2検査が陰性であった被験者に対する、第II/III相臨床試験などの結果に基づく。  第II/III相臨床試験では、mRNA-1273.214による追加接種(50μg)が、mRNA-1273の追加接種(50μg)との比較において、オミクロン株(BA.1)に対する中和抗体反応など全ての主要評価項目を達成した。

コロナ関連死リスク、BA.1株はデルタ株より低い/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡のリスクは、オミクロン変異株(BA.1)のほうがデルタ変異株(B.1.617.2)より低い。英国・Office for National StatisticsのIsobel L. Ward氏らが、後ろ向きコホート研究の結果を報告した。これまでに、オミクロン株のすべての系統(BA.1、BA.2、BA.3、BA.4、BA.5)はデルタ株より感染しやすいが、SARS-CoV-2検査陽性後28日以内の入院および死亡リスクは、オミクロン株のほうがデルタ株より低いことが示唆されていた。しかし、オミクロン株とデルタ株で、死亡診断書から特定されるCOVID-19関連死のリスクを比較した研究は不足していた。BMJ誌2022年8月2日号掲載の報告。

幼児のいる親はコロナ重症化リスクが低い~300万人超の分析

 米国・Kaiser Permanente Northern California(KPNC)のMatthew D. Solomon氏らが、幼児と接する機会の有無が、成人のCOVID-19重症化リスクに影響するかどうかを、300万人超の大規模なリアルワールドデータで調査した。その結果、家に0~5歳の子供がいる成人では、家に子供がいない成人に比べて重症化率が有意に低いことが報告された。これまで、小児では、過去のSARS-CoV-2以外のコロナウイルスへの曝露による交差免疫が、COVID-19の重症化予防に寄与している可能性が示唆されている。そこで、5歳未満の小児のいる成人ではウイルスへの曝露機会が増加するため、成人のSARS-CoV-2以外のコロナウイルスへの交差免疫の有無を小児との接触と推定して、COVID-19の重症化リスクを評価することにした。Proc Natl Acad Sci USA誌2022年8月16日号に掲載。

新型コロナ入院患者へのバリシチニブ、死亡低減効果は?/Lancet

 英国・オックスフォード大学のPeter W. Horby氏ら「RECOVERY試験」共同研究グループは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の入院患者に対する経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬バリシチニブの死亡リスク低減効果は約13%と、これまでに発表されたJAK阻害薬の無作為化比較試験8件のメタ解析によるリスク低減効果(約43%)よりも小さかったことを報告した。また、RECOVERY試験を含めたメタ解析の結果、JAK阻害薬(主にバリシチニブ)によるCOVID-19入院患者の死亡低減効果は約20%であったことも報告した。Lancet誌2022年7月30日号掲載の報告。

医療者のブレークスルー感染率、3回vs.4回接種

 オミクロン株流行下において、感染予防の観点から医療従事者に対する4回目接種を行うメリットは実際あったのか? イスラエルでのオミクロン株感染ピーク時に、3回目接種済みと4回目接種済みの医療従事者におけるブレークスルー感染率が比較された。イスラエル・Clalit Health ServicesのMatan J. Cohen氏らによるJAMA Network Open誌オンライン版2022年8月2日号掲載の報告より。  本研究は、イスラエルにおけるオミクロン株感染者が急増し、医療従事者に対する4回目接種が開始された2022年1月に実施された。対象はイスラエルの11病院で働く医療従事者のうち、2021年9月30日までにファイザー社ワクチン3回目を接種し、2022年1月2日時点で新型コロナウイルス感染歴のない者。4回目接種後7日以上が経過した者(4回目接種群)と、4回目未接種者(3回目接種群)を比較し、新型コロナウイルス感染症の感染予防効果を分析した。感染の有無はPCR検査結果で判定され、検査は発症者または曝露者に対して実施された。

COVID-19陽性者のメンタルヘルスに対するヨガの効果

 COVID-19パンデミックは、社会全体にストレス、不安、うつ病の増加をもたらした。とくにCOVID-19の検査で陽性となった人々では、メンタルヘルスやウェルビーイングへの影響が大きい。インド工科大学デリー校のNitesh Sharma氏らは、COVID-19の影響を受けた患者のストレス、不安、うつ病の軽減に対するヨガ介入療法の有効性を評価するため、COVID-19病棟における準ランダム化比較試験を実施した。また、COVID-19の影響を受けた患者のSpO2と心拍数の測定も実施した。その結果、ヨガ介入療法は、COVID-19陽性者のストレス、不安、うつ病の軽減に対し、実践可能な介入である可能性が示唆された。International Journal of Yoga Therapy誌2022年1月1日号の報告。