内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:190

片頭痛と認知症との関連~コホート研究

 片頭痛と認知症は、いずれも公衆衛生上の主要な問題と関連しているが、両疾患の関係を理解するためには、多くの知見が必要とされる。デンマーク・コペンハーゲン大学のS. Islamoska氏らは、片頭痛と認知症との関連を明らかにするためコホート研究を実施し、さまざまな視点より評価を行った。その結果、認知症発症リスクの上昇は、片頭痛の診断と関連しているが、片頭痛の治療薬使用とは関連していないことが示された。

終わらない結核、結核菌の新たな生き残り戦略

 結核は、世界で最も死亡率の高い感染症の1つである。毎年、約1,060万人が結核に罹患し、160万人が死亡する。その背景の1つとして、抗菌薬の普及により薬剤耐性を有する結核菌が増加し、治療が困難になっていることがあるといわれる。そこで、米国・Harvard T.H. Chan School of Public HealthのQingyun Liu氏らの研究グループは、結核患者から単離された結核菌のゲノム解析を行った。その結果、転写因子resR遺伝子に変異があると、抗菌薬への曝露終了後に急速に再増殖を開始することが明らかになった。本研究結果は、Science誌2022年12月9日号に掲載された。

慢性腎臓病に対するSGLT2阻害薬エンパグリフロジンの有用性(解説:小川大輔氏)

SGLT2阻害薬による糖尿病患者の腎保護効果については数多くの報告があるが、糖尿病以外の慢性腎臓病に対する効果はまだ報告が少ない。2021年にSGLT2阻害薬ダパグリフロジンが慢性腎臓病の進行を抑制するという試験結果が発表され、ダパグリフロジンは日本において慢性腎臓病の保険適用を取得した。今回、SGLT2阻害薬エンパグリフロジンの慢性腎臓病に対する試験の結果が報告された。この試験では、推算糸球体濾過量(eGFR)が20~45mL/分/1.73m2未満、またはeGFR 45~90mL/分/1.73m2未満で尿中アルブミン/クレアチニン比(ACR)が200(mg/g・CRE)以上の慢性腎臓病患者、合計6,609例をエンパグリフロジン(10mg・1日1回)投与群、またはプラセボ投与群に無作為に割り付けた。主要評価項目は、腎臓病の進行(末期腎不全、eGFRが持続的に10mL/分/1.73m2未満、eGFRがベースラインから40%以上持続的に低下、腎臓病による死亡)または心血管系による死亡の複合アウトカムであった。結果は追跡期間中央値2.0年の間に、主要アウトカムの発生がエンパグリフロジン群3,304例中432例(13.1%)、プラセボ群3,305例中558例(16.9%)であった(p<0.001)。また糖尿病の有無にかかわらず、またeGFR値によるサブグループ別でも結果は一貫していた。重篤な有害事象の発生率は両群間で有意差はみられなかった。

「新型コロナ感染症対策の情報提供サイト」開設/モデルナ

 モデルナは2022年12月22日、一人ひとりにあった感染予防対策や最新情報の提供を目指した、新型コロナウイルス感染症情報サイト『コロナ対策ステーション』(以下、当サイト)を開設した。当サイトは4つのメニューから構成されており、各コンテンツを通して新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する正しい知識を得られる場となることが期待される。  SARS-CoV-2感染によるCOVID-19は、日本の公衆衛生にとっていまだ脅威であり、今後さらなる感染再拡大も懸念されている。当サイトは、「一人ひとりの年齢やこれまでのワクチン接種状況などに応じて、感染対策情報の提供と新型コロナウイルス感染症に関する疑問を解決する」というコンセプトのもと、「あなたのための新型コロナウイルス対策(FAQ)」「知っておきたいコロナ対策(動画5本掲載)」「コロナウイルス流行株インフォ」「ワクチン接種会場を調べる」の4つのメニューで構成され、「一人ひとりにあった感染予防対策や最新情報」を提供している。

オミクロン株の新系統に対するワクチンの有効性/東京大学・国立国際医療研究センター

 第8波の主体となっている新型コロナウイルス・オミクロン株。現在では、欧米諸国でBA.5系統から派生したBQ.1.1系統が、インドやシンガポールなどのアジア諸国ではBA.2系統から派生したXBB系統の感染例が急激に増加している。これら現在流行中の系統に対する新型コロナワクチンの有効性は、どの程度あるのだろうか。東京大学医科学研究所ウイルス感染部門の河岡 義裕氏らの研究グループは国立国際医療研究センターと共同で、オミクロン株BQ.1.1系統とXBB系統に対するmRNAワクチン(パンデミック初期株をもとに作られたワクチン)の有効性を検証するため、患者から分離したBQ.1.1系統とXBB系統に対するmRNAワクチン被接種者血漿の中和活性を調べた。

若年発症2型DMは世界的な健康問題-30年で1.5倍超に/BMJ

 1990年以降、若年発症2型糖尿病は、世界的に増大している青少年・若年成人(15~39歳)の健康問題であり、とくに社会人口統計学的指標(SDI)低中・中の国で疾病負担は大きく、また30歳未満の女性で疾病負担が大きいことを、中国・ハルピン医科大学のJinchi Xie氏らが世界疾病負担研究2019(Global Burden of Disease Study 2019)のデータを解析し報告した。これまで若年発症2型糖尿病の世界的疾病負担や長期傾向、および性別やSDI分類別にみた違い、さらに国別の若年発症2型糖尿病寄与リスク因子の違いなどは調査されていなかった。BMJ誌2022年12月7日号掲載の報告。

生後6ヵ月以上へのBA.4/5対応ワクチン承認/FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は12月8日、モデルナおよびファイザーのオミクロン株BA.4/5対応の新型コロナウイルス2価ワクチンについて、緊急使用許可(EUA)を修正し、生後6ヵ月以上の小児への使用を追加したことを発表した。  今回のEUA修正により、モデルナのBA.4/5対応2価ワクチン(mRNA-1273.222)は、生後6ヵ月~5歳の小児に対して、1価ワクチンの初回シリーズ(2回)を接種して2ヵ月後に、追加免疫として1回(10μg)の接種を行うことができる。

コロナ死亡例、脳を含む広範囲に長期ウイルスが存在/Nature

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡者の体内には、呼吸器をはじめ非呼吸器、脳に至るまで広く長期に渡ってSARS-CoV-2が存在していることが、新たな研究で判明した。米国国立衛生研究所(NIH)のSydney R. Stein氏らによる本研究結果は、Nature誌オンライン版2022年12月14日号に掲載された。  COVID-19は、重症の感染時に多臓器不全を引き起こすことが知られており、一部の患者には罹患後症状と呼ばれる症状が長く続く。しかし、呼吸器以外の感染負荷やウイルスが消失するまでの時間、とくに脳においては十分に解明されていない。  研究者らは、COVID-19の感染後に死亡した44例の患者の完全剖検を行い、うち11例の患者の中枢神経系を広範囲に採取し、感染から症状発現後7ヵ月以上までの、脳を含む人体全体のSARS-CoV-2の分布、複製、細胞型特異性のマッピングと定量分析を行った。組織および症例間のSARS-CoV-2 RNAレベルを定量的、統計的に比較するために、呼吸器系および非呼吸器系組織の観点から結果を分析した。

性への関心と健康や寿命は関係があるのか/国内前向き研究

 性的関心が薄れることは、健康や寿命に関係するのであろうか。山形大学の櫻田 香氏らの研究グループは、性的関心の欠如と全死因死亡率との関連性について、山形県における前向き観察研究を行った。この研究は、山形県内の40歳以上の被験者2万969人を対象に行ったもので、性的関心を持たなかった男性では、全死亡率およびがん死亡率が有意に上昇した。PLoS One誌2022年12月14日号の報告。

コロナウイルスの生存率が高い食品は…野菜or肉or魚?

 2019年冬、中国・武漢で新型コロナウイルス感染症が初めて発生し、その起源も生きた哺乳類が売られていた「海鮮市場」と研究報告もまとめられている1)。以来、新型コロナウイルス(以下、SARS-CoV-2)と食品との関連性については懸念が続いているが、SARS-CoV-2の食品での生存率と除去に関する研究はほとんど存在していない。そこで、韓国・中央大学校のSoontag Jung氏らがSARS-CoV-2の生存に最適な保管温度や素材を調査するために、レタス、チキン、サーモンにSARS-CoV-2を付着させ、温度や湿度を変化させて検証した。その結果、SARS-CoV-2の生存率は、保管温度と食品に依存しており、室温ではレタスとチキン上での生存率が低いことが明らかになった。Food Microbiology誌オンライン版2022年10月27日号掲載の報告。