感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:84

オミクロンvs.デルタ、ワクチン接種・感染歴・年齢別の入院・死亡リスク/Lancet

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染後の重症アウトカムのリスクについて、デルタ変異株(B.1.617.2)よりもオミクロン変異株(B.1.1.529)で大幅に低く、オミクロン変異株ではより重症度の高いエンドポイント発生が大きく低下しており、年齢間のばらつきは顕著であることなどが、英国・ケンブリッジ大学のTommy Nyberg氏らによる検討で示された。オミクロン変異株は部分的なワクチンエスケープと、高い感染性が示されているが、早期の試験でデルタ変異株よりも重症化リスクは低いことが示唆されていた。Lancet誌オンライン版2022年3月16日号掲載の報告。

リハビリテーションでの感染症対応の指針まとまる/日本リハビリテーション医学会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防では、人と人との間に距離をとることが推奨されているが、理学療法や運動療法では患者の体を支えたりする必要もあり難しい。そのためCOVID-19に感染する、感染させるリスクが日常生活に比べて高くなる。  日本リハビリテーション医学会(理事長:久保 俊一氏[京都府立医科大学])は、2022年2月21日に「日本リハビリテーション医学会 感染対策指針 COVID-19含む」を制作、同学会のホームページで公開した。

がん患者でのブレークスルー感染リスクと転帰/JCO

 米国で最大のCOVID-19症例と対照の全国コホートを運営するNational COVID Cohort Collaborative Consortiumが、ワクチン接種を受けたがん患者のブレークスルー感染リスクと転帰について調査した結果が、Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2022年3月14日号で報告された。がん患者、とくに血液腫瘍患者はブレークスルー感染と重篤な転帰のリスクが高かったが、ワクチン接種患者ではブレークスルー感染リスクが著明に低下することが示唆された。

オミクロン株へのワクチン有効性、3回接種で対従来株と同等/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するmRNAワクチンは、アルファ変異株、デルタ変異株、オミクロン変異株によるCOVID-19関連入院の予防に高い有効性を示したが、オミクロン変異株に対しては、デルタ変異株やアルファ変異株に対する2回接種で得られる効果と同じ効果を得るためには、3回接種が必要であることが、米国・ミシガン大学のAdam S. Lauring氏らによる症例対照試験で示された。また、COVID-19による入院患者では、オミクロン変異株のほうがデルタ変異株より重症度が低かったものの、依然として罹患率および死亡率は高いこと、3種すべての変異株についてワクチン接種済みの患者は未接種患者と比較し重症度が有意に低いことも明らかになったという。BMJ誌2022年3月9日号掲載の報告。  研究グループは米国の21病院において、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)陽性が確認された18歳以上のCOVID-19入院患者(症例)と、同時期の非COVID-19入院患者(対照)を登録し、前向き観察研究を実施した。解析対象は、2021年3月11日~2022年1月14日の間に登録されたCOVID-19患者5,728例、対照患者5,962例の計1万1,690例であった。

オミクロン株へのブースター接種、入院・死亡への有効性は?/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のmRNAワクチンのブースター接種は、症候性デルタ変異株感染には高い有効性を示したが、症候性オミクロン変異株感染への有効性は低いことが、カタール・Weill Cornell Medicine-QatarのLaith J. Abu-Raddad氏らが同国で行ったコホート試験で示された。ただしいずれの変異株においても、mRNAワクチンのブースター接種が、COVID-19関連の入院および死亡に対する高い保護効果をもたらすことが示されたという。NEJM誌オンライン版2022年3月9日号掲載の報告。  研究グループは、2021年12月19日~2022年1月26日のオミクロン株が大流行していた期間中に、症候性SARS-CoV-2感染およびCOVID-19に関連した入院および死亡に対するワクチンブースター接種群と2回のプライマリ接種群を比較する、2つのマッチド後ろ向きコホート試験を実施した。  ブースター接種と感染の関連性を、Cox比例ハザード回帰モデルを用いて算出・評価した。

ゼロ・リスクか?ウィズ・リスクか?それが問題だ(解説:甲斐久史氏)

早いもので20年ほど前、外勤先の内科クリニックでの昼下がり。「今朝から、とくにどこというわけではないが、何となく全身がきつい」と20歳代後半の女性が来院した。熱も貧血もないのに脈拍が120前後。血圧はもともと低いそうだが収縮期血圧は80mmHg弱。心音・呼吸音に明らかな異常はないが、皮膚が何となくジトーッと冷たい気がする。聞いてみると先週、2〜3日間、風邪にかかったとのこと。心電図をとってみた。洞性頻脈。PQ延長(0.30秒くらいだったか?)。ドヨヨーンとした嫌な波形のwide QRS。どのように患者さんに説明し納得してもらったかは覚えていないが、ドクターヘリでK大学病院に搬送した。

高齢者と基礎疾患のある成人に早期の3回目接種を

 2022年3月11日、モデルナ・ジャパン株式会社(以下モデルナ社)はメディアセミナー「この春の感染拡大を見据えた3回目追加接種の必要性~Long COVID リスク等も視野にいれて~」を開催した。  本セミナーでは、始めにモデルナ社 代表取締役社長の鈴木 蘭美氏より、コロナワクチンの開発と最新パイプラインについての説明が行われた。  コロナワクチンに関しては本年秋頃の追加接種の可能性を見込み、モデルナ社ではオミクロン株用を含む追加接種用の2価ワクチンを開発中だという。またmRNA医薬品創出技術を生かしたパイプラインについては、サイトメガロウイルス感染症ワクチン、MSD社と共同開発のがんに対するワクチン、アストラゼネカ社と共同開発の心臓発作時の損傷を防ぐ新薬など、グローバルで計44の新薬開発プロジェクトが進行している。パイプラインの中には新型コロナウイルス・インフルエンザ・RSウイルスに対する3種混合ワクチンも含まれており、2023年秋までの提供開始を目指しているという。  3回目接種と今後のワクチン開発について、鈴木氏は「できるだけ多くの方に3回目のワクチン接種を受けてもらい、免疫を備えてもらいたい。ワクチンのリーディングカンパニーとして、(今後の感染状況が)最悪の場合を想定して最善を備えたいと思っている。」と強く語った。

コロナ禍で医療従事者のビタミンD欠乏が顕著/国立成育医療研究センター

 日々の生活でビタミンDが不足すると免疫力を低下させる可能性があり、長期間の屋内生活での運動不足では骨粗鬆症への影響も懸念される。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が蔓延する環境下で、医療従事者の長期間の屋内生活での影響はどのようなものがあるだろうか。  国立成育医療研究センターの「ナショナルセンター職員における新型コロナウイルス感染症の実態と要因に関する多施設共同観察研究」グループは、感染者の易感染性や重症化要因を評価する目的で、COVID-19患者受け入れ病院である同センターのハイリスク医療従事者361人を対象に、2021年3月1日~5日に調査を行い、その結果を発表した。

オミクロン株BA.2、コロナ治療薬の有効性は?/NEJM

 現在、オミクロン株亜種BA.2は、デンマーク、インド、フィリピンなどの地域において、オミクロン株BA.1系統から置き換わり、主流になっている。近いうちに日本国内でもBA.1からBA.2に置き換わることが予想されている。国立感染症研究所の高下 恵美氏らの研究グループは、オミクロン株BA.2に対し、7種類の抗体薬と3種類の抗ウイルス薬について、in vitroでの有効性を検証した。本研究の結果は、NEJM誌オンライン版2022年3月9日号のCORRESPONDENCEに掲載。  研究対象となった薬剤は、FDA(米国食品医薬品局)で承認済み、日本で承認済みのものが含まれる。日本で承認済みの抗体薬は、イムデビマブとカシリビマブの併用(商品名:ロナプリーブ)、ソトロビマブ(商品名:ゼビュディ)、抗ウイルス薬は、レムデシビル(商品名:ベクルリー)、モルヌピラビル(商品名:ラゲブリオ)、ニルマトレルビル(商品名:パキロビッドパック[リトナビルと併用])となる。

免疫不全者へのコロナワクチン、3回で抗体陽転率上昇か~メタ解析/BMJ

 免疫不全患者(血液がん、固形がん、免疫性炎症性疾患、臓器移植、HIV)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの接種による抗体陽転率が免疫正常者と比較して低いが、1回目に比べると2回目接種後に改善され、3回目の接種は有効である可能性があることが、シンガポール国立大学のAinsley Ryan Yan Bin Lee氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年3月2日号で報告された。  研究グループは、免疫不全患者と免疫正常者においてCOVID-19ワクチンの有効性を比較する目的で、文献を系統的にレビューし、メタ解析を行った(特定の研究助成は受けていない)。  医学データベース(PubMed、Embase、Central Register of Controlled Trials、COVID-19 Open Research Dataset Challenge[CORD-19]、WHO COVID-19 databases)を用いて、2020年12月1日~2021年11月5日の期間に発表された試験が検索された。また、ClinicalTrials.govとWHO International Clinical Trials Registry Platformを検索して、2021年11月の時点で、これらのサイトに登録されているが未発表または進行中の試験が特定された。