感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:71

鼻腔ぬぐい液を用いた新型コロナウイルス検査-自己採取と医療従事者採取の比較-(解説:小金丸博氏)

4~14歳の小児において、鼻腔ぬぐい液を用いた新型コロナウイルスの検出率を自己採取と医療従事者採取で比較した横断研究がJAMA誌オンライン版2022年8月26日号に報告された。自己採取は簡単な説明資材(ビデオと印刷物)を見た後に行い、その次に医療従事者が2回目の検体を採取した。その結果、陽性一致率は97.8%(95%信頼区間[CI]:94.7~100.0)、陰性一致率は98.1%(同:95.6~100.0)と高率だった。陽性検体のCt値も検討されているが、両群間で同等の結果であった。検査結果が不一致となったのが4例あったが、陽性検体において比較的高いCt値を示しており、ウイルスの排出量が少ない場合に一致率が低下する可能性が示唆された。

1・2回目ファイザーワクチンなら、3回目はモデルナで感染予防効果増/東大

 ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンによる1次接種(1回目および2回目接種)完了者が、3回目のブースター接種としてファイザー製ワクチンを接種するよりも、モデルナ製ワクチンを接種するほうがその後の新型コロナウイルス感染率が低いことを、東京大学大学院医学系研究科の大野 幸子氏らが発表した。これまで1次接種とブースター接種のワクチンの組み合わせによって効果が異なる可能性が示唆されていたが、実際の感染予防効果の差は明確ではなかった。Clinical Infectious Diseases誌オンライン版2022年9月18日号掲載の報告。

日本でのコロナ死亡例の分析結果/COVID-19対策アドバイザリーボード

 第98回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードが、9月7日に開催された。その中で大曲 貴夫氏(国立国際医療研究センター 国際感染症センター/COVIREGI解析チーム)らのチームが、「COVID-19レジストリに基づく死亡症例の分析」を報告した。  レジストリ研究は、わが国におけるCOVID-19患者の臨床像および疫学的動向を明らかにすることを目的に、2020年1月から行われている。COVID-19と診断され、医療機関において入院管理されている症例を対象に(8月22日時点で登録症例数は7万920症例)、COVID-19の臨床像・経過・予後、重症化危険因子の探索、薬剤投与症例の経過と安全性について解析、検討が行われている。

オミクロン流行も学術集会の現地参加は問題ない?

 国内の学術集会が軒並みオンライン中心で実施されるなか、海外ではマスクなしで大勢の参加者が現地に赴いているというが、大丈夫なのだろうか。米国・Surgical Outcomes and Quality Improvement CenterのCasey M Silver氏らが、新型コロナウイルスのオミクロン株が急増中に開催された大規模な学会において、現地出席者とオンライン出席者の新型コロナウイルス感染症の陽性率を比較した。それによると、ほとんどの登録者は会議に直接出席するも、陽性率は低く、現地出席者とオンライン出席者の間で陽性率が同等であったことが示唆された。JAMA Network Open 2022年9月1日号掲載の報告。  本横断的調査研究には、米国最大の外科学会の1つであるAcademic Surgical Congress (ASC) の参加者が含まれた。ASCは2022年2月1~3日にフロリダ州オーランドで開催(現地またはオンライン参加)。その際の新型コロナ感染予防対策として、自己検査の奨励、ワクチン接種とマスク着用の義務化、屋外での飲食物の提供などが行われた。学会後7日間の新型コロナ検査と症状を評価する調査のために登録者を募集した。また、現地出席者とオンライン出席者の陽性率の違いはχ2検定を使用して評価された。  主な結果は以下のとおり。

20歳未満のコロナ死亡例、基礎疾患やワクチン接種状況は?/国立感染症研究所

 国立感染症研究所は9月14日、新型コロナウイルス感染後の20歳未満の死亡例に関する積極的疫学調査(第一報)の結果を発表した。オミクロン株の感染拡大に伴い、小児の感染者数が増加し、重症例や死亡例発生も報告されている。厚生労働省および同研究所は、日本小児科学会、日本集中治療医学会、日本救急医学会とともに、急性期以降の死亡例も含めて、積極的疫学調査を実施した。その結果、基礎疾患の有無がほぼ同数であり、ワクチン接種対象年齢でも87%が未接種で、発症から死亡まで1週間未満が73%(中央値4日)を占めていることなどが明らかになった。  本結果は、2022年1月1日~8月31日に報告された小児等の死亡例に関する暫定的な報告となる。調査対象となったのは、急性期の死亡例、加えて、死因を新型コロナとは別原因とした症例で、発症からの日数は問わないとする急性期以降に死亡した症例の計41例。そのうち32例について8月31日までに実地調査を行うことができ、明らかな内因性死亡と考えられたのは29例であった。調査項目は、年齢、性別、基礎疾患、新型コロナワクチン接種歴、発症日、死亡日、症状/所見、死亡に至る経緯等となっている。小児の死亡例は、2022年1月から継続的に発生し、疫学週28週目(7月11~17日)から増加していた。

5~11歳への3回目接種を追加、新型コロナ予防接種の手引き9版/厚労省

 厚生労働省は、9月6日に全国の市町村に「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き(9版)」を発出するとともに、同省のホームページでも公開した。本手引きは2020年12月17日の初版以来、十数回の更新を行い、その時どきの臨床知見、行政施策を反映した内容に改訂されている。 【第2章 5(新型コロナワクチンの概要)、第7章(ワクチン各論)】 ワクチンの有効期限について事務連絡の日付・名称を更新 【第4章 3(13)(接種を受ける努力義務等の取扱い)】 接種を受ける努力義務などの取扱いについて更新

JAK阻害薬とSteroid併用の重要性(解説:山口佳寿博氏/田中希宇人氏)

今回取り上げた論文は、英国のRECOVERY試験の一環としてJanus kinase(JAK)阻害薬であるバリシチニブ(商品名:オルミエント)のコロナ感染症における死亡を中心とした重症化阻止効果を検証した多施設ランダム化非盲検対照試験(Multicenter, randomized, controlled, open-label, platform trial)の結果を報告している。本論評では、非盲検化試験(Open label)の利点・欠点を考慮しながら、重症コロナ感染症治療におけるJAK阻害薬とSteroid併用の意義について考察する。ランダム化非盲検対照試験では、試験の標的薬物の内容を被験者ならびに検者(医療側)が認知している状態でランダム化される。従来の臨床治験では非盲検法はバイアスの原因となり質的に問題があるものとして高い評価を受けてこなかった。しかしながら、コロナ感染症が発生したこの数年間では、その時点で効果を見込める基礎治療を標準治療として導入しながら標的の薬物/治療を加えた群(治験群)と加えなかった群(対照群)にランダムに振り分け、標的薬物/治療の有効性を判定する非盲検化試験が施行されるようになった。

BA.2.75「ケンタウロス」に対するコロナ治療薬の効果を比較/NEJM

 2022年6月よりインドを中心に感染拡大したオミクロン株BA.2.75(別名:ケンタウロス)は、日本を含め、米国、シンガポール、カナダ、英国、オーストラリアなど、少なくとも25ヵ国で確認されている。河岡 義裕氏、高下 恵美氏らによる東京大学、国立感染症研究所、国立国際医療研究センターが共同で行った研究において、BA.2.75に対し、4種類の抗体薬と3種類の抗ウイルス薬についてin vitroでの有効性を検証したところ、一部の抗体薬とすべての抗ウイルス薬が有効性を維持していることが示された。本結果は、NEJM誌オンライン版2022年9月7日号のCORRESPONDENCEに掲載された。

ファイザーとモデルナのBA.1対応追加接種用2価ワクチンを承認/厚生労働省

 厚生労働省は9月12日、ファイザーおよびモデルナのオミクロン株BA.1に対応した新型コロナウイルス2価ワクチンを承認(特例承認医薬品における効能・効果、用法・用量の一部変更承認)したことを発表した。2価ワクチンの販売名は、ファイザーが「コミナティRTU筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)」、モデルナが「スパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)」となる。両ワクチンともに追加接種用で、ファイザー製は12歳以上、モデルナ製は18歳以上が対象となる。