内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:102

地域枠出身の研修医の臨床能力は低いのか

 医師の偏在を解消するために医学部で地域枠の導入が進んでいる。2021年度には入学者全体の18.7%が地域枠学生となっている。その一方で、入学試験での成績は一般枠入学者に比べ、地域枠入学者で低い傾向にあることが知られ、入学後の学習能力や臨床能力の差異について懸念が示されてきた。  これら懸念事項について福井 翔氏 (杏林大学 総合医療学)、西崎 祐史氏 (順天堂大学 医学教育研究室)、徳田 安春氏 (群星沖縄臨床研修センター)らの研究チームは、日本全国の臨床研修医(postgraduate year[PGY]-1およびPGY-2)を対象に実施した基本的臨床能力評価試験(GM-ITE:General Medicine In-Training Examination)の結果と、研修教育環境に関するアンケート結果を用いて、地域枠卒業生のGM-ITEスコアの特徴を調査した。

適量の飲酒、非飲酒より死亡率低い?~女性コホート

 女性の中年期のアルコール摂取量と全死亡率およびがん死亡率の関連について、オーストラリア・メルボルン大学のYi Yang氏らが持続的仮説的介入で検討した結果、全死亡率はまったくアルコールを摂取していなかった場合よりもある程度の量(エタノール30g/日以下)を摂取していたほうが低くなっていた可能性が示唆された。一方、がん死亡率では明らかではなかった。American Journal of Epidemiology誌オンライン版2023年7月24日号に掲載。  本研究は、1996~2016年に定期的に収集されたAustralian Longitudinal Study on Women's Health 1946~51年出生コホートのデータを用いた。ベースライン時に女性をさまざまなアルコール摂取量(エタノール0~30g/日超、または30g/日超の場合は20g/日以下に減量)に割り付け、摂取量を継続した場合の全死亡率およびがん死亡率を推定した。

睡眠リズムの乱れで若年者の血圧上昇に対する内臓脂肪の影響が増大する

 若年者では、血圧上昇に対する内臓脂肪組織(VAT)の影響は、睡眠リズムが乱れると増大するという研究結果が「Hypertension」に3月6日掲載された。  VATは心血管代謝系の健康状態に影響し、また両者は同時に睡眠リズムの影響を受けることが知られている。米ペンシルベニア州立大学医学部のNatasha Morales-Ghinaglia氏らが行った今回の後ろ向きコホート研究では、VAT(肥満)が心血管代謝系の健康状態(血圧)に影響を及ぼす際における調整変数(moderator)としての睡眠リズムの役割について検討した。  対象はPenn State Child Cohortに参加した若年者303人(平均年齢16.2±2.2歳、女性47.5%)。アクチグラフを用いて7晩にわたり、総睡眠時間および標準偏差、睡眠中央時刻(就寝時刻から起床時刻までの中央の時刻)および標準偏差を、通学日・非通学日、平日・週末別に算出した。睡眠中央時刻および標準偏差(睡眠の不規則性)が、VATと収縮期血圧(SBP)/拡張期血圧(DBP)との関連に対する調整変数となるか否かを、多変量線形回帰モデルにより人口統計学的因子、総睡眠時間および標準偏差を調整して解析した。VATは二重エネルギーX線吸収スキャンにより測定し、血圧は座位で測定した。

動脈硬化疾患の1次予防に積極的な脂質管理の幅が広がった(解説:平山篤志氏)

脂質低下療法にスタチンが広く用いられるが、筋肉痛などの副作用を訴える場合があり、スタチン不耐性と呼ばれ使用できない患者がいて、脂質への介入がなされていない場合がある。心血管疾患の既往のある患者の2次予防では、エゼチミブあるいはPCSK9阻害薬を使用してでも脂質低下が行われる。しかし、1次予防の動脈硬化疾患発症リスクの高い対象、たとえば糖尿病患者では脂質低下療法が行われていないことが多く、さらにスタチン不耐性では放置されていることが多い。

NAFLD・NASHが名称変更!?新しい名称は…

 「非アルコール性脂肪肝疾患 (NAFLD:nonalcoholic fatty liver disease、わが国ではナッフルディ、ナッフルドと呼ばれる) と非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH:nonalcoholic steatohepatitis 、ナッシュ) が名称変更される」と、先日開催された欧州肝臓学会国際肝臓学会議(EASL-ILC)2023で発表された。以前から欧米ではNAFLDやNASHという用語が患者への偏見になるという声が上がっていたようで、今回、米国・シカゴ大学のMary E. Rinella氏らは論文などの趣意に関する専門家や患者支援者が命名法や定義の変更について支持しているか否かを調査した。その結果、改名に際し“metabolic”(代謝性)という用語を含めることが求められ、新たな名称としてNAFLDはMASLD(metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease)へ、NASHはMASH(metabolic dysfunction-associated steatohepatitis)への変更が望ましいことが明らかになった。Journal of Hepatology誌2023年6月24日号掲載の報告。

コロナの急性期症状、男女差は?

 男性のほうが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状が重症化しやすく死亡率が高いという、性別による差異が報告されている。その理由として、男性のほうが喫煙率や飲酒率、予後悪化に関連する併存疾患を有している割合が高いなどの健康格差が示唆されている1)。今回、COVID-19の急性期症状の性差を調査したところ、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)陽性と判定された男性では発熱や悪寒といった特定の症状の発現率が女性よりも高いことが、米国・テキサス大学ヒューストン健康科学センター/アーカンソー医科大学のJenil R. Patel氏らにより明らかになった。Preventive Medicine Reports誌2023年10月号掲載の報告。

日本エンドオブライフケア学会第6回学術集会の開催について【ご案内】

 日本エンドオブライフケア学会第6回学術集会が、2023年9月16日(土)、17日(日)に昌賢学園まえばしホール(群馬県・前橋市民文化会館)で開催される。プログラムは、人の誕生から高齢者まで幅広くエンドオブライフケアの専門的な講演、シンポジウム、ケア技術の実演講演、がんの最新治療、海外招聘講演、エンドオブライフケアやアドバンス・ケア・プランニング(ACP)に関する相談コーナーなど、豊富に揃えている。また、9月15日(金)には同会場小ホールで前夜祭が開催される。ご興味のある方、参加ご希望の方はぜひ学術集会ホームページにアクセスされたい。

solanezumab、前臨床期アルツハイマー病の進行を遅延せず/NEJM

 前臨床期のアルツハイマー病患者において、solanezumabはプラセボと比較し、約4.5年間で認知機能低下を遅延しなかった。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のReisa A. Sperling氏らが、米国、日本、カナダおよびオーストラリアの67施設で実施した無作為化比較試験「Anti-Amyloid Treatment in Asymptomatic Alzheimer's Disease:A4試験」の結果を報告した。アルツハイマー病の異なる病期において、さまざまな形態のアミロイドを標的とするモノクローナル抗体の臨床試験が行われているが、結果はまちまちである。solanezumabは、可溶性のアミロイドβ単量体を標的としていた。NEJM誌オンライン版2023年7月17日号掲載の報告。

DPP-4阻害薬の副作用「類天疱瘡」、適切な処置の注意喚起/PMDA

糖尿病治療薬DPP-4阻害薬やその配合剤の副作用として知られている類天疱瘡。DPP-4阻害薬服用後にこの副作用を疑う皮膚異常がみられたにもかかわらず、投与が継続され類天疱瘡の悪化を来し入院するケースが報告されているという。これに対して医薬品医療機器総合機構PMDAは7月27日に医薬品適正使用のお願いを発出した。  PMDAは以下のように注意を呼びかけている。

秋接種、ファイザーとモデルナのXBB.1.5対応1価ワクチン購入合意/厚労省

 厚生労働省は7月28日、新型コロナワクチンの2023年秋開始接種に向けて、オミクロン株XBB対応1価ワクチンとして、ファイザーから2,000万回分、モデルナから500万回分を追加購入することについて、両社と合意したことを発表した。なお、必要に応じて追加購入することも合意している。  同日にファイザーが発表したプレスリリースによると、今回供給を予定しているのは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のオミクロン株XBB.1.5系統のスパイクタンパク質をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)を含む1価ワクチンとなっている。本ワクチンは、同社が2023年7月7日に厚生労働省に承認事項一部変更申請を行っていた。