腎臓内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:23

difelikefalin、透析患者のかゆみとQOLを改善/NEJM

 中等度~重度のかゆみを呈する透析患者において、κオピオイド選択的受容体作動薬difelikefalin投与を受けた患者は、プラセボ投与を受けた患者と比べて、12週後のかゆみの強度は有意に軽減し、かゆみに関連したQOLは有意に改善したことが示された。米国・Donald and Barbara Zucker School of Medicine at Hofstra/NorthwellのSteven Fishbane氏らによる、第III相の多施設共同プラセボ対照無作為化二重盲検試験「KALM-1」試験の結果で、NEJM誌オンライン版2019年11月8日号で発表された。

世界の末期腎不全医療の現状が明らかに/BMJ

 低所得国も含めた世界の末期腎不全(ESKD)医療の現状には大きなばらつきがあることが、カナダ・アルバータ大学のAminu K. Bello氏らによる国際断面調査の結果、明らかにされた。ESKD有病率は800倍以上の差がみられ、腎代替療法(透析、移植)に公的資金が投じられている国は64%、透析が利用可能な国は100%であったが腹膜透析は76%であり、保存療法が利用可能な国は81%であることなどが示された(割合はそれぞれ各データが入手できた国を分母としたもの)。過去10年間で、腎疾患の世界的な疫学や経済的側面について大きく理解が進んでいる。とくに低・中所得国の急性腎障害(AKI)、慢性腎臓病(CKD)およびESKDの負荷に関するデータがより多く入手できるようになっているが、それらの疾患が人々の健康に大きな影響を及ぼすにもかかわらず、AKI、CKDは概して、国際・地域あるいは各国の慢性疾患コントロール戦略には含まれていないという。BMJ誌2019年10月31日号掲載の報告。

HIF-PH阻害薬vadadustatの腎性貧血に対する国内第III相試験結果/米国腎臓学会

 今年ノーベル生理学・医学賞を受賞した「低酸素応答の仕組みの解明」の研究を基に、各社で低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬の開発が進められている。その1つであるvadadustat(MT-6548)は、田辺三菱製薬がアケビア社から導入した1日1回経口投与のHIF-PH阻害薬で、今年7月に腎性貧血を適応症として厚生労働省に承認申請している。今月、ワシントンで開催された米国腎臓学会腎臓週間(11月5~10日)で、本剤の保存期および血液透析期の腎性貧血患者に対する国内第III相臨床試験の結果が発表された。

低LDLや低収縮期血圧と関連するgenetic variantsは生涯にわたる冠動脈疾患の低リスクと関連(解説:石川讓治氏)-1133

高LDL血症および高血圧は冠動脈疾患の確立された危険因子である。本研究では、英国のバイオバンクに登録された43万8,952人の対象者のデータを用いて、低LDLコレステロール血症と関連するgenetic variantsが多い対象者と低収縮期血圧と関連するgenetic variantsが多い対象者を評価し、これらのgenetic variantsが、独立して、相加的に冠動脈疾患発症リスク低値と関連していたことを報告していた。これらのgenetic variantsの数が増えるにつれて連続的に冠動脈疾患発症リスクは低くなっていた。同様の関連は虚血性脳梗塞においても認められていた。

アルドステロン拮抗薬の死角を制する!(解説:石上友章氏)-1130

腎ネフロンは、高度に分化した組織であり、ヒトの水・電解質の恒常性の維持に重要な働きをしている。ナトリウムの出納についての恒常性の維持機構が発達しており、尿細管の各セグメントごとに、特徴的なナトリウムトランスポーターが発現している。ナトリウムイオンは、原尿中にろ過されたのち、各セグメントのナトリウムトランスポーターにより再吸収される。NHE1(Sodiumu-Hydrogen-Exchanger)は、近位尿細管のapical membrane(頂端側)に発現し、Naイオンと、Hイオンの交換に関与している。ヘンレのループ(loop of Henle)には、NKCC:Na+-Cl--K+共輸送体が発現しており、ループ利尿薬であるフロセミドが特異的な阻害薬である。遠位尿細管の近位部(proximal DCT)には、サイアザイド感受性NCCT:Na+-Cl-共輸送体が、そして遠位部では、上皮性ナトリウムチャネル(ENaC)が、ナトリウムイオンの再吸収を行っている。

国内初の白内障3焦点眼内レンズ、生活の質向上に寄与

 日本アルコン株式会社(以下、日本アルコン)は10月25日、国内初承認の白内障治療向け老視矯正3焦点眼内レンズPanOptix®を発売。これは既存の多焦点眼内レンズ(2焦点)の見え方に中間距離での見やすさを加えたレンズで、“若い頃のような自然な見え方を追求したい”患者に対し、新たな選択肢となるよう開発された。  この発売に先駆け、日本アルコンは2019年10月17日にプレスセミナーを開催。ビッセン 宮島 弘子氏(東京歯科大学水道橋病院眼科 教授)が「最新白内障治療と適切な眼内レンズ選択のためのポイント」について解説した。

sacubitril-バルサルタンでも崩せなかったHFpEFの堅い牙城(解説:絹川弘一郎氏)-1126

sacubitril-バルサルタンのHFpEFに対する大規模臨床試験PARAGON-HFがESC2019のlate breakingで発表されると聞いて、5月のESC HFのミーティングで米国の友人と食事していた時、結果の予想をした記憶がある。私はESCで出てくるんだから有意だったんじゃないの、と言い、別の人はHFpEFには非心臓死が多いからmortalityの差は出ないよね、と言ったりしたものであった。相変わらず私の予想は外れ、ただ外れ方としてp=0.059という悩ましいprimary endpointの差であった。7つイベントが入れ替わったら有意だったそうである。ただ、入れ替わりってどういうこと?とも言え、読み方としてはやはりこれだけ大規模にやって有意でないものは有意でないとしか言えない。

腎機能低下糖尿病患者にメトホルミンは使用可能か/JAMA

 腎機能が低下した2型糖尿病患者の薬物療法では、メトホルミンはSU薬に比べ、主要有害心血管イベント(MACE)のリスクが低いことが、米国・ヴァンダービルト大学医療センターのChristianne L. Roumie氏らの検討で示された。研究の詳細は、JAMA誌2019年9月24日号に掲載された。従来、安全性に関する懸念から、腎臓病を有する糖尿病患者ではメトホルミンの使用が制限されていたが、2016年4月、米国食品医薬品局(FDA)は軽症~中等症の腎臓病患者におけるメトホルミンの安全性のエビデンスに基づいてガイダンスを変更し、軽度腎機能障害(eGFR:45~60mL/分/1.73m2)および中等度腎機能障害の一部(30~45mL/分/1.73m2)では安全に使用可能としている。一方、腎機能が低下した糖尿病患者の臨床転帰に及ぼすメトホルミンの効果は明らかにされていないという。

新・夜間頻尿診療ガイドラインで何が変わるか/日本排尿機能学会

 新薬の登場やエビデンスの蓄積を受けて、約10年ぶりに「夜間頻尿診療ガイドライン」が改訂される。40代で約4割、80歳以上では9割以上でみられる夜間頻尿について、専門医だけでなく一般医に対する診療アルゴリズムを新たに作成し、クリニカルクエスチョン(CQ)を充実させる見通し。第26回日本排尿機能学会(9月12~14日、東京)で、「新・夜間頻尿診療ガイドライン:改定に向けての注目点」と題したセミナーが開催され、作成委員長を務める国立長寿医療研究センター泌尿器科の吉田 正貴氏らが解説した。

CKD治療抵抗性高血圧症、patiromer併用でスピロノラクトン服薬率上昇/Lancet

 治療抵抗性高血圧症の慢性腎臓病(CKD)患者に対し、カリウム吸着薬patiromerを用いることで、より多くの患者が高カリウム血症を呈することなくスピロノラクトンによる治療が継続可能なことが示された。米国・インディアナ大学のRajiv Agarwal氏らが、10ヵ国62外来医療センターを通じて行った第II相の国際多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果を報告した。スピロノラクトンは、治療抵抗性高血圧症で血圧コントロール不良の患者において、降圧効果があることが示されている。しかし、CKDが併存する患者では高カリウム血症を呈することからスピロノラクトンの使用は制限される場合があることが課題となっていた。Lancet誌オンライン版2019年9月15日号掲載の報告。