内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:156

自宅コロナ死、4割は同居家族あり/COVID-19対策アドバイザリーボード

 第109回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードが、12月7日に開催された。その中で「新型コロナ患者の自宅での死亡事例に関する自治体からの報告について」が報告された。  調査期間中776名の自宅で死亡した者の解析から、死亡者の79%が70代以上であり、基礎疾患がある者が69%、親族などと同居が42%いた。また、ワクチン接種歴も不明が34%で一番多いものの、「3回接種」も28%と多かった。  政府では、「Withコロナに向けた政策の考え方」に則り、今後必要な医療資機材の提供、国民への正確な知識の普及に努めるとしている。  以下に概要を示す。

脂肪性肝疾患は心不全リスクを増大させる?

 肝臓に異常な脂肪が蓄積する非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)が、心不全リスクを大幅に高める可能性のあることが、新たな研究で明らかにされた。この研究結果は、米国心臓協会(AHA)学術集会(Scientific Sessions 2022、11月5~7日、米シカゴ/バーチャル開催)で発表された。  米国では成人の4人に1人がNAFLDであるとされている。NAFLDは、恒久的な肝臓の損傷を引き起こしたり、プラークが動脈に蓄積して血流を制限するアテローム性動脈硬化症の発症リスクを増大させたりすることが知られている。しかし、NAFLDと心不全(心臓が十分に血液を送り出せない状態)との関係は、これまであまり研究されていなかった。米国での心不全患者の数は約600万人に上る。心不全は、完治は望めないものの、生活習慣の是正、薬剤および外科的処置による治療は可能だ。

自転車通勤で糖尿病を防げる―J-ECOHサブスタディ

 自転車通勤をしている人は糖尿病発症リスクが2割以上低いことが報告された。職域多施設研究(J-ECOHスタディ)の運動疫学サブスタディのデータを、帝京大学大学院公衆衛生学研究科の桑原恵介氏らが前向きに解析した結果であり、「Diabetes Care」にレターとして10月17日掲載された。  近年、環境保護や健康増進の観点から、自転車を利用した通勤への関心が高まっており、海外からは自転車通勤が糖尿病リスクを抑制する可能性を示す研究結果も報告されている。ただしアジア人での研究は行われていないことから、桑原氏らはJ-ECOHスタディのデータを用いてこの点を検討した。  J-ECOHスタディは、国立国際医療研究センターが主体となり、国内十数社の企業と共同で行っている疫学研究で、今回の研究は身体活動の詳細なデータがある1社での運動疫学サブスタディとして実施。2006年度に企業内健診を受診し、以後2017年度まで健診を受けていて、糖尿病発症の有無を把握し得た労働者3万1,678人(平均年齢44.0±9.8歳、男性84.9%)を解析対象とした。ベースライン時点で、糖尿病、心血管疾患、脳卒中、がんの既往のある人や、解析に必要なデータが欠落している人は除外されている。

オミクロン株のlong COVIDリスク、デルタ株より低い

 新型コロナウイルス感染症のオミクロン株は以前に流行したデルタ株と比較して急性期の症状が軽症であることが報告されているが、コロナ罹患後の後遺症、いわゆるlong COVIDのリスクも低いことが、ノルウェー・公衆衛生研究所のKarin Magnusson氏らの調査で示された。本研究の結果はNature Communications誌2022年11月30日号で報告された。  研究者らは、ノルウェーにおける18~70歳の全国民を対象に、医療データベースを使った前向きコホート研究を行った。オミクロンとデルタ株の流行が最も重複した期間(2020年12月8日~2021年12月31日)を対象に、オミクロン株の感染者の罹患後症状を、デルタ株感染者・非感染者と比較した。さらに、検査陽性後14~126日までの追跡期間を、急性期(14~29日)、亜急性期(30~89日)、慢性期(90日以上)に分け、罹患後症状の有病率の推定値も示した。

診療所での効果的な感染対策例/COVID-19対策アドバイザリーボード

 第108回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードが、11月30日に開催された。その中で日本プライマリ・ケア連合学会より「診療所における効果的な感染対策の好事例の紹介」が報告された。  これは、本格的な冬を迎え、プライマリ・ケアの外来には発熱などの感冒様症状を訴える患者が増えると予想されていることに鑑み、これに備え、これまでの新型コロナ流行下で実践されてきたプライマリ・ケアでの効果的な感染対策の工夫例と発熱外来を設置・運用するうえでの工夫例をまとめたもので、以下に概要を示す。

新型コロナ、コミュニティ迅速抗原検査は入院を減少/BMJ

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染の無症状者を対象とした全市的なコミュニティ迅速抗原検査の導入は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連入院の大幅な減少と関連していることが、英国・リバプール大学のXingna Zhang氏らによる合成コントロール研究の結果、示された。多くの国が、COVID-19の拡大を制御するために住民ベースの無症状者対象検査プログラムを展開したが、地域での大規模な自主検査が感染拡大を阻止しCOVID-19の重症化を抑制するかどうかのエビデンスは不足していた。著者は、「SARS-CoV-2の大規模なコミュニティ迅速抗原検査は、感染減少および入院予防に役立つ可能性がある」とまとめている。BMJ誌2022年11月23日号掲載の報告。

メトホルミンに追加する血糖降下薬としてはGLP-1受容体作動薬が他剤を一歩リードしている(解説:住谷哲氏)

多くの心血管アウトカム試験CVOTの結果を踏まえて、臓器保護薬としてのSGLT2阻害薬およびGLP-1受容体作動薬の位置付けはほぼ確立したといってよいだろう。しかし罹病期間の短い、合併症のない低リスク2型糖尿病患者はCVOTの対象患者には含まれていない。したがって、CVOTの結果がこれらの低リスク患者にそのまま適用できるかどうかは不明である。基礎治療薬としてのメトホルミンの有効性はUKPDS 34で明らかにされたが、メトホルミン単剤で血糖コントロールが維持できないときに追加すべき血糖降下薬としては何が適切かは実は明らかになっていない。

オミクロン株BQ.1.1とXBBに対するコロナ治療薬の効果を比較/NEJM

 新型コロナウイルス感染症の第8波では、オミクロン株BA.5がまだ主流ではあるものの、主に欧米で見られるBQ.1.1系統(BA.5系統から派生)や、インドやシンガポールなどのアジア諸国で急激に増加しているXBB系統(BA.2系統から派生)の感染例が、国内でも徐々に増加している。河岡 義裕氏らによる東京大学、国立国際医療研究センター、国立感染症研究所、米国ウィスコンシン大学が共同で行った研究において、患者から分離したBQ.1.1とXBBに対して、4種類の抗体薬と3種類の抗ウイルス薬についてin vitroでの有効性を検証したところ、抗体薬はいずれも感染を阻害しなかったが、抗ウイルス薬は高い増殖抑制効果を示した。本結果は、NEJM誌オンライン版2022年12月7日号のCORRESPONDENCEに掲載された。

帯状疱疹の既往で長期的な脳卒中・冠動脈疾患リスクが増大

 帯状疱疹と脳卒中および冠動脈疾患の関連を検討したところ、帯状疱疹の既往が脳卒中および冠動脈疾患の長期的なリスクを高め、そのリスクは帯状疱疹発症から12年以上継続する可能性があることを、米国・Brigham and Women's HospitalのSharon G. Curhan氏らが明らかにした。Journal of the American Heart Association誌2022年11月16日掲載の報告。  調査は、米国の3つの大規模コホート研究であるNurses' Health Study(NHS)、Nurses' Health Study II(NHS II)、Health Professionals Follow-Up Study(HPFS)を用いて行われた。解析対象は、これまでに脳卒中や冠動脈疾患の既往のないNHSの女性7万9,658例(平均年齢65.8歳、2000~2021年)、NHS IIの女性9万3,932例(平均年齢46.2歳、2001~2021年)、HPFSの男性3万1,440例(平均年齢69.5歳、2001~2016年)の合計20万5,030例であった。

肺炎およびフレイルと認知症リスク~日本老年学的評価研究

 最近、いくつかの研究において、フレイルの増加による認知機能低下および認知症のリスク増加に、肺炎が影響を及ぼす可能性が報告されている。大阪大学のParamita Khairan氏らは、肺炎歴とその後の認知症リスクとの関連を調査した。その結果、肺炎歴の有無にかかわらずフレイルおよびプレフレイル(フレイルの前駆状態)が、日本人高齢者の認知症リスク増加と関連していることが示唆された。International Journal of Geriatric Psychiatry誌2022年11月号の報告。