内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:95

食塊による食道完全閉塞、コーラで改善するか/BMJ

 オランダ・アムステルダム大学医療センターのE G Tiebie氏らは、多施設共同無作為化非盲検比較試験において、コーラの摂取は食塊による完全な食道閉塞の改善率を高めないことを報告した。食塊による完全な食道閉塞に対しては、現在、侵襲的で高額な医療費を伴う緊急内視鏡治療が望ましいとされ、ガイドラインでは内視鏡の施行が遅れないとの前提で内視鏡前の内科的治療が認められている。一方で、コホート研究や症例シリーズで、コーラの摂取により59~100%の患者で食塊による食道閉塞が改善したことが報告されていた。BMJ誌2023年12月11日クリスマス特集号「FOOD AND DRINK」掲載の報告

内臓脂肪はアルツハイマー病の発症リスクを高める?

 腹部を中心とした内臓の周りに脂肪が多くついている中高年は、後年、アルツハイマー病を発症するリスクの高いことが、新たな研究で示唆された。研究では、表面からは見えないこの脂肪(内臓脂肪)が脳の変化に関係しており、その変化は、アルツハイマー病の最初期の症状である記憶障害が生じる最長で15年前に現れ始めることが示されたという。米ワシントン大学医学部マリンクロット放射線医学研究所のMahsa Dolatshahi氏らによるこの研究結果は、北米放射線学会年次総会(RSNA 2023、11月26~30日、米シカゴ)で発表された。

50~64歳へのインフルエンザワクチン、4価遺伝子組換えvs.標準用量/NEJM

 50~64歳の成人において、高用量の遺伝子組み換え4価インフルエンザワクチンは、鶏卵を用いた標準用量のワクチンに比べ、PCR検査で確認されたインフルエンザに対する防御効果が高いことが示された。米国・カイザーパーマネンテ・ワクチン研究センターのAmber Hsiao氏らが、163万例超を対象としたクラスター無作為化観察試験の結果を報告した。遺伝子組み換え4価インフルエンザワクチンには鶏卵を用いた標準用量のワクチンの3倍量のヘマグルチニン蛋白が含まれており、遺伝子組み換え製剤は製造過程の抗原ドリフトに影響を受けにくい。65歳未満の成人におけるインフルエンザ関連アウトカムについて、遺伝子組み換えワクチンを標準用量のワクチンと比較した相対的有効性に関するデータが求められていた。NEJM誌2023年12月14日号掲載の報告。

認知症の評価に視覚活用、アイトラッキングシステムとは

 早期認知症発見のためのアイトラッキング技術を用いた「汎用タブレット型アイトラッキング式認知機能評価アプリ」の神経心理検査用プログラム『ミレボ』が2023年10月に日本で初めて医療機器製造販売承認を取得した。発売は24年春を予定している。この医療機器は日本抗加齢協会が主催する第1回ヘルスケアベンチャー大賞最終審査会(2019年開催)で大賞を取った武田 朱公氏(大阪大学大学院医学系研究科 臨床遺伝子治療学)の技術開発を基盤として同第5回大賞(10月27日開催)を受賞した高村 健太郎氏(株式会社アイ・ブレインサイエンス)らが産業化に成功したもの。

猫を飼うと統合失調症などの精神疾患になるのは本当か

 猫の飼育は、統合失調症関連障害および精神病症状様体験(PLE)のリスク修飾因子であるといわれている。この可能性についてオーストラリア・クイーンズランド大学脳研究所のJohn J McGrath氏らの研究グループは、猫の飼育と統合失調症関連の転帰との関係を報告した文献の系統的レビューおよびメタ解析を行った。その結果、猫の飼育(猫への曝露)は広義の統合失調症関連障害のリスク増加との関連を支持するものであった。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2023年12月2日号の報告。

錠剤サイズのデバイスで心拍数などをモニタリングする研究が前進

 新たな「ハイテク錠剤」によって体内でバイタルサインのモニタリングを安全に行えることが、米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院の消化器内科医で米マサチューセッツ工科大学(MIT)機械工学分野のGiovanni Traverso氏らの研究で示された。この研究結果は、「Device」11月17日号に発表された。  このバイタル・モニタリング・ピル(以下、VMピル)は、呼吸や心拍に伴う体内のわずかな振動を追跡することで機能するデバイスだ。もし、VMピルを飲み込んだ人の呼吸が止まれば、VMピルはそれを検知することができる。そのため、VMピルからオピオイド過剰摂取のリスクがある患者の情報をリアルタイムで得られる可能性もあるという。

携帯電話依存症と先延ばし癖の関係~メタ解析

 携帯電話依存症は、学生の先延ばし癖に影響を及ぼす重要な因子として、広く研究されている。しかし、携帯電話依存症と先延ばし癖との相関関係とその影響力は、依然として明らかになっていない。中国・上海大学のXiang Zhou氏らは、学生の携帯電話依存症と先延ばし癖との関係、参加者の個人的特性(教育レベル、性別)、測定ツール、社会的状況要因(出版年、文化)の緩和効果を調査するため、メタ解析を実施した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2023年11月17日号の報告。  PubMed、Web of Science、Embase、PsycINFO、China National Knowledge Infrastructure(CNKI)、Wanfang、Weipuよりシステマティックに検索し、適格基準を満たす研究を収集した。メタ解析には、CMA3.0ソフトウェアを用い、緩和効果のテストには、分散メタ解析(ANOVA)を用いた。

遺伝性血管性浮腫治療薬のホームデリバリーでQOL向上を目指す/CSLベーリング

 2023年12月5日、CSLベーリング主催による「遺伝性血管性浮腫(HAE)患者さんのQOL向上をめざして」と題したプレスセミナーが開催された。同セミナーでは、広島市民病院 病院長の秀 道広氏による「HAE病態解明と治療法の進歩について」の講演が行われたほか、NPO法人遺伝性血管性浮腫患者会(HAEJ)理事長の松山 真樹子氏が患者の家族として、日常の苦労やHAE患者の今後の課題を述べた。  また、CSLベーリングは同日付のプレスリリースで、2022年11月に発売されたHAE急性発作発症抑制薬「乾燥濃縮人C1-インアクチベーター(商品名:ベリナート皮下注用2000)」による在宅治療を行っている患者に対して、医薬品配送サービス「CSLホームデリバリー」を2023年12月1日より全国で開始したと発表した。

コーヒーや炭酸飲料、潰瘍性大腸炎リスクを減少/日本人での研究

 食事は潰瘍性大腸炎リスクに影響する可能性があるが、日本人でのエビデンスは乏しい。今回、日本潰瘍性大腸炎研究グループが、コーヒーやその他のカフェインを含む飲料・食品の摂取、カフェインの総摂取量と潰瘍性大腸炎リスクとの関連を症例対照研究で検討した。その結果、欧米よりコーヒーの摂取量が少ない日本においても、コーヒーやカフェインの摂取が潰瘍性大腸炎リスクの低下と関連することが示された。愛媛大学の田中 景子氏らがJournal of Gastroenterology and Hepatology誌オンライン版2023年12月10日号で報告。

腎移植患者に対する帯状疱疹ワクチン接種の推奨/日本臨床腎移植学会

 日本臨床腎移植学会は、2023年11月7日付の「腎移植患者における帯状疱疹予防に関するお知らせ」にて、腎移植患者に対する帯状疱疹発症予防のための乾燥組換え帯状疱疹ワクチン(商品名:シングリックス筋注用、製造販売元:グラクソ・スミスクライン)の接種を積極的に検討するよう同学会の会員に向けて通達した。  米国疾病予防管理センター(CDC)の勧告や海外の最新のガイドラインにおいて、固形臓器移植患者に対するワクチンの接種は、原則、移植前に接種するよう推奨されており、移植前にワクチン接種が不可能な場合は、移植後少なくとも6~12ヵ月後に接種することが望ましいとされている。