内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:105

認知症に対するゲーム療法の有効性~メタ解析

 アルツハイマー病は、重度の神経変性疾患であり、直接的および間接的に大きな経済的負担をもたらす。しかし、効果的な薬物療法の選択肢はいまだ限られている。近年、認知症患者に対するゲーム療法が注目を集め、さまざまな研究が行われている。中国・北京大学のJiashuai Li氏らは、既存の研究データを統合し、認知症患者に対するゲーム療法の効果を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、ゲーム療法は、認知症患者の認知機能および抑うつ症状の改善が期待できる介入であることが示唆された。Worldviews on Evidence-Based Nursing誌オンライン版2023年6月12日号の報告。  認知機能、QOL、抑うつ症状をアウトカム指標とし、認知症患者に対するゲーム療法の影響を評価したランダム化臨床試験および準実験的研究を分析対象に含めた。トレーニングを受けた2人の独立した研究者により、研究のスクリーニング、品質評価、データ抽出を実施した。統計分析には、Review Manager(Revman)5.3およびSTATA16.0ソフトウエアを用いた。

1日の後半の断食で血糖コントロール改善?

 近年、断続的断食のメリットを示唆する報告が増え、それを実践する人も増えているが、1日の中で早めの時間帯に大半の食事を済ますことが、2型糖尿病の予防につながる可能性が新たに報告された。米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン・ヘルスのJoanne Bruno氏らの研究によるもので、米国内分泌学会(ENDO2023、6月15~18日、シカゴ)で発表された。  この研究には、肥満で前糖尿病状態の10人が参加した。前糖尿病とは、血糖値が基準値より高いものの、糖尿病と診断されるほどではない状態を指し、肥満とともに2型糖尿病のリスク因子とされている。

腸内細菌叢の変化は前臨床期アルツハイマー病のサイン?

 脳内にアミロイドβ(Aβ)とタウの2種類のタンパク質が異常に蓄積しているが、認知症の症状はない前臨床期アルツハイマー病の状態にある人では、そのような状態にはない人と比べて腸内細菌叢に違いのあることが、米セントルイス・ワシントン大学神経学教授のBeau Ances氏らの研究で示された。認知症のリスクが高い人を見つけ出す方法や、認知症高リスク者に対する治療法の開発につながる可能性がある研究結果として期待が寄せられている。研究の詳細は、「Science Translational Medicine」6月14日号に掲載された。

適度な飲酒で心血管リスクが低減する理由とは?

 適度な飲酒が心臓の健康に良いことは多くの研究で示唆されているが、その理由については明らかになっていない。こうした中、飲酒には脳をリラックスさせる効果があり、それが主要心血管イベント(MACE)発生リスクの低下をもたらしている可能性が、新たな研究で示された。米マサチューセッツ総合病院(MGH)心血管イメージング研究センターのAhmed Tawakol氏らによるこの研究の詳細は、「Journal of the American College of Cardiology」6月号に掲載された。  適度な飲酒とは、一般に、男性では1日2杯以下、女性では1日1杯以下の飲酒とされている〔注:日本での適度な飲酒は純アルコール20g(ビール500mL相当)程度で、女性ではその半分程度にとどめることが推奨されている〕。ただし、このような節度ある飲酒は心臓の健康に良い可能性があるとはいえ、健康増進のために飲酒が勧められることはない。なぜなら、アルコールには乱用や依存のリスクがあるほか、がん発症リスクの増加など健康に悪影響を及ぼす可能性もあるからだ。Tawakol氏は、「飲酒量に安全なレベルなどない」と強調する。

話題のマイナ保険証、機器の設置率やトラブル報告は?/1,000人アンケート

 皆さんの施設ではマイナ保険証の利用で困った事例はないだろうか? ある報道によると、オンライン資格確認の導入施設の65%以上で何らかのトラブルが発生しているという。そこで今回、ケアネット会員のうち、20床未満の施設を経営/勤務する医師1,000人の実情を伺うべく「マイナ保険証で困っていること」についてアンケートを実施した。  昨年10月、マイナ保険証が本格導入した際にもケアネットでは『マイナ保険証への対応』についてアンケートを実施しており、前回に続き今回も「マイナンバーカードの取得と保険証への連携手続き」「カードリーダーの設置状況」に関する調査を行った。昨年10月と今回の調査を比較した各変化率は以下のとおり。

『エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023』改訂のポイント/日本腎臓学会

 6月9日~11日に開催された第66回日本腎臓学会学術総会で、『エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023』が発表された。ガイドラインの改訂に伴い、「ここが変わった!CKD診療ガイドライン2023」と題して6名の演者より各章の改訂ポイントが語られた。 第1章 CKD診断とその臨床的意義/小杉 智規氏(名古屋大学大学院医学系研究科 腎臓内科学) ・実臨床ではeGFR 5mL/分/1.73m2程度で透析が導入されていることから、CKD(慢性腎臓病)ステージG5※の定義が「末期腎不全(ESKD)」から「高度低下~末期腎不全」へ変更された。 ・国際的に用いられているeGFRの推算式(MDRD式、CKD-EPI式)と区別するため、日本人におけるeGFRの推算式は「JSN eGFR」と表記する。 ・一定の腎機能低下(1~3年間で血清Cr値の倍化、eGFR 40%もしくは30%の低下)や、5.0mL/分/1.73m2/年を超えるeGFRの低下はCKDの進行、予後予測因子となる。

コロナ罹患後症状における精神症状の国内レジストリ構築、主なリスク因子は?/日本精神神経学会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行はすでに3年以上経過しているが、流行が長期化するほど既感染者が増加し、コロナ後遺症(コロナ罹患後症状、Long COVID)のリスクも上がる。コロナ後遺症は、倦怠感や認知機能障害といった精神神経障害が年単位で持続する場合もある。  国立精神・神経医療研究センターの高松 直岐氏らの研究チームは、こうしたコロナ後遺症の病態解明と新規治療法開発につなげるため、COVID-19感染後の精神症状を有する患者レジストリの構築を実施している。中間解析の結果、コロナ後遺症による有意な心理社会的機能障害の予測因子は、退職経験、主婦層、COVID-19罹患への心配や抑うつが中等度以上、ワクチン接種2回以下であることが示された。6月22~24日に横浜にて開催された第119回日本精神神経学会学術総会にて、高松氏が発表した。

コーヒー摂取とうつ病や不安症リスクとの関連

 これまで、コーヒー摂取と身体状態や死亡リスクとの関連性に関するエビデンスは蓄積されているが、精神疾患との関連性を評価した報告は限られていた。中国・杭州師範大学のJiahao Min氏らは、コーヒー摂取とうつ病や不安症リスクとの関連を調査し、さらにコーヒーの種類や添加物による影響を検討した。その結果、コーヒーを1日当たり2~3杯摂取することは、メンタルヘルス改善のための健康的なライフスタイルの一環として、重要である可能性が示唆された。Psychiatry Research誌8月号の報告。  英国バイオバンクのデータを用いて、2006~10年のベースラインタッチスクリーンアンケートに回答した参加者14万6,566人のデータを分析した。フォローアップ期間中、2016年にこころとからだの質問票(PHQ-9)、7項目一般化不安障害質問票(GAD-7)を用いて、うつ病および不安症の発症を確認した。コーヒーのサブタイプは、インスタントコーヒー、ひいたコーヒー、カフェインレスコーヒーとし、添加物にはミルク、砂糖、人工甘味料を含めた。関連性の評価には、多変数調整ロジスティック回帰モデルおよび制限付き3次スプラインを用いた。

男性機能の維持にも、テストステロン増加に最適な運動/日本抗加齢医学会

 いくつになっても男性機能を維持させたい、死亡リスクを減らしたい、というのは多くの男性の願いではないだろうか―。「老若男女の抗加齢 from womb to tomb」をテーマに掲げ、第23回日本抗加齢医学会総会が6月9~11日に開催された。そのシンポジウムにて前田 清司氏(早稲田大学 スポーツ科学学術院 教授)が『有酸素運動とテストステロン』と題し、肥満者のテストステロン増加につながる方法、男性機能を維持するのに適した運動について紹介した。  近年、国内の死因別死亡数では心血管疾患や脳血管疾患が上位に上っているが、肥満者(BMI≧25)が増加することでこの死因が押し上げられることが示唆されている1)。そのため、肥満者を減らせば心・脳血管疾患も減少傾向に転じる可能性がある。

米国では過去20年間で代謝的に健康な肥満が増加

 米国では過去20年間で、代謝的に健康な肥満(metabolically healthy obesity;MHO)の有病率が有意に上昇していることが明らかになった。代謝関連指標別に見た場合には、肥満者の高TG血症や低HDL-C血症が有意に減少しているのに対して、空腹時血糖高値者の割合は有意な上昇傾向が認められるという。  MHOの有病率に関してはこれまでに複数の研究が報告されてきているが、結果に一貫性が見られない。一貫性の欠如は、MHOの定義が定まっていないことに起因すると考えられる。具体的には近年、MHOをより厳格に定義付けるようになってきた。これは、肥満者では心血管疾患リスク因子をわずかでも有する場合にはイベントリスクが上昇するという知見に基づく変化。