腎臓内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:25

膜性腎症、リツキシマブvs.シクロスポリン/NEJM

 膜性腎症へのリツキシマブ静脈内投与は、シクロスポリン経口投与に対して、12ヵ月(1年)時点の蛋白尿の完全寛解または部分寛解の導入について非劣性であることが示された。また、24ヵ月(2年)時点までの蛋白尿寛解の維持について優越性が示された。米国・メイヨークリニックのFernando C.Fervenza氏らが、130例を対象に行った無作為化比較試験の結果で、NEJM誌2019年7月4日号で発表した。膜性腎症にはB細胞異常が関与しており、リツキシマブによるB細胞除去は、同患者の蛋白尿の完全寛解・部分寛解の導入・維持について、シクロスポリン治療に対して非劣性となる可能性が示されていた。

ダパグリフロジン、糖尿病患者の腎保護示す-DECLARE‐TIMI 58サブ解析

 近年、SGLT2阻害剤はアテローム性動脈硬化症患者の腎アウトカムに対し、有益な効果を示すことが明らかになりつつある。今回、イスラエル・Hadassah Hebrew University Hospital のOfri Mosenzon氏らがDECLARE-TIMI 58のサブ解析を実施。ダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)が、腎機能を保持している2型糖尿病患者において、アテローム性動脈硬化症の有無にかかわらず、プラセボと比較して腎疾患の予防および進展抑制を示す結果が得られた。Lancet Diabetes & Endocrinology誌オンライン版2019年6月10日号に掲載された。

GLP-1受容体作動薬、デュラグルチドは2型糖尿病患者の腎イベントを抑制するか?:REWIND試験の腎に関する予備解析結果(解説:栗山哲氏)-1069

2型糖尿病においてGLP-1受容体作動薬、デュラグルチドのadd-on療法は、新規アルブミン尿発症を抑制する。インクレチン薬であるGLP-1受容体作動薬の腎作用が解明されつつある。現在までにGLP-1受容体作動薬に関する大規模研究は、セマグルチドのSUSTAIN-6研究、リラグルチドのLEADER研究、リキシセナチドのELIXA研究の3つ報告がある。この中で、前二者において腎複合イベントに改善作用が示唆された(ELIXA研究では腎イベントは事前設定されていない)。

デュラグルチドが2型DMの腎アウトカム改善/Lancet

 デュラグルチド(商品名:トルリシティ)は、Stage3/4の慢性腎臓病患者において、1年後の推算糸球体濾過量(eGFR)の低下を軽減することが報告されている。カナダ・マックマスター大学のHertzel C. Gerstein氏らREWIND試験の研究グループは、今回、同試験の探索的解析として、デュラグルチドの長期使用による2型糖尿病患者の腎アウトカムへの影響を検討し、プラセボと比較して有意な改善効果が得られることを示した。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2019年6月10日号に掲載された。本試験では、既存の血糖降下レジメンへのデュラグルチドの追加により、2型糖尿病患者の心血管イベントのリスクが低減することが確認されている。

メトホルミン、軽度~中等度腎機能障害にも処方可-使用上の注意改訂

 2型糖尿病治療薬のメトホルミン含有製剤の添付文書について、2019年6月18日、厚生労働省より使用上の注意改訂指示が発出された。  これまで、メトホルミン含有製剤は軽度~中等度腎機能障害の患者も禁忌とされてきたが、今回の改訂でeGFR(推算糸球体濾過量)30未満の重度の腎機能障害患者のみを禁忌とすることになった。これに伴い、腎機能障害患者に対する1日最高用量については、eGFRに基づいた目安が記載される。

PPI服用、心血管疾患・CKD・上部消化管がんの過剰死亡と関連か/BMJ

 プロトンポンプ阻害薬(PPI)の服用は、心血管疾患・CKD・上部消化管がんに起因する過剰死亡と少なからず関連することが明らかにされた。米国・セントルイス退役軍人ヘルスケアシステムのYan Xie氏らによる長期観察コホート研究の結果で、BMJ誌2019年5月29日号で発表した。著者は「結果はPPI服用への警戒感を高めることを支持するものだった」とまとめている。これまでに、PPI服用は重篤な有害事象と関連しており、全死因死亡リスクを増大することが報告されていた。

TIMI Studyから学ぶ臨床研究

 NPO法人 臨床研究適正評価教育機構(J-CLEAR/理事長 桑島 巖氏)は2019年4月20日、都内においてJ-CLEAR講演会を開催。6名の講演者が特定臨床研究の現状や糖尿病領域の臨床試験の変遷などについて発表した。  本稿では、第1部「特定臨床研究法施行のあとさき」に続き、第2部、第3部の話題をお届けする。  第2部では、「相次ぐ糖尿病新規治療薬:助っ人、それとも敵?」をテーマに2題の講演が行われた。  はじめに「SGLT2阻害薬の腎機能保護作用に関する最近の知見」をテーマに栗山 哲氏(東京慈恵会医科大学 客員教授)が講演を行った。患者数が1,330万人と推定される慢性腎臓病(CKD)をコモンディジーズと位置付けた上で、CKDによる心血管イベント発生のリスクと関連性を概括し、腎臓を守ることは生命予後の改善になると述べた。そして、心・腎保護作用としてSGLT2阻害薬によるEMPA-REG、CANVAS、DECLARE TIMI 58、CREDENCEの各試験結果を示し、試験内容を説明した。

脳心血管病予防策は40歳からと心得るべき/脳心血管病協議会

 日本動脈硬化学会を含む16学会で作成した『脳心血管病予防に関する包括的リスク管理チャート2019』が日本内科学会雑誌第108巻第5号において発表された。2015年に初版が発行されてから4年ぶりの改訂となる今回のリスク管理チャートには、日本動脈硬化学会を含む14学会における最新版のガイドラインが反映されている。この改訂にあたり、2019年5月26日、寺本 民生氏(帝京大学理事・臨床研究センター長)と神﨑 恒一氏(杏林大学医学部高齢医学 教授)が主な改訂ポイントを講演した(脳心血管病協議会主催)。

大動脈弁狭窄症に対する治療の第1選択はTAVIの時代に(解説:上妻謙氏)-1058

超高齢時代を迎え冠動脈疾患、弁膜症、末梢動脈疾患、脳血管疾患などによる心血管イベントは、悪性腫瘍と並んで非常に多い死亡原因となっている。またそれらの疾患の終末像である心不全は、パンデミックといわれるほどの国民病となっており、冬期は救急医療機関が満床となる原因となっている。経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)は高齢者心不全の原因の1つとなっている大動脈弁狭窄症(AS)に対する根本的介入を行うもので、手術ハイリスク、超高齢者に対する治療としては第1選択となった。海外ではPARTNER 2試験など中等度リスク患者に対するTAVIは死亡、後遺症の残る脳卒中などの重大なイベントにおいて外科手術に対し優れることが示され、ガイドライン上でも中等度リスクまで適応が拡大されていた。

エンドセリン受容体拮抗薬は糖尿病腎症の新しい治療アプローチとなるか?(解説:小川大輔氏)-1049

糖尿病腎症の治療において血糖のコントロールは基本であるが、同時に血圧や脂質、体重などを適切に管理することも重要である。そして早期の糖尿病腎症であれば多面的かつ厳格な管理により腎症の進展を抑制することが示されている。ただひとたび腎障害が進行すると、集約的な治療を行っても腎不全への進展を阻止することが難しい。今年4月に開催された国際腎臓学会(ISN-WCN 2019)において、SGLT2阻害薬カナグリフロジンが顕性アルブミン尿を呈する糖尿病腎症患者の腎アウトカムを有意に改善するという結果(CREDENCE試験)が報告され注目を集めている。実はこの学会でもう1つ、糖尿病腎症に対する薬物療法の試験結果(SONAR試験)が発表された。この試験も顕性腎症患者を対象としており、エンドセリン受容体拮抗薬atrasentanの有効性と安全性が検討された。