日本人の主な死因である脳血管疾患の近年の発症率は不明である。今回、岩手医科大学の大間々 真一氏らが、高齢者の多い岩手県において過去10年間のデータを調査した結果、脳血管疾患の発症率と発症数が減少していることがわかった。今後も減少することが予測されるが、85歳以上では増加することが示唆された。Journal of stroke and cerebrovascular diseases誌オンライン版2019年12月23日号に掲載。
著者らは、2008~17年のIwate Stroke Registry(岩手県全体のデータ)を用いた後ろ向き調査を実施し、発症率の変化率と日本の地域別将来推計人口から今後の発症率を予測した。
主な結果は以下のとおり。
・日本の標準的な集団における脳血管疾患の10万人年当たり年齢調整発症率は、10年間で、男性で212.1から176.8に、女性で123.1から97.0に減少した。
・55歳未満の年齢別発症率と発症数はわずかしか減少しなかったが、55歳以上では減少した。
・2040年の全体の発症数は2015年の3分の2に減少するが、85歳以上の発症数は2040年まで増加することが予測された。
(ケアネット 金沢 浩子)