内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:120

入院前のコロナスクリーニングPCR検査、変異株流行初期に有用か/感染症学会・化学療法学会

 入院時のスクリーニング検査としてのSARS-CoV-2 RT PCRは、院内感染予防や全身麻酔・手術などの侵襲による患者の重症化予防に有用とされる一方、陽性率の低さや所要時間、コストなどの問題が指摘されており、新型コロナの5類感染症移行に伴い、今後の検査の緩和について議論が行われている。京都府立医科大学附属病院の山本 千恵氏らの研究チームにより予定入院前スクリーニング検査としてのSARS-CoV-2 RT PCRについて検討が行われ、その結果、とくに各変異株の流行初期において院内感染の予防に効果的であった可能性が示唆された。4月28~30日に開催された第97回日本感染症学会総会・学術講演会/第71回日本化学療法学会学術集会合同学会にて山本氏が発表した。

早食いは身長が縮みやすい?~日本人での研究

 早食いは体重増加の独立したリスク因子であり、また先行研究で過体重が身長低下の独立したリスク因子であることが報告されている。では、早食いと身長低下は関連するだろうか。今回、大阪健康安全基盤研究所の清水 悠路氏らによる日本人労働者での後ろ向き研究の結果、早食いが過体重と関連し、過体重は身長低下と関連していたが、早食いと身長低下については、過体重の人とそうでない人で異なっていた。すなわち、過体重でない人は食べるのが速い人が、過体重の人では食べるのが遅い人が、身長が低下する確率が高かった。PLOS ONE誌2023年4月26日号に掲載。

COVID-19パンデミックは日本人のうつ病リスクにどの程度の影響を及ぼしたのか

 北里大学の深瀬 裕子氏らは、長期にわたるCOVID-19パンデミックが日本の一般集団におけるうつ病や心的外傷後ストレス障害(PTSD)の変化にどのような影響を及ぼしたかを評価し、そのリスク因子や適応/非適応戦略についても調査を行った。その結果、うつ病レベルは、パンデミックの初期段階で増大し、2022年1月には軽減したと考えられた。男性では、抑うつ症状を軽減するためには、経済的な状態を改善する必要があることが示唆された。パンデミックが長期間に及んだため、男女ともに適応戦略を特定することは困難であった。一方、PTSDについては、日本の一般集団において顕著な変化は認められなかった。BMC Psychiatry誌2023年3月20日号の報告。

RA系阻害薬やアンピシリン含有製剤など、使用上の注意改訂

 厚生労働省は5月9日、RA系阻害薬(ACE阻害薬、ARB含有製剤、直接的レニン阻害薬)、アンピシリン水和物含有製剤およびアンピシリンナトリウム含有製剤(アンピシリンナトリウム・スルバクタムナトリウムを除く)の添付文書について、使用上の注意改訂指示を発出した。  RA系阻害薬の添付文書には「9.4 生殖能を有する者」の項が新設され、“妊娠する可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する旨、及び妊娠する可能性がある女性に投与が必要な場合の注意事項”を以下のように追記した。

認知機能低下の早期発見にアイトラッキングはどの程度有用か

 アルツハイマー病(AD)患者では初期段階から、眼球運動に反映されるように、視空間処理障害が認められる。杏林大学の徳重 真一氏らは、ビジュアルタスク実行中の視線動向パターンを評価することで、認知機能低下の早期発見に役立つかを調査した。その結果、いくつかのタスクを組み合わせて視空間処理能力を可視化することで、高感度かつ特異的に認知機能の低下を早期に検出し、その後の進行の評価に役立つ可能性があることを報告した。Frontiers in Aging Neuroscience誌2023年3月21日号の報告。

冬眠中のクマから血栓予防のヒントを発見

 長い間、体を動かさないでいると、人間なら血行不良から命にも関わる血栓ができかねない。しかし、何カ月にもわたって眠り続ける冬眠中のクマにこうした問題が生じないのはなぜなのだろう。この疑問を解く鍵はあるタンパク質にあることが、ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン(ドイツ)を中心とする国際研究グループが実施した13年にわたる研究から明らかになった。研究グループは、この発見が血栓予防薬の開発につながるとの期待を示している。研究の詳細は、「Science」4月13日号に報告された。

N-3系脂肪酸などの微量栄養素には心血管リスクの抑制効果がある可能性

 n-3系脂肪酸を含む一部の微量栄養素には心血管リスクの抑制効果があると考えられることが、「Journal of the American College of Cardiology」12月号に掲載された論文で明らかにされた。  中国農業大学(中国)のPeng An氏らは、微量栄養素が心血管疾患(CVD)のリスク因子およびCVDイベントに及ぼす影響を検討したランダム化比較対照試験(RCT)のシステマティックレビューおよびメタアナリシスを実施した。  PubMed、Web of ScienceおよびEmbaseのデータベースを検索し、2022年5月1日までに発表され、抗酸化作用のある微量栄養素とCVDリスク因子およびCVDイベントとの関連を検討している884件のRCTを抽出した。これらのRCTで評価された微量栄養素は計27種類、参加者の合計は88万3,627人(489万5,544人年)であった。

2型糖尿病の薬物療法で最適な追加オプションは?(解説:小川大輔氏)

GLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害薬の登場により、近年2型糖尿病の薬物療法が大きく変わった。既存の糖尿病治療薬では認められなかった、心血管イベントや腎不全を抑制する効果が数多く報告されたからだ。さまざまな糖尿病治療薬の中からどの薬剤を選択するか、その判断の一助になるネットワークメタ解析の論文がBMJ誌に発表された。この論文の背景として、2年前の2021年に同じBMJ誌に掲載された論文について少し触れたい。この当時すでにGLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害薬のエビデンスは集積しており、これら2製剤がこれまでの糖尿病治療薬と比較して全死亡、心血管死、非致死的心筋梗塞、腎不全、体重減少などのベネフィットがあることがネットワークメタ解析により明らかになった。

採血時間が入院患者の睡眠不足に影響か

 早朝の採血は入院患者の睡眠に有害な影響を与えるが、それは依然として一般的な医療行為として行われている。そこで米国・イェール・ニューヘブン病院のCesar Caraballo氏らは、早朝採血の実施割合を調査したところ、午前4:00~6:59までの時間帯に最も行われ、採血の10分の4近くを占めていたことが明らかになった。ただし、本研究の終盤には採血時間がわずかだが遅くなっていた。JAMA誌オンライン版2023年1月17日号のリサーチレターでの報告。

長時間の昼寝は心房細動リスクを高める?

 30分以上の昼寝は、不整脈の一種である心房細動のリスク増加と関連するようだ。スペインで実施された新たな研究で、昼寝を30分以上する人では、昼寝の時間が30分未満の人に比べて、心房細動の発症リスクが90%高いことが明らかになった。フアン・ラモン・ヒメネス大学病院(スペイン)のJesus Diaz-Gutierrez氏らによるこの研究結果は、欧州心臓病予防学会(4月13〜15日、スペイン・マラガ)で発表された。  心房が十分に収縮できずに小刻みに震えることで脈が不規則になる状態を心房細動という。心房細動では、心房内の血液がよどんで血栓ができやすくなるため、脳卒中リスクも5倍になると研究グループは説明している。今回の研究でDiaz-Gutierrez氏らは、ナバーラ大学がスペインの大学卒業生を対象に実施している前向きコホート研究のデータを用いて、昼寝の長さと心房細動リスクとの関連を検討した。対象は、研究開始時には心房細動がなかった2万348人(平均年齢38歳、女性61%)。これらの対象者は、昼寝の平均時間に応じて、昼寝をしない群、短時間の昼寝(30分未満)をする群、30分以上の昼寝をする群の3群に分けられた。