内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:382

認知症患者におけるカフェインと精神症状~システマティックレビュー

 カフェイン摂取は、健康成人の行動や睡眠に影響を及ぼすことが知られている。行動症状や睡眠障害に対しカフェイン摂取が影響している可能性のある認知症患者は、多く見受けられる。オランダ・ライデン大学のM. A. Kromhout氏らは、認知症患者におけるカフェイン摂取と精神症状との関連について調査するため、システマティックレビューを行った。Experimental Gerontology誌オンライン版2019年4月30日号の報告。

大腸がんの便潜血検査、アスピリンで感度は向上するか/JAMA

 アスピリンは免疫学的便潜血検査(FIT)による進行新生物の検出感度を、とくに男性において改善することが、観察研究で示されている。ドイツ・German Cancer Research CenterのHermann Brenner氏らは、この知見を検証するために、大腸内視鏡検査が予定されている40~80歳の男女を対象に無作為化試験を行った。その結果、FITの前にアスピリンを経口投与しても、進行大腸がんの検出感度は上昇しないことが示された。研究の詳細は、JAMA誌2019年5月7日号に掲載された。FITは、大腸がんの検出において高い特異度を有するが、多くの大腸がんの前駆病変である進行腺腫(advanced adenoma)の検出能は十分でない。特異度を損なわずに感度を向上させることができれば、大腸がんのスクリーニングにおけるFITの検出能が改善される可能性があるという。

腰痛診療ガイドライン2019発刊、7年ぶりの改訂でのポイントは?

 2019年5月13日、日本整形外科学会と日本腰痛学会の監修による『腰痛診療ガイドライン2019』(編集:日本整形外科学会診療ガイドライン委員会、腰痛診療ガイドライン策定委員会)が発刊された。本ガイドラインは改訂第2版で、初版から実に7年ぶりの改訂となる。  初版の腰痛診療ガイドライン作成から現在に至るまでに、腰痛診療は大きく変遷し、多様化した。また、有症期間によって病態や治療が異なり、腰痛診療は複雑化してきている。そこで、科学的根拠に基づいた診療(evidence-based medicine:EBM)を患者に提供することを理念とし、『Minds 診療ガイドライン作成の手引き 2014』で推奨されるガイドライン策定方法にのっとって腰痛診療ガイドライン2019は作成された。

エンドセリン受容体拮抗薬は糖尿病腎症の新しい治療アプローチとなるか?(解説:小川大輔氏)-1049

糖尿病腎症の治療において血糖のコントロールは基本であるが、同時に血圧や脂質、体重などを適切に管理することも重要である。そして早期の糖尿病腎症であれば多面的かつ厳格な管理により腎症の進展を抑制することが示されている。ただひとたび腎障害が進行すると、集約的な治療を行っても腎不全への進展を阻止することが難しい。今年4月に開催された国際腎臓学会(ISN-WCN 2019)において、SGLT2阻害薬カナグリフロジンが顕性アルブミン尿を呈する糖尿病腎症患者の腎アウトカムを有意に改善するという結果(CREDENCE試験)が報告され注目を集めている。実はこの学会でもう1つ、糖尿病腎症に対する薬物療法の試験結果(SONAR試験)が発表された。この試験も顕性腎症患者を対象としており、エンドセリン受容体拮抗薬atrasentanの有効性と安全性が検討された。

尿酸値が低いと認知症リスクは増大するのか?~44年の追跡調査

 血清尿酸が減少すると抗酸化力が損なわれる可能性があるため、血清尿酸値が低いと認知症リスクが増大することが示唆されている。一方、血清尿酸値が高いと心血管リスクが増加し、認知症とくに血管性認知症のリスクが増大する恐れがある。今回、スウェーデン・ヨーテボリ大学のLieke E.J.M. Scheepers氏らによる集団ベースの研究で、アルツハイマー病や血管性認知症などの認知症のサブタイプにかかわらず、血清尿酸値が高いと認知症リスクが低いことが示された。Alzheimer's & Dementia誌オンライン版2019年5月2日号に掲載。

5/9呼吸の日に「ぜん息外来.jp」リリース

 アストラゼネカ株式会社は、5月9日“呼吸の日”に喘息治療サポートサイト「ぜん息外来.jp」をオープンした。  本サイトは、「ぜん息について」「あなたのぜん息タイプは?」「知ろう、あなたのぜん息コンディション」「専門医からのメッセージ」「医療機関検索」という5つのコンテンツで構成され、疾患が起こるメカニズムや検査、重症化の原因によって分けられる喘息のタイプなど、喘息に関する最新情報を提供する。  とくに喘息患者の5~10%を占める重症喘息については、昨今の研究によって好酸球などの存在が喘息を悪化させる原因として明らかになってきた。

CIDPの病態は再発と寛解の繰り返し…患者のQOLを変えるハイゼントラ

 2019年4月10日、CSLベーリング株式会社は、都内で慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)に関するメディアセミナーを開催した。セミナーでは、最新のCIDPの知見のほか、患者実態調査の報告などが行われた。  はじめに「CIDPの多様性と治療戦略 患者さんのQOLを維持するために」をテーマに、祖父江 元氏(名古屋大学大学院医学系研究科 特任教授)を講師に迎え、診療の概要が説明された。  CIDPとは、進行性または再発性の経過で、2ヵ月以上にわたりびまん性の四肢の筋力の低下やしびれ感を来す末梢神経疾患である。典型的な症状としては、左右対称性に腕があがらなくなる、箸が使えないほどの握力低下、階段に登れないなどがある。また、手足のしびれ感やピリピリ感などの違和感を認めることもあるという。

現実と乖離する「ナトリウム・カリウム摂取量」と、健康長寿(解説:石上友章氏)-1047

健康日本21の第2次の栄養目標では、平成34年度の食塩摂取量を8g(平成22年 10.6g)に定めている。カリウムについては個別の目標は採用せず、野菜・果物摂取量が設定されている。世界保健機関(WHO)のガイドラインでは、1日の栄養摂取量として、ナトリウムは2.0g未満に制限を、カリウムは3.5g以上摂取を推奨している。いずれの目標も、ナトリウム過剰摂取やカリウム摂取不足が、健康・長寿にマイナス要因に働くという認識については一致している。カナダ・マックマスター大学のMartin O'Donnell氏らが行った調査(PURE研究)の結果は、現実が必ずしも理想どおりではないことを示している。

アミロイドβの毒性機序解明となるか?

 アルツハイマー病(AD)における病因蛋白アミロイドβの毒性機序の解明について、昭和大学がプレスリリースを発表した。  今回、昭和大学の小野 賢二郎氏(昭和大学 医学部脳神経内科学部門 教授)、辻 まゆみ氏(薬理科学研究センター)らを中心とする研究グループは、アミロイドβの高分子オリゴマーであるプロトフィブリルが神経細胞膜を傷害する機序の一端を解明し、2019年5月13日、米国実験生物学会連合学術誌The FASEB Journal誌オンライン版に掲載された。

新インフルワクチンで毎年の接種不要に? P1試験開始/NIH

 インフルエンザワクチンは次シーズンの流行予測に基づき、ワクチン株を選定して毎年製造される。そのため、新たな変異株の出現と拡大によるパンデミックの可能性に、世界中がたえず直面している。米国国立衛生研究所(NIH)は4月3日、インフルエンザウイルスの複数サブタイプに長期的に対応する“万能(universal)”ワクチン候補の、ヒトを対象とした初の臨床試験を開始したことを発表した。  この新たなワクチン候補は、菌株ごとにほとんど変化しない領域に免疫系を集中させることで、さまざまなサブタイプに対する防御反応を行うよう設計された。本試験は、米国国立アレルギー感染症研究所のワクチンリサーチセンター(VRC)が主導している。