横断的データによると、仕事のストレスと睡眠不足は密接に関連しているといわれているが、プロスペクティブデータによるエビデンスは限られている。スウェーデン・ストックホルム大学のJohanna Garefelt氏らは、認識されたストレスや仕事のストレッサー(仕事の要求、意思決定、職場の社会的支援)が不眠症に及ぼす経時的な影響について、構造方程式モデリングを用いて分析を行った。Journal of Sleep Research誌オンライン版2019年12月2日号の報告。
スウェーデン労働者の大規模サンプルから得られた2008~14年の2年ごとの測定値より、ストレスから睡眠への影響および睡眠からストレスへの影響の両方向について分析を行った。
主な結果は以下のとおり。
・全体として、不眠症と4回すべてのストレス測定値との間に相互の関連が認められた。
・しかし、不眠症の各症状と各ストレス測定値の関連は、影響の方向においていくつかの違いが認められた。
・ストレスから睡眠への影響においては、認識されたストレスを含むすべての仕事のストレッサーが、入眠困難と睡眠維持困難を予測した。
・また、意思決定を除き、熟眠障害においても同様の影響が認められた。
・睡眠からストレスへの影響においては、睡眠維持困難が、仕事の要求および認識されたストレスレベルの増加を予測した。
・ストレス測定値を予測しなかった不眠症状としては、入眠困難が最も顕著であった。
・一方、すべてのストレス測定値を予測した唯一の症状は、熟眠障害であった。
著者らは「ストレスと睡眠の関係、不眠症と仕事のストレッサーおよび認識されたストレスとの潜在的な悪循環への理解がより深まり、職場における不眠症緩和のための介入の必要性が示唆された」としている。
(鷹野 敦夫)