内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:100

コーヒーがアルツハイマー型認知症リスクに及ぼす影響~メタ解析

 アルツハイマー病は、世界中で数百万人が罹患している神経変性疾患である。その予防や発症を遅らせる可能性のある生活要因の特定は、研究者にとって非常に興味深いことである。現在の研究結果に一貫性はないものの、広く研究されている因子の1つにコーヒーの摂取量がある。韓国・仁済大学校のIrin Sultana Nila氏らは、コーヒー摂取量がアルツハイマー病リスクに及ぼす影響について、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、1日のコーヒー摂取が1~4杯でアルツハイマー病リスクの低減がみられたが、4杯以上ではリスクが増加する可能性が示唆された。Journal of Lifestyle Medicine誌2023年8月31日号の報告。

COVID-19後の嗅覚・味覚障害は3年で回復へ

 軽症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患し、嗅覚障害や味覚障害を経験している人にとって朗報となる研究結果が発表された。COVID-19パンデミック初期に軽症のCOVID-19に罹患した人を3年間追跡したこの研究によると、罹患者と非罹患者との間での嗅覚障害と味覚障害の有病率は、罹患から3年後では同等であることが明らかになった。トリエステ大学(イタリア)のPaolo Boscolo-Rizzo氏らによるこの研究結果は、「JAMA Otolaryngology-Head and Neck Surgery」に11月9日掲載された。

医師が患者の減量を成功に導くためのアプローチとは?

 医師が患者に減量を勧める場合、楽観的な言葉や明るい調子で減量が肯定的な機会であることを伝えると、患者は減量に成功しやすいことが、新たな研究で明らかになった。英オックスフォード大学Nuffield Department of Primary Care Health SciencesのCharlotte Albury氏らによるこの研究の詳細は、「Annals of Internal Medicine」に11月7日掲載された。  国際的なガイドラインでは、プライマリケア医は患者の肥満度を確認し、過体重や肥満の患者には治療を提供すべきことを推奨している。患者は、医師の使う言葉や口調を重視しているものの、医師が患者の体重についてどのように話し、どのように治療を提供すれば患者が受け入れやすく、効果も見込めるのかについてのエビデンスはほとんどない。

世界初のsa-mRNAコロナワクチンが国内承認/CSL・Meiji Seika

 SL Seqirus社(オーストラリア、メルボルン)とMeiji Seika ファルマは、2023年11月28日に、自己増幅型メッセンジャーRNAワクチン(sa-mRNA、レプリコンワクチンとも呼ばれる)である「コスタイベ筋注用」(ARCT-154)について、「SARS-CoV-2による感染症の予防」を適応とした成人の初回免疫および追加免疫における国内製造承認を取得した。CSL Seqirus社のファミリー企業のCSLベーリングが11月29日付のプレスリリースで発表した。本ワクチンは、世界で初めて承認を受けたsa-mRNAワクチンとなる。この次世代ワクチンは、日本ではMeiji Seika ファルマが商業化を行う。なお、今回承認を取得したのは新型コロナウイルスの従来株対応1価ワクチンで、現在の流行株とは異なるため供給されない。

医師数が少なく検査機器数が多い日本の医療/OECD

 経済協力開発機構(OECD/本部:フランス・パリ)から加盟38ヵ国に関する医療レポートが、11月7日に公表された。レポートでは、新型コロナ感染症(COVID-19)が与えた各国への影響のほか、医療費、医療の質などの関する内容が記載されている。平均寿命はOECDの中で84.5歳と1番長いが、受診率の多さ、医師数、電子化の遅れなど他の国との差もあり、今後の課題も提示されている。

若~中年での高血圧、大腸がん死亡リスクが増加~NIPPON DATA80

 高血圧とがんリスクとの関連についての報告は一貫していない。今回、岡山大学の久松 隆史氏らが、日本人の前向きコホートNIPPON DATA80において、高血圧と胃がん、肺がん、大腸がん、肝がん、膵がんによる死亡リスクとの関連を調査したところ、30~49歳における高血圧は、後年における大腸がん死亡リスクと独立して関連していることがわかった。Hypertension Research誌オンライン版2023年11月22日号に掲載。  研究グループは、NIPPON DATA80(厚生労働省の循環器疾患基礎調査1980年)において、ベースライン時に心血管系疾患や降圧薬服用のなかった8,088人(平均年齢48.2歳、女性56.0%)を2009年まで追跡。喫煙、飲酒、肥満、糖尿病などの交絡因子で調整したFine-Gray競合リスク回帰を用いて、血圧が10mmHg上昇した場合のハザード比(HR)を推定した。また、逆の因果関係を考慮し、追跡開始後5年以内の死亡を除外して解析した。

赤身肉の摂取量が多いと糖尿病リスクが上昇

 赤身肉の摂取量が多い人ほど糖尿病発症リスクが高いというデータが報告された。米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院のXiao Gu氏らの研究によるもので、詳細は「The American Journal of Clinical Nutrition」に10月19日掲載された。  この研究は、米国内の看護師を対象に実施されている「Nurses' Health Study(NHS)」、NHSより新しい世代の看護師を対象に実施されている「NHS II」、および、医療従事者対象の「Health Professionals Follow-up Study(HPFS)」の参加者21万6,695人(女性81%)を解析対象として実施された。赤身肉の摂取量は、参加登録時と2~4年ごとに、半定量的な食物摂取頻度調査票(FFQ)を用いて評価された。

1週間の低ナトリウム食、降圧薬と同程度の降圧効果/JAMA

 50~75歳の中高年において、低ナトリウム(Na)食(1日のNaが計約500mg)の1週間摂取は高Na食の1週間摂取と比較して血圧を有意に低下させ、その低下は高血圧症の有無や降圧薬の使用とは関係ないことが示された。米国・ヴァンダービルト大学医療センターのDeepak K. Gupta氏らによる「CARDIA-SSBP試験」の結果で明らかになった。推奨Na摂取量については、食事によるNa摂取に対する血圧反応の個人差が一部で議論されている。また、降圧薬服用者における食事によるNa摂取の血圧への影響は、これまで十分に研究されていなかった。JAMA誌オンライン版2023年11月11日号掲載の報告。

「肥満症治療薬の安全・適正使用に関するステートメント」発表/日本肥満学会

 肥満症治療薬セマグルチド(商品名:ウゴービ皮下注)が、2023年11月22日に薬価収載された。すでに発売されている同一成分の2型糖尿病治療薬(商品名:オゼンピック皮下注)は、自費診療などによる適応外の使用が行われ、さまざまな問題を引き起こしている。こうした事態に鑑み、日本肥満学会(理事長:横手 幸太郎氏[千葉大学大学院医学研究院内分泌代謝・血液・老年内科学教授])は「肥満症治療薬の安全・適正使用に関するステートメント」を11月27日に同学会のホームページで公開した(策定は11月25日)。  ステートメントでは、「肥満と肥満症は異なる概念であり、肥満は疾患ではないため、この存在のみでは本剤の適応とはならない」と適応外での使用に対し注意を喚起しており、適応としての「肥満症」、使用時に確認すべき注意点について以下のように整理している。

2型糖尿病患者のメトホルミン服用中止は認知症リスクを高める?

 2型糖尿病患者が、長期的な使用が前提とされている血糖降下薬のメトホルミンの服用を早期に中止すると、加齢に伴い、思考力や記憶力に問題の生じるリスクが高まる可能性のあることが、新たな研究で示唆された。論文の上席著者である、米ボストン大学の疫学者Sarah Ackley氏は、「メトホルミンの服用を続けることが、認知症発症の予防や遅延につながることが分かった。これは大きな励みとなる結果だ」と述べている。この研究の詳細は、「JAMA Network Open」に10月25日掲載された。  Ackley氏によると、メトホルミンには幅広い効能があるため、通常、糖尿病治療の第一選択肢とされており、特定の理由がない限り服用を継続することが推奨されている。メトホルミンの服用により腎障害などの副作用が生じた患者や、薬に頼らない血糖コントロールを希望する患者では、メトホルミンの服用が中止されることがある。