内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:477

スタチンはがん死亡リスクを下げるか~日本のコホート研究

 スタチンのがん発症やがん死亡に対する予防効果については結論が出ていない。今回、山梨大学の横道洋司氏らがバイオバンク・ジャパン・プロジェクトのデータから脂質異常症患者4万1,930例を調査したところ、スタチン単独療法が全死亡およびがん死亡に対して影響し、とくに大腸がんによる死亡に予防効果を示す可能性が示唆された。Journal of Epidemiology誌オンライン版2017年2月11日号に掲載。

同じGPでの診療継続は、不要な入院を減らす/BMJ

 プライマリケアの継続性を促進することで、不必要な入院を回避し、とくに受診頻度の高い患者で医療費の抑制効果を改善する可能性があることが、英国・The Health FoundationのIsaac Barker氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2017年2月1日号に掲載された。予定外の入院を回避するために、多くのヘルスケアシステムが、プライマリケアへのアクセスの迅速性と公正性の改善に重点的に取り組んでいる。英国では、ケアの継続性が損なわれつつあるとされ、これはケアへのアクセスの促進と継続性はトレード・オフの関係にあるためと考えられている。また、ケアの継続性は、患者および医師の満足度と関連することが知られているが、入院との関連は不明だという。

肺炎球菌ワクチン定期接種化で薬剤感受性への影響は?

 肺炎球菌ワクチンは小児および成人の肺炎球菌感染を減少させたが、ワクチンに含まれない血清型(non-vaccine serotype:NVT)の有病率が相対的に増加していることが報告されている。今回、東京医科大学の宮崎治子氏らの調査から、肺炎球菌ワクチンの急速な影響および血清型置換の進行が示唆された。ペニシリン非感受性のNVTによる有病率の増加が懸念され、著者らは「最適な予防戦略を立てるために肺炎球菌血清型と薬剤感受性の継続的なモニタリングが必要」と指摘している。Journal of Infection and Chemotherapy誌オンライン版2017年2月1日号に掲載。

繰り返す肺炎、危険因子となる薬剤は?

 日本や高齢化が急速に進行する社会において、繰り返す肺炎(recurrent pneumonia:RP)は大きな臨床的問題である。全国成人肺炎研究グループ(APSG-J)は、わが国のRP発症率と潜在的な危険因子を調査するために、成人肺炎の前向き研究を実施した。その結果、RPは肺炎による疾病負荷のかなりの割合を占めることが示唆され、RPの独立した危険因子として、肺炎既往歴、慢性の肺疾患、吸入ステロイドや催眠鎮静薬の使用、緑膿菌の検出が同定された。著者らは、高齢者におけるRPの影響を減らすために薬物使用に関して注意が必要としている。BMC pulmonary medicine誌2017年1月11日号に掲載。

冠動脈疾患患者における心房細動の危険因子は?

 一般集団における心房細動の危険因子は明らかだが、特定の疾患を持つ患者への影響は不明である。今回、札幌医科大学の村上 直人氏らが、冠動脈疾患(CAD)患者と非CAD患者における心房細動の危険因子を調べた結果、CADの有無により心房細動の主要な危険因子が異なることが示唆された。CAD患者では血清尿酸値高値、非CAD患者ではスタチン非使用で心房細動が発症しやすいことが示された。Open heart誌オンライン版2017年1月16日号に掲載。

PPIは認知症リスクになるのか~系統的レビュー

 最近の研究で、プロトンポンプ阻害薬(PPI)服用者における認知障害や認知症リスクの増加が示唆されている。オーストラリア・モナッシュ大学のRiley Batchelor氏らが、これらの関連を系統的レビューにより検討したところ、PPI使用と認知症および急性の認知障害に正の相関が認められた。著者らは、今回の系統的レビューには方法論的な問題と相反する結果があるため、さらなる縦断研究が必要としている。Journal of gastroenterology and hepatology誌オンライン版2017年1月27日号に掲載。

非喫煙者では飲酒量と肺がんリスクが逆相関

 飲酒量と肺がんリスクとの関連は、喫煙による交絡の可能性があり研究の解釈を複雑にしている。カナダのルーネンフェルト・タネンバウム研究所のGordon Fehringer氏らは、プールされた大規模なサンプルで、生涯非喫煙者のみの解析によって喫煙による潜在的な交絡を最小限に抑え、飲酒量と肺がんリスクとの関連を調査したところ、とくに飲酒量が低~中等度の人では、飲酒量と肺がんに負の相関を認めた。また、この関連はワインと蒸留酒において示され、ビールでは認められなかったという。International journal of cancer誌オンライン版2017年1月24日号に掲載。

OAの痛みは「炎症性の痛み」+「痛みのブレーキ機能の減弱」

 2017年1月26日(木)、塩野義製薬株式会社/日本イーライリリー株式会社主催のプレスセミナー「変形性関節症に伴う痛みの治療戦略―今までとこれから―」が開催された。まず、島根大学医学部整形外科学教室 教授の内尾 祐司氏より、変形性関節症(OA)に伴う痛みが患者の日常生活に与える実態について、医師と患者を対象に実施された全国意識調査の結果を中心に語られた。続いて、日本イーライリリー株式会社 臨床開発医師 榎本 宏之氏より、デュロキセチン(商品名:サインバルタ)の「変形性関節症に伴う疼痛」への適応症追加について語られた。

安定冠動脈疾患にRAS阻害薬は他剤より有効か/BMJ

 心不全のない安定冠動脈疾患の患者に対するレニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬の投与は、プラセボとの比較では心血管イベント・死亡のリスクを低減するものの、Ca拮抗薬やサイアザイド系利尿薬などの実薬との比較では、同低減効果は認められなかった。また、対プラセボでも対照集団が低リスクの場合は、同低減効果は認められなかった。米国・ニューヨーク大学のSripal Bangalore氏らが、24の無作為化試験についてメタ解析を行い明らかにし、BMJ誌2017年1月19日号で発表した。心不全のない安定冠動脈疾患患者へのRAS阻害薬投与については、臨床ガイドラインでは強く推奨されているものの、最近の現行治療への上乗せを検討した試験結果では、対プラセボの有効性が示されなかった。