抗CGRP受容体モノクローナル抗体erenumabは、3~12ヵ月の研究において片頭痛の頻度やQOLの有意な改善が認められているが、それ以上の長期治療成績については、よくわかっていない。デンマーク・コペンハーゲン大学のMessoud Ashina氏らは、片頭痛予防に対するerenumabの長期有効性および安全性の評価を行った。European Journal of Neurology誌オンライン版2021年1月5日号の報告。
本研究は、反復性片頭痛の成人患者を対象として実施された12週間の二重盲検プラセボ対照試験終了後に行われた5年間の治療期間におけるオープンラベル試験である。オープンラベル試験開始時に、erenumab 70mgを投与した。なお、プロトコール改定後、140mgへ増量した。有効性については、毎月の片頭痛日数、毎月の急性頭痛薬の使用、健康関連QOLのベースラインからの変化を評価した。
主な結果は以下のとおり。
・登録された383例中250例はerenumab 140mgに切り替えを行った。
・オープンラベル試験を完了した患者は215例(56.1%)であった。
・毎月の片頭痛日数については、ベースライン時の8.7±0.2日から5年後には-5.3±0.3日(平均62.3%減少)の変化が認められた。
・毎月の急性頭痛薬の使用については、ベースライン時の6.3±2.8日から5年後には-4.4±0.3日の変化が認められた。
・患者報告によると、症状、頭痛による影響、片頭痛特有のQOLに関して安定した改善が認められた。
・有害事象の曝露調整患者発生率は、123.0/100患者年であり、主な有害事象は鼻咽頭炎、上気道感染症、インフルエンザであった。
・49例(3.8/100患者年)から報告された重篤な有害事象の多くは、1回のみの発生であった。
・致死的な有害事象は、2件報告された。
・有害事象、重篤な有害事象、治療中止に至る有害事象の発生率の増加は5年にわたる曝露では認められなかった。
著者らは「erenumab治療により、片頭痛の頻度が減少し、健康関連QOLの改善が認められ、その効果が5年以上持続することが示唆された。また、新たな安全性上の懸念は見当たらなかった」としている。
(鷹野 敦夫)