腎臓内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:26

現実と乖離する「ナトリウム・カリウム摂取量」と、健康長寿(解説:石上友章氏)-1047

健康日本21の第2次の栄養目標では、平成34年度の食塩摂取量を8g(平成22年 10.6g)に定めている。カリウムについては個別の目標は採用せず、野菜・果物摂取量が設定されている。世界保健機関(WHO)のガイドラインでは、1日の栄養摂取量として、ナトリウムは2.0g未満に制限を、カリウムは3.5g以上摂取を推奨している。いずれの目標も、ナトリウム過剰摂取やカリウム摂取不足が、健康・長寿にマイナス要因に働くという認識については一致している。カナダ・マックマスター大学のMartin O'Donnell氏らが行った調査(PURE研究)の結果は、現実が必ずしも理想どおりではないことを示している。

SGLT2阻害薬カナグリフロジンの腎保護作用がRAS抑制薬以来初めて示される:実臨床にどう生かす?(解説:栗山哲氏)-1039

SGLT2阻害薬の腎保護作用を明らかにしたCREDENCE研究結果がNEJM誌に掲載された。この内容は、本年4月15日(メルボルン時間)にオーストラリアでの国際腎臓学会(ISN-WCN 2019)において発表された。これまでにSGLT2阻害薬の心血管イベントに対する有効性や副次的解析による腎保護作用は、EMPA-REG OUTCOME、CANVAS Program、DECLARE-TIMI 58の3つの大規模研究で示されてきた。本試験は、顕性腎症を有する糖尿病性腎臓病(DKD)の症例に対して腎アウトカムを主要評価項目とし、その有効性を明らかにした大規模研究である。

高血圧治療ガイドライン2019で降圧目標の変更は?

 本邦における高血圧有病者は約4,300万人と推計される。このうち、治療によって良好なコントロールが得られているのは30%以下。残りの70%は治療中・未治療含め血圧140/90mmg以上のコントロール不良の状態となっている。2014年以来5年ぶりの改訂となる「高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019)」では、一般成人の降圧目標値が引き下げられ、より早期からの非薬物治療を主体とした介入を推奨する内容となっている。

糖尿病性腎臓病におけるエンパグリフロジンの複合腎・心血管アウトカム/国際腎臓学会

 SGLT2阻害薬エンパグリフロジン(商品名:ジャディアンス)によるEMPA-REG OUTCOME試験における、ベースライン時の顕性アルブミン尿を伴う糖尿病性腎臓病(DKD)患者での複合腎・心血管アウトカムの結果が、4月12~15日にオーストラリアで開催された国際腎臓学会(ISN)-World Congress of Nephrology(WCN)2019にて公表された。日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社と日本イーライリリー株式会社が発表した。  EMPA-REG OUTCOME試験では、心血管イベントの発症リスクが高い2型糖尿病患者において、標準治療にエンパグリフロジンを上乗せ投与した結果、プラセボ群と比較して、主要評価項目である複合心血管イベント(心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)のリスクが14%減少し、心血管死リスクが38%減少したことが報告されている。

高血圧への腎交感神経アブレーション vs.シャム対照群のメタ解析【Dr.河田pick up】

 コントロール不良な高血圧に対する新しい治療法として、カテーテルによる腎動脈交感神経アブレーションの研究が行われている。しかしながら、腎動脈交感神経切除の高血圧に対する無作為化試験の結果は肯定的なものと否定的なものがあり、一定していない。この研究の目的はシャム対照群を用いた研究における、腎動脈交感神経アブレーション後の血圧の評価である。Brown大学のPartha Sardar氏ら米国の複数のグループにより、Journal of American College of Cardiology誌2019年4月号に報告された。

国際腎臓学会で患者中心の透析医療を目指した「SONGイニシアチブ」

 4月12~15日にオーストラリアで開催された国際腎臓学会(ISN)-World Congress of Nephrology(WCN)2019で、4日間にわたり取り上げられた話題は多岐にわたるが、ここでは「患者を中心とした腎臓病治療」について紹介したい。  まず国際腎臓学会12日のセッション、「患者中心の慢性腎臓病(CKD)管理」では、患者の立場から、現在の臨床試験における評価項目の妥当性を問う、“SONGイニシアチブ”という取り組みが報告された。患者目線で見た場合、CKD治療で最重要視されるのは必ずしも生命予後や心血管疾患ではないようだ。CKD患者の「人生」を良くするために、医療従事者は何を指標にすればよいのか―。Allison Tong氏(オーストラリア・シドニー大学)の報告を紹介する。

長時間透析の有用性は確認できず:ACTIVE Dialysis延長観察/国際腎臓学会

血液透析例の予後改善の方策として、透析時間延長の有用性が唱えられている。しかし近年報告されたランダム化試験では、延長による生命予後改善の報告がある一方1)、増悪の報告もある2)。  前者は施設での短時間透析の回数を増やす有用性を検討しており、後者は自宅での夜間透析の回数を増やしていた。いずれも回数増加を介した透析時間の延長を試みていた。では透析を回数ではなく、時間そのものを目安に延長した場合、血液透析例の予後はどうなるだろうか―。この問いに答えるべく、Brendan Smyth氏(オーストラリア・シドニー大学)は、ACTIVE Dialysis試験の延長観察データを解析した。しかし観察研究という限界もあり、長時間透析の有用性は確認できなかった。4月12~15日にオーストラリアで開催された国際腎臓学会(ISN)-World Congress of Nephrology(WCN)2019のLate Breaking Sessionにて報告された。

エンドセリン受容体拮抗薬の糖尿病性腎症への効果は?:SONAR試験/国際腎臓学会

 2010年に報告されたASCEND試験1)において、糖尿病性腎症に対する腎保護作用を示しながら、心不全増加のため有用性を証明できなかったエンドセリン受容体拮抗薬だが、対象例を適切に絞り込めば有用であることが、ランダム化二重盲検試験“SONAR”の結果から明らかになった。本試験は、4月12~15日にオーストラリアで開催された国際腎臓学会(ISN)-World Congress of Nephrology(WCN)2019のBreaking Clinical Trialsセッションにおいて、Dick de Zeeuw氏(オランダ・グローニンゲン大学)らが報告した。

SGLT2阻害薬カナグリフロジンの腎保護作用が示される:CREDENCE試験/国際腎臓学会

 2型糖尿病患者に対する心血管系(CV)イベントリスクの低下を検討したランダム化試験から、SGLT2阻害薬による腎保護作用が示唆された。しかし、あくまで副次的解析であり、対象は腎機能が比較的保たれた例に限られていた。4月12~15日にオーストラリアで開催された国際腎臓学会(ISN)-World Congress of Nephrology(WCN)2019で報告されたCREDENCE試験では、SGLT2阻害薬カナグリフロジンが、慢性腎臓病(CKD)を合併した2型糖尿病患者の腎・心イベントを抑制することが明らかになった。Vlado Perkovic氏(オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学)が報告した。

低リスク大動脈弁狭窄症に自己拡張型弁のTAVRは有効か/NEJM

 手術リスクが低い重症大動脈弁狭窄症患者に対して、自己拡張型supraannularバイオ人工弁による経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)の施行は通常手術施行に対して、24ヵ月時点の死亡または後遺障害を伴う脳卒中発生の複合エンドポイントについて非劣性であることが示された。米国・ベスイスラエル・ディーコネス医療センターのJeffrey J. Popma氏らによる無作為化試験の結果で、NEJM誌オンライン版2019年3月16日号で発表された。TAVRは、手術を受けた場合の死亡リスクが高い重症大動脈弁狭窄症患者の、手術に変わる治療法とされている。これまで、手術リスクの低い患者のTAVR施行については明らかにされていなかった。