内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:353

うつ病予防の主要ターゲットとしての入眠障害

 うつ病は、世界中で問題となる疾患の1つであり、再発率が高いため、うつ病発症を予防することが重要である。メタ解析において、不眠症が、うつ病の修正可能なリスク因子であることが示唆されていたが、これまでの研究では、不眠症がうつ病前の残存症状なのか、うつ病の併存症状なのかについては、十分に考慮されていなかった。オランダ神経科学研究所のTessa F. Blanken氏らは、睡眠障害がうつ病のリスク因子であるかを検討するため、6年間のプロスペクティブ研究を実施した。Sleep誌オンライン版2019年12月2日号の報告。

電子タバコ関連の肺障害、酢酸ビタミンEが関与か/NEJM

 米国では現在、電子タバコまたはベイピング製品の使用に関連する肺障害(electronic-cigarette, or vaping, product use-associated lung injury:EVALI)が、全国規模で流行している。同国疾病予防管理センター(CDC)のBenjamin C. Blount氏らLung Injury Response Laboratory Working Groupは、EVALIの原因物質について調査し、酢酸ビタミンEが関連している可能性が高いと報告した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2019年12月20日号に掲載された。2019年12月12日現在、米国の50州とワシントンD.C.、バージン諸島、プエルトリコで、2,400人以上のEVALI罹患者が確認されている。すでに25州とワシントンD.C.で52人が死亡し、罹患者の78%が35歳未満だという。症状は、呼吸器(95%)、全身(85%)、消化器(77%)が多く、数日から数週間をかけて緩徐に進行すると報告されているが、その原因物質は同定されていない。

長期介護施設入居者の不眠症やベンゾジアゼピン使用と転倒リスク

 高齢者の負傷の主な原因である転倒は、長期介護施設の入居者において、とくに問題となる。中国・復旦大学のYu Jiang氏らは、長期介護施設の入居者を対象に、睡眠の質や睡眠薬の使用が転倒に及ぼす影響について評価した。このような研究は、中国ではこれまでほとんど行われていなかった。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2019年11月21日号の報告。  対象は、上海の中心部にある25の長期介護施設より募集した605例。睡眠の質と睡眠薬の使用に関するベースライン調査、転倒および転倒での負傷に関する1年間のフォローアップ調査を実施した。単変量および多変量解析には、ロジスティック回帰モデルを用いた。

HPVワクチンの接種推進の取り組み

 11月30日・12月1日に開催された「第23回 日本ワクチン学会学術集会」(会長:多屋馨子〔国立感染症研究所〕)では、「サーベイランスから対策へ 有効性と安全性の両輪で考えるワクチン元年」をテーマに、臨床、疫学、製造開発、行政関係などから参加者が一堂に会して開催された。  同集会では、インフルエンザやMRワクチンはもちろん、来年10月より定期接種化される予定のロタワクチンなどに関する発表も行われた。  本稿では、2013年より積極的接種勧奨が中止されているHPVワクチンについて取り上げる。

海外渡航者へのワクチンの勧め

 11月30日・12月1日に「第23回 日本ワクチン学会学術集会」(会長:多屋 馨子〔国立感染症研究所〕)が開催された。「国際化とワクチン」をテーマに開催されたシンポジウムでは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックで多数の来日外国人が持ち込む可能性がある感染症への備えとしてのワクチンの重要性などが語られた。  本稿では、「渡航医学におけるワクチン」を取り上げる。  シンポジウムでは、田中 孝明氏(川崎医科大学 小児科学 講師)が「海外渡航者のためのワクチン」をテーマに、インバウンドの逆、日本人が海外渡航する場合(アウトバウンド)における予防接種の対応や現在の問題点などを講演した。

地域密着型認知症治療の現状調査~相模原市認知症疾患医療センターでの調査

 日本では認知症対策として地域密着型統合ケアシステムを促進するため、2013年に認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)を策定し、2015年に認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)として改訂を行った。これらのプログラム導入後、地域の認知症ケアにどのような影響を及ぼすかについては、十分な研究が行われていない。北里大学の姜 善貴氏らは、相模原市認知症疾患医療センターにおける認知症診断を含む医療相談経路の調査を通じて、地域密着型認知症治療の現状について調査を行った。Psychogeriatrics誌オンライン版2019年12月4日号の報告。

わが国における脳血管疾患発症率の動向

 日本人の主な死因である脳血管疾患の近年の発症率は不明である。今回、岩手医科大学の大間々 真一氏らが、高齢者の多い岩手県において過去10年間のデータを調査した結果、脳血管疾患の発症率と発症数が減少していることがわかった。今後も減少することが予測されるが、85歳以上では増加することが示唆された。Journal of stroke and cerebrovascular diseases誌オンライン版2019年12月23日号に掲載。  著者らは、2008~17年のIwate Stroke Registry(岩手県全体のデータ)を用いた後ろ向き調査を実施し、発症率の変化率と日本の地域別将来推計人口から今後の発症率を予測した。

脳梗塞、一過性脳虚血発作発症後の脂質管理はどの程度まで(解説:吉岡成人氏)-1164

脳梗塞は適切な内科治療が行われなければ、最初の1年で10人に1人が再発する。一方、TIAも発症後90日以内の脳卒中発生率は15~20%である。脳梗塞、TIAの再発予防においては、抗血栓療法と内科的リスク(血圧、脂質、血糖)の管理が重要である。日本における『脳卒中治療ガイドライン2015』においても、脳梗塞患者の慢性期治療における脂質異常のコントロールが推奨されており、高用量のスタチン系薬剤は脳梗塞の再発予防に有用であると記されている(グレードB:行うように勧められる)。また、低用量のスタチン系薬剤で治療中の患者においてはEPA製剤の併用が脳卒中の再発予防に有効であることも併記されている(グレードB)。

中国で原因不明の肺炎59例、厚労省が注意呼び掛け

 中国・湖北省武漢市で、先月中旬から下旬にかけて、原因となる病原体が特定されていない肺炎の発生が複数報告されている。厚生労働省によると、現在までにヒト-ヒト感染は明らかになっておらず、爆発的な広がりが懸念される段階ではないが、引き続き情報収集を進めている。  国立感染症研究所などが今月5日時点でまとめた内容によると、症例数は59例で、臨床徴候と症状は主に発熱。いずれも2019年12月12日~29日に発症したとみられ、このうち7例が重症となっている。感染経路は不明であるが、ヒト-ヒト感染については明らかな証拠がなく、医療従事者における感染例も確認されていない。発生場所の疫学的な特徴としては、海鮮市場と関連した症例が多いとのこと。当該の海鮮市場(華南海鮮城)は、野生動物を販売する区画もあるが、現在は閉鎖中という。

急性心不全、包括的な血管拡張薬投与は予後を改善するか?/JAMA

 急性心不全(AHF)患者に対する血管拡張薬の早期集中・継続的な投与戦略について、通常ケアと比較して、180日時点の複合アウトカム(全死因死亡およびAHFによる再入院)を改善しないことが、スイス・バーゼル大学のNikola Kozhuharov氏らによる国際共同非盲検無作為化盲検エンドポイント試験「GALACTIC試験」の結果、示された。通常、一定用量で投与する血管拡張薬の単剤・短期投与では、AHF患者のアウトカムは改善されない。研究グループは、AHF患者の確立されている血管拡張薬について、個別化された用量漸増にて早期集中・継続的な投与という治療戦略の有効性を検証した。JAMA誌2019年12月17日号掲載の報告。