内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:96

筋トレは方法次第で1日3秒、週3日で効果あり!?

 「筋力トレーニングはつらいので嫌い」という人は、少なくないだろう。しかし1日3秒、週3日で効果があるとしたらどうだろうか。新潟医療福祉大学とオーストラリア・Edith Cowan Universityの研究グループは、1日3秒、週3日の全力の伸張性収縮(重りをゆっくりと降ろすなどの運動)を4週間実施することで、筋力が増加することを明らかにした。本研究結果は、吉田 麗玖氏(間庭整形外科医院)らによってEuropean Journal of Applied Physiology誌オンライン版2023年7月28日号で報告された。  健康な大学生26人を対象として、全力の伸張性収縮を1日3秒、週2日実施する群(週2日群)と1日3秒、週3日実施する群(週3日群)に均等に割り付け、4週間のトレーニングを実施した。4週間のトレーニング前後における短縮性収縮、等尺性収縮、伸張性収縮時の随時最大筋力の変化を群間比較した。また、上腕二頭筋、上腕筋の筋厚の変化も比較した。これらの結果は、先行研究において1日3秒、週5日のトレーニングを4週間実施した群(週5日群)とも比較した。

鼻腔内インスリン投与で認知機能改善?

 鼻腔内へのインスリン投与が、アルツハイマー病(AD)や軽度認知障害(MCI)患者の認知機能に対して保護的に働くことが、メタ解析の結果として示された。一方、認知機能低下の見られない対象では、有意な影響は認められないという。トロント大学(カナダ)のSally Wu氏らの研究によるもので、詳細は「PLOS ONE」に6月28日掲載された。  鼻腔内へのインスリン投与(intranasal Insulin;INI)は、末梢でのインスリン作用発現に伴う副作用リスクを抑制しつつ、脳内のインスリンシグナル伝達を改善し、認知機能に対して保護的に働くと考えられている。これまでに、INIによる認知機能への影響を調べた研究結果が複数報告されてきている。ただしそれらの結果に一貫性が見られない。Wu氏らは、このトピックに関するシステマティックレビューとメタ解析により、この点を検討した。

モデルナXBB対応コロナワクチン、新変異株EG.5やFL.1.5.1にも有効

 米国・Moderna社は8月17日付のプレスリリースにて、2023年秋の新型コロナワクチン接種に向けて承認申請中のXBB系統対応ワクチン(mRNA-1273.815)について、予備的臨床試験で、全世界で感染が拡大している新たな変異株EG.5およびFL.1.5.1に対して、中和抗体の有意な増加が確認されたことを発表した。本結果により、同社の新たなワクチンが、今季流行が懸念される変異株にも効果的であることが示唆された。  新たな変異株であるEG.5は「エリス」とも呼ばれ、世界保健機関(WHO)は8月9日にこの変異株を含むEG.5系統を「注目すべき変異株(VOI)」に指定した。EG.5はXBB.1.9.2の子孫系統であり、XBB.1.5と同じスパイクアミノ酸プロファイルを持つ。

アルツハイマー病のリスク因子

 アルツハイマー病は最も一般的な認知症であるが、その原因はいまだ不明である。その理由として、多因子疾患であるアルツハイマー病に関する研究が十分に行われていない可能性が挙げられる。オーストラリア・シドニー大学のMichael Allwright氏らは、UK Biobankのデータセットを用いて、アルツハイマー病に関連する既知のリスク因子をランク付けし、新たな変数を模索するため本研究を実施した。その結果、アルツハイマー病の最も重大なリスク因子は、APOE4対立遺伝子の保有であることが再確認された。APOE4キャリアにおける新たなリスク因子として肝疾患が抽出された一方で、「不眠/不眠症」は、APOE4のステータスとは無関係にアルツハイマー病の予防効果が確認された。著者らは、肝疾患を含む併存疾患の将来的な治療により、アルツハイマー病のリスクが同時に低下する可能性があるとしている。Aging Brain誌2023年6月17日号の報告。

医療者のメンタルヘルス、1日20分の在宅運動で改善

 COVID-19のパンデミック中、医療従事者のメンタルヘルスは著しく低下したことが報告されている。医療従事者を対象に、アプリを使った在宅運動プログラムの介入を行い、メンタルヘルスが改善するかどうかを見た試験の結果が、JAMA Psychiatry誌オンライン版2023年8月9日号に掲載された。  ブリティッシュ・コロンビア大学(カナダ)のVincent Gosselin Boucher氏らの研究チームは2022年4月6日~7月4日に同エリアの医療機関において参加者を募集した。参加者は指定のアプリを使い、自重インターバルトレーニング、ヨガ、バー運動など、在宅で行う20分/日、週4回の運動を、12週間継続するように求められた。運動に対するアドヒアランスはアプリ利用時間から測定した。

ハイドロキシアパタイトの虫歯予防効果、フッ素に匹敵か

 虫歯予防に有効な成分としてはフッ素が有名だが、フッ素に対抗できそうな成分が他にもあるようだ。ポズナン医科大学(ポーランド)総合歯科学部長のElzbieta Paszynska氏らによる研究で、歯を構成する主要な成分であるハイドロキシアパタイト入りの歯磨き粉の虫歯予防効果は、1956年以来使用されているフッ素入りの歯磨き粉と同程度である可能性のあることが示された。この研究結果は、「Frontiers in Public Health」に7月18日発表された。  この研究には関与していない専門家で、米ノースウェル・ヘルスの歯科医であるLeonard Patella氏は、「これらのデータが正しければ、フッ素よりも安全性の高いハイドロキシアパタイトを優先的に選ぶ人が出てくるかもしれない」と話す。同氏によると、フッ素の過剰摂取には毒性があり、歯にダメージを与え、歯のフッ素症(斑状歯)と呼ばれる状態を引き起こすこともあるという。

水断食、減量効果はあるが…

 一定期間、水のみを摂取するダイエット法である水断食は、減量という点では効果的なようだ。しかし、水断食により減った体重をどの程度維持できるかは不明である上に、血圧低下やコレステロール値の改善といった代謝に関わる効果は水断食を終えるとともに消失する可能性が、新たな研究で示唆された。米イリノイ大学シカゴ校のKrista Varady氏らによるこの研究結果は、「Nutrition Reviews」に6月27日掲載された。  水断食は、通常は5〜20日間、時にはそれ以上の期間、水だけを摂取するダイエット法だが、専門家の監督下で、朝食に少量のジュース、昼食にごく少量のスープなど、1日に250kcalまで摂取する水断食も行われている。Varady氏らは今回、8件の研究を対象にしたナラティブレビューを実施し、水断食が、体重、血圧、血中の脂質値、血糖コントロールなどに与える影響についての評価を行った。

高齢コロナ感染者の退院後死亡率、インフルより高い/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院後に生存退院した米国の65歳以上の高齢者(メディケア受給者)88万3,394人を含む後ろ向きコホート研究で、インフルエンザで入院後に生存退院した高齢者と比較した結果、COVID-19で入院した高齢者の生存退院後の死亡リスクが高率であったことが、米国・ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのAndrew S. Oseran氏らにより明らかにされた。ただし、両者の差は退院後の早期においてみられるものであり、同死亡リスクはパンデミックの経過と共に漸減していたという。BMJ誌2023年8月9日号掲載の報告。

HIVはコンドーム無しのセックスでもうつりません―How low viral load is low enough for HIV zero transmission(解説:岡慎一氏)

HIVはセックスでうつるので、コンドームで予防しましょう。これは、わが国で40年間言われ続けている予防法である。「HIVが感染したのは、コンドームの使い方が悪かったからだ」と、使い方まで事細かに指導されてきた。しかし、感染は減らなかった。曝露前予防(PrEP)の有効性が確認されると、「PrEPでコンドームの使用が減るので、ほかの性感染症が増える」と、PrEPを批判する人まで出てくる始末である。コンドームを使うなとは言わないが、口からでもうつる梅毒はコンドームでは防げない。ほかの性感染症もしかり。この10年、HIV感染予防に有効なのは、コンドームではなく「治療でウイルス量を下げることだ」ということが、多くの臨床研究から明らかになってきた。

アミリンアナログとGLP-1受容体作動薬の配合剤は肥満を伴う2型糖尿病に有効である(解説:小川大輔氏)

肥満を伴う2型糖尿病の治療として、GLP-1受容体作動薬であるセマグルチドが有効であることは周知のとおりである。一方、新規のアミリンアナログであるcagrilintideは肥満症の治療薬として期待が高まっている。今回、BMI 27以上の2型糖尿病患者を対象に、週1回投与のセマグルチド2.4mgとcagrilintide 2.4mgの配合剤(CagriSema)の第II相臨床試験の結果がLancet誌に発表された。アミリンは高血糖時にインスリンと共に膵β細胞から分泌されるホルモンであり、視床下部の食欲中枢に作用して胃の内容物排出速度を低下させ、満腹感を促進する。アミリンアナログであるpramlintideは1型および2型糖尿病の治療薬として2005年にFDAによって承認された。しかし作用時間が短く、1日2~3回注射しなければいけないため実際にはほとんど使用されていない。その後、長時間作用型のアミリンアナログであるcagrilintideが開発され、GLP-1受容体作動薬と共に肥満症の治療薬として期待されている。