内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:157

日本人反復性片頭痛に対するフレマネズマブの有用性

 抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)モノクローナル抗体であるフレマネズマブは、多くの第II相および第III相試験において片頭痛患者に対する有効性および忍容性が確認されている。近畿大学の西郷 和真氏らは、反復性片頭痛(EM)患者を対象とした国際共同第III相試験(HALO EM試験)および日本と韓国で実施された第IIb/III相試験のサブグループ解析を実施し、日本人EM患者におけるフレマネズマブの有効性および安全性を評価した。その結果、フレマネズマブは、日本人EM患者にとって効果的かつ忍容性の高い予防薬であることが確認された。Journal of Pain Research誌2023年5月18日号の報告。

高齢者糖尿病診療ガイドライン2023、薬物療法のエビデンス増え7年ぶりに改訂

 日本老年医学会・日本糖尿病学会の合同編集である『高齢者糖尿病診療ガイドライン2023』が5月に発刊された。2017年時にはなかった高齢者糖尿病における認知症、サルコペニア、併存疾患、糖尿病治療薬などのエビデンスが集積したことで7年ぶりの改訂に至った。今回、日本老年医学会の編集委員を務めた荒木 厚氏(東京都健康長寿医療センター糖尿病・代謝・内分泌内科)に改訂点について話を聞いた。  高齢者糖尿病とは、「65歳以上の糖尿病」と定義されるが、医学的な観点や治療、介護上でとくに注意すべき糖尿病高齢者として「75歳以上の高齢者と、身体機能や認知機能の低下がある65~74歳の糖尿病」と、より具体的な定義付けもなされている。

危険な心筋梗塞は月曜日に多く発生する

 週末が休みの人にとって、仕事や学校に戻らなければならない月曜日は憂うつなものだ。しかし、月曜日は人を憂うつにさせるだけではないようだ。アイルランドの患者データを分析した新たな研究で、月曜日は、緊急性の高いST上昇型心筋梗塞(STEMI)が1週間のうちで最も多く発生する曜日である可能性が示された。英Belfast Health and Social Care Trustの循環器専門医であるJack Laffan氏らによるこの研究結果は、英国心臓血管協会(BCS)年次会議(6月5〜7日、英マンチェスター)で発表された。

カナダ政府がタバコ1本1本に健康被害警告の表示を義務化

 カナダ政府でメンタルヘルス・依存症担当大臣兼保健副大臣を務めるCarolyn Bennett氏は、世界禁煙デーに当たる5月31日に、カナダでは間もなく、紙巻きタバコ1本1本への健康被害警告の表示が義務付けられるようになると発表した。このような警告表示の義務化に踏み切るのは、世界でカナダが初めての国となる。  Bennett氏は、「この思い切った措置により、タバコ製品を使用する誰もが健康被害に関する警告を目にすることになる。こうした警告は、パッケージにともに表示される最新画像とともに、喫煙がもたらす健康被害について、リアルで衝撃的な注意を喚起することになるだろう」と述べる。同氏はさらに、「われわれは今後も、より多くの人が喫煙をやめ、また、若者がタバコを吸うことなく健康的な生活を送るのに役立つことは、何であれするつもりだ」と話した。

認知症リスクが高まるHbA1c値は?

 高血糖状態が続くと、アルツハイマー型認知症の原因となる「アミロイドβ」が溜まりやすくなり、認知症発症リスクが高まるとされる。糖尿病患者が認知症リスクを減らすために目標とすべき血糖コントロールはどの程度か。オーストラリア・National Centre for Healthy AgeingのChris Moran氏らの研究がJAMA neurology誌2023年6月1日号に掲載された。  1996年1月1日~2015年9月30日の期間中、50歳以上の2型糖尿病を有するKaiser Permanente Northern California統合医療システムの会員を対象とした。期間中のHbA1c測定が2回未満、ベースライン時の認知症有病者、追跡期間3年未満の者は除外した。データは2020年2月~2023年1月に解析された。

COVID-19緊急事態は過ぎたが依然として対策意識の維持・向上を―AHAニュース

 世界保健機関(WHO)と米国政府の公式見解によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)はもはや緊急事態には当たらないという。これは大きな変化ではあるが、誰もがパンデミックを意に介さずに行動できるようになったわけではないと、多くの専門家が指摘している。その1人、米ミシガン大学のPreeti Malani氏は、「誰にとってもリスクがなくなったわけではない。ただ、3年以上前に緊急事態宣言が発出された時とは、大きく状況が変化した」と語る。  WHOが2020年1月30日に初めて「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言した時点で、COVID-19による死亡者はわずか213人しか判明していなかった。しかしその後、その数は世界中で700万人近くに増加した。WHOは今年5月5日に、緊急事態の終了を宣言し、5月11日には米国で公衆衛生上の緊急事態宣言が解除された。これに伴い、COVID-19のモニタリング体制や検査・ワクチン接種費用の公費負担も終了しつつある。とはいえ、COVID-19のウイルスが消え去ったわけではなく、WHOのMaria Van Kerkhove氏も、「緊急事態は終了したがCOVID-19の流行はまだ終わっていない」と、警戒の継続を呼びかけている。

脳卒中既往のある心不全患者の心血管リスク、HFrEFとHFpEFで検討

 左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)と左室駆出率が保たれた心不全(HFpEF)の患者における脳卒中既往と心血管イベント(心血管死/心不全入院/脳卒中/心筋梗塞)発生率を調べたところ、左室駆出率にかかわらず、脳卒中既往のある患者はない患者に比べて心血管イベントリスクが高いことが示された。英国・グラスゴー大学のMingming Yang氏らが、European Heart Journal誌オンライン版2023年6月26日号で報告。  本研究は、HFrEFとHFpEFの患者が登録されていた7つの臨床試験のメタ解析である。

認知症患者に処方される抗精神病薬と併用薬の分析

 さまざまな問題が指摘されているにもかかわらず、抗精神病薬が認知症患者に対し、依然として一般的に処方されている。北里大学の斉藤 善貴氏らは、認知症患者に対する抗精神病薬の処方状況および併用薬の種類を明らかにするため、本検討を行った。その結果、認知症患者への抗精神病薬の処方と関連していた因子は、精神科病院からの紹介、レビー小体型認知症、NMDA受容体拮抗薬の使用、多剤併用、ベンゾジアゼピンの使用であった。著者らは、抗精神病薬の処方の最適化には、正確な診断のための地域の医療機関と専門医療機関の連携強化、併用薬の効果の評価、処方カスケードの解決が必要であるとしている。Dementia and Geriatric Cognitive Disorders誌オンライン版2023年5月26日号の報告。

菜食に変えると血清脂質値が良好になる―RCT30件のメタ解析

 無作為化比較試験(RCT)の報告を対象とするメタ解析から、食事を菜食(ベジタリアン食やビーガン食)に変えると、血清脂質値が有意に低下することが分かった。コペンハーゲン大学(デンマーク)のRuth Frikke-Schmidt氏らの研究の結果であり、詳細は「European Heart Journal」に5月24日掲載された。  この研究では、文献データベース(PubMed、Embase)を用いて、1980年~2022年10月に発表された、18歳以上の成人を対象に食習慣を菜食に変更するという介入を行っていたRCTを検索。抽出された30件の研究を統合して、菜食群と一般的な食事(雑食)を続けた群との血清脂質値の差異を検討した。

抗ウイルス薬が処方されていないCOVID-19外来患者のリバウンド

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患時に抗ウイルス薬が投与されなかった患者で、症状がいったん軽快した後に再燃したり、ウイルス量が増加したりすることが少なくないという報告が、「Annals of Internal Medicine」に2月21日掲載された。米ハーバード大学のRinki Deo氏らの研究によるもの。  COVID-19に対する抗ウイルス薬の一つであるニルマトレルビル/リトナビルによる治療後に、症状が再燃(リバウンド)することが報告されている。ただし、抗ウイルス薬を用いていない患者でのCOVID-19の自然経過は十分明らかになっていない。Deo氏らの研究は、非入院COVID-19患者に有効な薬剤探索のための多施設共同プラットフォーム試験「ACTIV-2/A5401」のデータを用いた後方視的研究により、この点を検討した。