内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:120

認知症の進行抑制に難聴治療がカギとなる可能性/難聴対策推進議員連盟

 国会議員で組織する難聴対策推進議員連盟が、「難聴対策で認知症の進行抑制-補聴器を用いた聴覚介入の有用性を」テーマに、メディアセミナーを開催した。セミナーでは、難聴と認知症の関係や難聴と社会的孤立や受傷リスクの増大、難聴患者の声などが講演された。  はじめにフランク・リン氏(ジョンズ・ホプキンス大学教授)が「認知症の進行抑制における聴覚介入の有用性-ACHIEVE試験の結果より-」をテーマに研究内容と今後の展望について説明した。  全世界が高齢化による認知症の患者が増加している。そんな中、中年期および老年期の難聴は、認知症の深刻なリスク因子であることが明らかになっている。  難聴になると、認知的負荷、脳への刺激減少、社会的孤立が進み、認知機能の低下や認知症をもたらすとされている。そこで、リン氏らの研究グループは、高齢者の加齢と認知機能の健康評価について研究するACHIEVE試験を行った。

地域のソーシャルキャピタルと認知症発症との関連~日本老年学的評価研究データ分析

 近年、社会や地域における、人々の信頼関係・結びつきを意味するソーシャルキャピタルという概念が注目されている。個人レベルでのソーシャルキャピタルは、認知機能低下を予防するといわれている。また、コミュニティレベルでのソーシャルキャピタルが、認知症発症に及ぼす影響についても、いくつかの研究が行われている。国立長寿医療研究センターの藤原 聡子氏らは、日本人高齢者を対象とした縦断的研究データに基づき、コミュニティレベルのソーシャルキャピタルと認知症発症との関連を調査した。その結果から、市民参加や社会的一体感の高い地域で生活すると、高齢女性の認知症発症率が低下することが示唆された。Social Science & Medicine誌2023年12月号の報告。

好きな音楽が痛みを軽減する可能性を示す新研究

 好きな音楽を聴くと痛みが和らぐ可能性のあることが、新たな研究で示唆された。これまでにも、音楽が鎮痛薬の代わりになる可能性については研究されてきたが、今回、音楽を聴いているときの感情的反応が痛みの緩和に大きな役割を果たすことが示されたという。マギル大学(カナダ)のDarius Valevicius氏らによるこの研究の詳細は、「Frontiers in Pain Research」に10月25日掲載された。

日常生活の中の短時間の身体活動でも寿命が延びるか

 日常生活における家事などの身体活動であっても、寿命延伸につながる可能性を示唆するデータが報告された。シドニー大学(オーストラリア)のMatthew Ahmadi氏らの研究によるもので、詳細は「The Lancet Public Health」10月号に掲載された。数分程度の身体活動でも有意な影響が認められるという。ただし、身体活動の持続時間がより長くより高強度である場合に、寿命に対してより大きな影響が認められるとのことだ。  この研究では、英国で行われている大規模疫学研究「UKバイオバンク」のデータが解析に用いられた。余暇時間に積極的な運動を行っていない成人2万5,241人(平均年齢61.8±7.6歳、女性56.2%)を7.9±0.9年間追跡。身体活動量はウェアラブルデバイスにより把握した。追跡期間中に主要心血管イベント(MACE)が824件発生し、全死亡(あらゆる原因による死亡)は1,111人だった。なお、これまでの研究で、健康アウトカムとの関連が検討されていた最も短い身体活動持続時間は10分であることから、今回の研究では持続時間10分未満の身体活動の影響が検討された。

侵襲的⼈⼯呼吸を要したCOVID-19患者は退院半年後も健康状態が不良

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が重症化してICUで長期にわたる侵襲的人口呼吸(IMV)を要した患者は、退院後6カ月経過しても、身体的な回復が十分でなく、不安やふさぎ込みといった精神症状も高率に認められることが明らかになった。名古屋大学大学院医学系研究科救急・集中治療医学分野の春日井大介氏らの研究結果であり、詳細は「Scientific Reports」に9月4日掲載された。  IMVの離脱後には身体的・精神的な後遺症が発生することがある。COVID-19急性期にIMVが施行された患者にもそのようなリスクのあることが、既に複数の研究によって明らかにされている。ただし、それらの研究の多くはICU退室または退院直後に評価した結果であり、かつ評価項目が限られており、COVID-19に対するIMV施行後の長期にわたる身体的・精神的健康への影響は不明。春日井氏らは、同大学医学部附属病院ICUに収容されたCOVID-19患者を対象とする前向き研究により、この点を検討した。

プライマリケアでの女性の尿路感染症への抗菌薬処方、介入で有意に減少/BMJ

 プライマリケアにおけるマルチモーダル(複数の方法による)介入が、女性の単純性尿路感染症(UTI)に対する第二選択の抗菌薬処方率および全抗菌薬処方率を有意に減少したことが、ドイツ・ブレーメン大学のGuido Schmiemann氏らが、同国5地域の一般診療所を対象に行った並行群間クラスター無作為化試験の結果で報告した。ドイツの総合診療医(GP)向け等のガイドラインでは、受診機会の多い女性のUTI治療について、抗菌薬投与の回避が望ましい軽症~中等症UTIでは対症療法を優先し、第一選択の抗菌薬も推奨薬が明確に示されている。この明確な推奨にもかかわらず、フルオロキノロンなどの第二選択の抗菌薬が依然としてよく用いられ(地域の一般処方率38~54%)、抗菌薬以外の治療をGPが選択することはまれだという。教育プログラムや処方のフィードバックなどの介入が不適切処方を減少することは示されているが、ガイドラインを推奨する介入プログラムについては、これまで検討されていなかった。BMJ誌2023年11月2日号掲載の報告。

ステロイド処方医は知っておきたい、グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症のガイドライン改訂

 『グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症の管理と治療のガイドライン2023』が8月に発刊。本書は、ステロイド薬処方医が服用患者の骨折前/骨密度低下前の管理を担う際に役立ててもらう目的で作成された。また、ステロイド性骨粗鬆症の表現にはエストロゲン由来の病態も含まれ、海外ではステロイド性骨粗鬆症と表現しなくなったこともあり、“合成グルココルチコイド(GC)服用による骨粗鬆症”を明確にするため、本改訂からグルココルチコイド誘発性骨粗鬆症(GIOP)と表記が変更されたのも重要なポイントだ。9年の時を経て治療薬に関する膨大なエビデンスが蓄積された今回、ガイドライン作成委員会の委員長を務めた田中 良哉氏(産業医科大学第一内科学講座 教授)に、GIOPにおける治療薬の処方タイミングや薬剤選択の方法などについて話を聞いた。

地中海食と運動の組み合わせは脂肪の燃焼と筋肉量の増加に有効

 色とりどりの野菜や果物、健康的な脂質、脂肪分の少ないタンパク質が豊富な地中海食と、定期的な運動およびカロリー制限の組み合わせは、高齢者の腹部の脂肪(内臓脂肪)の減少と筋肉量の増加に役立つことが、スペインで実施された研究で明らかにされた。バレアレス諸島保健研究所(スペイン)のDora Romaguera氏らによるこの研究結果は、「JAMA Network Open」に10月18日掲載された。  内臓脂肪は炎症の原因となることが知られており、心疾患や脳卒中、糖尿病、特定のがんと関連することも示されている。一方、筋肉量は加齢とともに減少することが知られており、筋肉量が減少すると、筋力低下や運動能力の低下、転倒の可能性が高くなる。

ファイザーのコロナワクチン、インフルワクチンと同時接種の有効性は?

 ファイザーの新型コロナワクチン(BA.4/5対応2価)と季節性インフルエンザワクチンを同時に接種した場合、別々に接種した場合と比べて有効性に差があるかを、米国の18歳以上の約344万人を対象に、米国・ファイザー社のLeah J. McGrath氏らの研究グループが調査した。その結果、コロナワクチンとインフルワクチンの同時接種は、それぞれ単独で接種した場合と比較して同等の有効性があることが示された。JAMA Network Open誌2023年11月8日号に掲載。  本研究では、2022年8月31日~2023年1月30日に、ファイザーの新型コロナワクチン(BA.4/5対応2価)のみ、インフルワクチンのみ、または両方を同日接種した、米国の民間医療保険に加入している18歳以上の344万2,996人を対象に、後ろ向き比較試験を実施した。1価ワクチンまたは他社の新型コロナワクチン接種者は除外した。65歳以上は、強化型インフルワクチン接種者のみを対象とした。主な転帰および評価基準は、COVID-19関連およびインフルエンザ関連の入院、救急(ED)や緊急診療(UC)の受診、および外来受診とした。ワクチン接種群間の残存バイアスを検出するため、尿路感染と不慮の傷害の2つのネガティブコントロールアウトカム(NCO)を評価した。

20分強の身体活動でも座位時間の悪影響を相殺できる可能性

 座位時間が長い人では死亡リスクが高まるが、1日にわずか20分強の中強度から高強度の身体活動(moderate-to-vigorous physical activity;MVPA)を行うことで、そのリスクを相殺できる可能性が、新たな研究で示唆された。ノルウェー北極大学(UiT)のEdvard Sagelv氏らによるこの研究の詳細は、「British Journal of Sports Medicine」に10月24日掲載された。Sagelv氏は、「何らかの理由で1日の大半を座位で過ごす人でも、少量の身体活動を行うことで死亡リスクは大幅に低減し得る」と述べている。