日本感染症学会(理事長:舘田 一博)と日本環境感染学会(理事長:吉田 正樹)は、感染症予防連携プロジェクト「FUSEGU2020」の活動として「感染症に関する意識・実態調査」と題し、首都圏に住む20~60代の男女1,000名を対象としたアンケート調査を実施。その結果、感染症予防の基本対策(手洗い、マスクの使用、手の消毒)を多くの人が実施し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を機にほかの感染症に対する関心が高まった人が6割以上に上ることが明らかとなった。
手洗い87.7%、マスク使用87.4%という意識・実態調査の結果
この感染症に関する意識・実態調査は、COVID-19拡大の大きな波を経て手洗いやマスクの使用など感染症予防のための行動が浸透しているか、2~3月に実施した調査結果と比較し実態を把握することとともに、東京オリンピック・パラリンピック開催などに向け、発生・流行する可能性のあるさまざまな感染症に対する意識を調べることを目的に実施された。
手洗いやマスクの使用など、感染症に関する意識・実態調査の主な結果は以下のとおり。
・アンケートはWEB調査で、2020年10月9日~12日に実施された。
・感染予防策として実施していたのは、手洗いが87.7%、マスクの使用が87.4%、手の消毒が65.9%だった。
・感染予防策それぞれについて「大切である」との意識は女性で高く、若い男性で低い傾向だった。
・自身に発熱がある場合、「人にうつる病気であることを意識する」人が4.5割から7割に増加した。
・COVID-19などの「感染症をうつされるかもしれない」と警戒心が引き締まるのは、同居する家族12.4%、別居している家族25.6%、友人33.9%、職場の同僚 39.6%で、家族間の意識が低い傾向だった。
・ほかの感染症に対する関心が高まったという人が6割以上だった。
・感染症への関心が高まる一方で、COVID-19以外に対する認知・理解は進んでいなかった。
・ワクチン接種を感染症の予防手段の1つとして考えている人は6割以上だった。
・実際にワクチン接種を受けたり、検討したりした人は約4割にとどまった。
・インフルエンザ以外の感染症については、ほとんどの人がワクチン接種を受けていない、もしくは検討していなかった。
(ケアネット 土井 舞子)