内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:118

SGLT2阻害薬の高齢者への処方の安全性-EMPA-ELDERLY/糖尿病学会

 5月11~13日、鹿児島で第66回日本糖尿病学会年次学術集会(会長:西尾 善彦氏[鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 糖尿病・内分泌内科学 教授])が「糖尿病学維新-つなぐ医療 拓く未来-」をテーマに開催された。  本稿では、近年、心血管疾患への治療適応も拡大しているSGLT2阻害薬について、口演「日本人高齢2型糖尿病患者を対象としたエンパグリフロジンの製販後試験」(矢部 大介氏[岐阜大学医学系研究科糖尿病・内分泌代謝内科学/膠原病・免疫内科学 教授])をお届けする。

新型コロナの発生状況、「定点把握」の発表開始/厚労省

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、2023年5月8日から感染症法上の5類感染症の位置づけとなり、新規患者数の発生状況等の把握は、定点医療機関(全国約5,000ヵ所のインフルエンザ/COVID-19定点)からの報告に基づくものとなった。厚生労働省は5月19日に、これに基づく発生状況の発表を開始した。今回の発表では、5月8~14日の発生状況が報告された。今後、発生状況等については、毎週金曜日14時を目途に公表される予定。

不眠症治療薬の有効性と安全性の比較~メタ解析

 不眠症のマネジメントにおいては、薬理学的治療が最も一般的に用いられる。しかし、不眠症に対する薬剤クラス間および各薬剤間の相対的な有効性および安全性、そのエビデンスの確実性を比較した研究は十分ではなかった。中国・蘭州大学のBei Pan氏らは、不眠症に対する治療薬の相対的な有効性、安全性、忍容性を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、非ベンゾジアゼピンは、総睡眠時間、入眠潜時、中途覚醒に対する改善効果が認められた。他の不眠症に対する薬剤クラスおよび各薬剤においても、不眠症状の改善に対するベネフィットが認められた。著者らは、不眠症治療薬の選択に当たっては、不眠症の病態および各薬剤の安全性、忍容性に基づき治療薬を選択する必要があるとしている。Drugs誌2023年5月号の報告。

絵を用いた簡単なテストで認知症リスクをスクリーニング可能

 簡単なテストの結果を基にかすかな認知障害を検出するSOMI(Stages of Objective Memory Impairment、客観的記憶障害のステージ)システムにより、記憶障害や思考障害の兆候が現れる何年も前に、高齢者の認知症リスクをスクリーニングできるという研究結果が報告された。米アルベルト・アインシュタイン医学校神経学部のEllen Grober氏らによるこの研究結果は、「Neurology」に4月19日掲載された。  SOMIでは、認知症の症状がない患者に絵を見せた後に、必要であればヒントをもらいながら見たものを思い出す、自由および手掛かりによる選択的想起検査テスト(Free and Cued Selective Reminding Test;FCSRT)の結果に基づき、患者をステージ0(現時点で記憶に問題がなく将来的な認知症リスクも低い)からステージ4(記憶の信頼性が最も低く、将来の認知症リスクが最も高い)までの5段階に分類する。

午前中だけ食べる断続的断食でカロリー制限より糖代謝が改善

 カロリー制限に比べて断続的断食の方が、糖代謝改善効果に優れている可能性を示唆するデータが報告された。アデレード大学(オーストラリア)のXiao Tong Teong氏らの研究によるもので、詳細は「Nature Medicine」に4月6日掲載された  断続的断食(time-restricted eating;TRE)は、カロリー計算が不要なため手軽で、減量効果に関する一定のエビデンスもあることなどから、近年人気の食事療法となっている。そして新たな研究から、2型糖尿病ハイリスク者の場合、摂食する時間帯を午前中に限定した断続的断食(intermittent fasting plus early time-restricted eating;iTRE)のメリットは、摂取エネルギー量を30%減らすカロリー制限(calorie restriction;CR)よりもメリットが大きい可能性が示された。

中高年の睡眠時間とうつ病リスクとの関係~用量反応メタ解析

 中国・北京中医薬大学のXin-Lin Li氏らは、中年および高齢者における夜間の睡眠時間とうつ病リスクとの用量反応関係を調査するため、本研究を実施した。その結果、中高年のうつ病リスクが最も低い夜間の睡眠時間は7時間であり、睡眠時間がそれより長くても短くても、うつ病リスクが高まる可能性が示唆された。Frontiers in Physiology誌2023年3月2日号の報告。  2022年7月31日までに公表された研究をPubMed、Embase、Web of Science、CNKI、VIP、Wanfangデータナレッジサービスプラットフォームより検索した。対象には、夜間の睡眠時間とうつ病との関連を評価したコホート研究およびケースコントロール研究を含めた。研究の質の評価には、Newcastle-Ottawa scaleを用いた。2人の研究者により、データ抽出と品質評価を行った。睡眠時間とうつ病リスクとの用量反応関係を評価するため、制限付き3次スプライン(RCS)および一般化最小二乗法(GLS)を用いた。推定エフェクトサイズを分析するため、Stata 12.0を用いて、リスク比(RR)および95%信頼区間(CI)を算出した。

コロナ禍のリモートワーク、医師からは「非効率」の声が多数

 新型コロナウイルス感染症の流行により、世界中の医療機関で急速にリモートワークが導入された。それは医療現場の生産性、スタッフの健康、コミュニケーションにどのような影響をもたらしたのか。カナダ・トロント大学医療政策管理評価研究所のChristopher McChesney氏らによる研究結果が、JCO oncology practice誌オンライン版2023年2月22日号に掲載された。  研究者らは2021年6月~8月、トロントの大規模がんセンターであるPrincess Margaret Cancer Centreにおいて、COVID-19パンデミック時に1回でもリモートワークを行ったスタッフに対してメールで調査票を配布し、匿名で回答を得た。

医療者の不足する地域は死亡率が高い/BMJ

 ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ―「すべての人が適切な予防、治療、リハビリ等の保健医療サービスを、支払い可能な費用で受けられる状態」(厚生労働省)―を2030年までに達成するには、健康を促進または改善するさまざまな職業の保健医療人材(Human Resources for Health:HRH)が重要であるが、HRHの不平等は過去30年間で世界的に減少しているものの依然として残っており、全死亡率およびほとんどの死因別死亡率は、医療従事者とくにHIV/AIDS・性感染症、母体・新生児疾患、糖尿病、腎臓病といった、優先疾患におけるいくつかの特定のHRHが限られている国・地域で相対的に高いことが、中国・北京大学のWenxin Yan氏らの調査で示された。著者は、「本結果は、2030年までにユニバーサル・ヘルス・カバレッジを達成するために、公平性を重視した医療人材政策の策定、医療財政の拡大、不十分なHRHに関連した死亡を減少するための標的型対策の実施に向けた政治的取り組み強化の重要性を浮き彫りにしている」とまとめている。BMJ誌2023年5月10日号掲載の報告。

男性の平均寿命、市区町村で10年以上の差/厚労省

 厚生労働省は5月12日、「令和2年市区町村別生命表」を発表した。市区町村別生命表は、死亡状況を市区町村単位で比較分析するため、国勢調査による日本人人口(確定数)と人口動態統計(確定数)による日本における日本人の死亡数、出生数を基に、2000年(平成12年)から5年(国勢調査年)ごとに作成し、今回が5回目となる。本結果によると、平均寿命が最も長い市区町村は、男女ともに神奈川県川崎市麻生区で、男性84.0年、女性89.2年であった。一方、平均寿命が最も短かったのは、男女ともに大阪府大阪市西成区で、男性73.2年、女性84.9年であった。平均寿命の最も長い市区町村と最も短い市区町村との差は、男性10.8年、女性4.2年であった。

リアルワールドにおけるフレマネズマブの長期有用性~FRIEND2試験

 イタリア・IRCCS San Raffaele RomaのPiero Barbanti氏らは、高頻度の反復性片頭痛(HFEM:1ヵ月当たりの片頭痛日数8日以上)または慢性片頭痛(CM:1ヵ月当たりの頭痛日数15日以上)患者を対象に、フレマネズマブの長期(24週間)有効性、安全性、忍容性の評価を実施した。その結果、フレマネズマブは、過去に複数の片頭痛の予防的治療に奏効しなかったHFEMおよびCM患者に対し早期かつ持続的な有効性を示し、安全性および忍容性プロファイルも良好であることが確認された。The Journal of Headache and Pain誌2023年3月23日号の報告。