内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:329

COVID-19、医療従事者の感染リスクは?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療にあたる医療従事者の感染リスクと臨床的特徴について、中国・華中科技大学のXiaoquan Lai氏らが武漢の3次医療機関における約1万人の医療従事者を調査した。その結果、医療従事者の感染のほとんどがアウトブレークの初期に発生していた。また、これまでのウイルス感染症の流行時とは異なり、発熱外来や発熱病棟などで勤務する医療従事者に比べ、それ以外で勤務する医療従事者の感染率が高かった。著者らは、感染した可能性がある医療従事者を迅速に特定し、無症状者に対する定期的なスクリーニングを行うことで医療従事者を守ることができるとしている。JAMA Network Open誌2020年5月21日号に掲載。

COVID-19、NY重症患者の死亡リスク増加因子が明らかに/Lancet

 検査で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が確認され、米国・ニューヨーク市内2ヵ所の病院に入院した重症患者257例について前向きコホート試験を行った結果、高年齢、慢性肺疾患、慢性心臓病などが入院死亡リスク増加の独立リスク因子であることが確認された。米国・コロンビア大学アービング医療センターのMatthew J. Cummings氏らが行った試験の結果で、年齢の因子では10歳増加ごとに死亡リスクは1.31倍に、慢性肺疾患は死亡リスクを2.94倍に増加することが示されたという。また、侵襲的機械換気の実施率は重症患者の79%に上っていた。2020年4月28日現在、ニューヨーク市におけるCOVID-19入院患者は4万人を超えている。現況下でのCOVID-19患者の疫学、臨床経過、および重症転帰のデータの必要性から本検討は行われた。Lancet誌オンライン版2020年5月19日号掲載の報告。

降圧による認知症・認知機能障害の予防的効果/JAMA

 降圧薬を服用し血圧を下げることと、認知症や認知機能障害の発生リスクの有意な低下が関連していることが明らかにされた。アイルランド・Galway国立大学・Saolta大学病院グループのDiarmaid Hughes氏らが、無作為化比較試験14件・被験者総数9万6,158例を対象にしたシステマティック・レビューとメタ解析の結果で、JAMA誌2020年5月19日号で発表した。これまで、認知症や認知機能障害に対する降圧の予防的効果は不明であった。  研究グループは、PubMed、EMBASE、CENTRALにおいて、血圧低下と認知機能アウトカムの関連を検証した2019年12月31日までに発表された無作為化比較試験を検索し、システマティック・レビューとメタ解析を行った。

東京都在住高齢者の認知症の特徴

 認知症の早期診断を促進するために、一連の政策が実施されているものの、多くの高齢者において認知症は見逃されている可能性がある。東京都健康長寿医療センター研究所の宇良 千秋氏らは、東京都内に在住の高齢者を対象に、未検出の認知症の特徴について調査を行った。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2020年4月15日号の報告。  本研究では、3段階の調査を実施した。第1段階として、東京都内某所に在住する70歳以上の高齢者7,614人に対しアンケートを郵送し、5,430人分を回収した。第2段階として、2,020人にミニメンタルステート検査(MMSE)を含む対面調査を実施した。第3段階として、MMSEスコア24未満の高齢者335人中198人を往診した。認知症診断、臨床的な認知症の評価および社会的支援の必要性は、学術チームにより自宅で評価した。心理学的、社会学的、社会人口統計学的変数の評価も行った。

COVID-19関連の超過死亡算出するオンラインツール開発/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行の医学的、社会的、経済的な影響は、総人口死亡率に未知の作用を及ぼしているといわれる。これまでの死亡率モデルは、高リスクの基礎疾患や、それらのより長期のベースライン(COVID-19流行以前)の死亡率は考慮されていないが、英国・University College LondonのAmitava Banerjee氏らは、さまざまな感染抑制レベルに基づくCOVID-19発生のシナリオと、基礎疾患の相対リスクに基づく死亡率の影響を考慮して、COVID-19の世界的流行から1年間の超過死亡者数を、年齢、性、基礎疾患別に推定するモデルを確立するとともに、これを算出するオンラインツールを開発し、プロトタイプを公開した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2020年5月12日号に掲載された。

COVID-19へのヒドロキシクロロキン、気管挿管・死亡リスク抑制せず/NEJM

 米国では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬として、ヒドロキシクロロキンが広く投与されているが、その使用を支持する頑健なエビデンスはなかったという。同国コロンビア大学のJoshua Geleris氏らは、ニューヨーク市の大規模医療センターでCOVID-19入院患者の調査を行い、本薬はこれらの患者において気管挿管や死亡のリスクを抑制しないと報告した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2020年5月7日号に掲載された。ヒドロキシクロロキンは、マラリアやリウマチ性疾患の治療に広く使用されており、抗炎症作用と抗ウイルス作用を持つことから、COVID-19に有効な可能性が示唆されている。米国では、2020年3月30日、食品医薬品局(FDA)が緊急時使用許可(Emergency Use Authorization)を発出し、臨床試験に登録されていないCOVID-19患者への使用が認可された。ガイドラインでは、肺炎のエビデンスがある入院患者に本薬の投与が推奨されており、世界中の数千例の急性期COVID-19患者に使用されているという。

COVID-19と共存する診療の指針を示す動画公開/高血圧学会

 2020年初頭より長らく続いたCOVID-19の感染拡大と、それに伴う外出自粛や制限が相次いで緩和され、非常時から通常時へと戻る兆しが見え始めた。しかしながら、今後はCOVID-19を包含しながらの“新たな日常”となることは間違いない。そうしたCOVID-19を念頭に置いた高血圧診療をどう進めるべきかについて指針を示すべく、日本高血圧学会(理事長:伊藤 裕)はこのほど、各領域のスペシャリストによる解説動画コンテンツを作成。5月22日よりYouTubeの学会公式チャンネルで公開している。

アルナイラム社とVir社、COVID-19 治療薬候補(VIR-2703)を特定

 Vir Biotechnology社およびアルナイラム社は、COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2ゲノムを標的とするRNAi治療薬研究の開発候補として、VIR-2703を選定したと発表した。両社は、近日中にFDAおよび他の規制当局と面会し、2020年末を目処にヒトにおける臨床試験を開始する見込みだとしている。  アルナイラム社は、SARS-CoV-2ゲノムの高度に保存された領域を標的とするRNAiを媒介するsiRNAを350種以上合成し、ウイルス複製を1/1000以下まで低減した有力なsiRNAを複数特定した

COVID-19、ヒドロキシクロロキンで院内死亡低下せず/JAMA

 ニューヨークの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者において、抗マラリア薬ヒドロキシクロロキン、抗菌薬アジスロマイシンまたはこれらの両薬を治療に用いた患者は、いずれも使用していない患者と比較して、院内死亡率に有意差はなかった。米国・ニューヨーク州立大学のEli S. Rosenberg氏らが、COVID-19入院患者の後ろ向き多施設共同コホート研究の結果を報告した。ヒドロキシクロロキンの単独またはアジスロマイシンとの併用は、COVID-19に対する治療法の候補と考えられているが、有効性や安全性に関するデータは限定的であった。JAMA誌オンライン版2020年5月11日号掲載の報告。

新型コロナPCR検査、偽陰性が多い期間は?

 新型コロナウイルスのPCR検査の感度や特異度は十分に特定されておらず、偽陰性となる可能性が最も高い期間はよくわかっていない。今回、米国ジョンズ・ホプキンズ大学のLauren M. Kucirka氏らが7つの研究のプール解析を行ったところ、偽陰性率は、発症後3日目(感染後8日目)に最も低くなることがわかった。著者らは、偽陰性の可能性を最小限にするために、検査は発症から3日間待って実施すべきとしている。また、臨床的にCOVID-19が疑われる場合は、PCR陰性のみで除外診断すべきではなく、臨床的および疫学的状況を慎重に検討する必要があると述べている。Annals of Internal Medicine誌オンライン版2020年5月13日号に掲載。