腎臓内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:24

新・夜間頻尿診療ガイドラインで何が変わるか/日本排尿機能学会

 新薬の登場やエビデンスの蓄積を受けて、約10年ぶりに「夜間頻尿診療ガイドライン」が改訂される。40代で約4割、80歳以上では9割以上でみられる夜間頻尿について、専門医だけでなく一般医に対する診療アルゴリズムを新たに作成し、クリニカルクエスチョン(CQ)を充実させる見通し。第26回日本排尿機能学会(9月12~14日、東京)で、「新・夜間頻尿診療ガイドライン:改定に向けての注目点」と題したセミナーが開催され、作成委員長を務める国立長寿医療研究センター泌尿器科の吉田 正貴氏らが解説した。

CKD治療抵抗性高血圧症、patiromer併用でスピロノラクトン服薬率上昇/Lancet

 治療抵抗性高血圧症の慢性腎臓病(CKD)患者に対し、カリウム吸着薬patiromerを用いることで、より多くの患者が高カリウム血症を呈することなくスピロノラクトンによる治療が継続可能なことが示された。米国・インディアナ大学のRajiv Agarwal氏らが、10ヵ国62外来医療センターを通じて行った第II相の国際多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果を報告した。スピロノラクトンは、治療抵抗性高血圧症で血圧コントロール不良の患者において、降圧効果があることが示されている。しかし、CKDが併存する患者では高カリウム血症を呈することからスピロノラクトンの使用は制限される場合があることが課題となっていた。Lancet誌オンライン版2019年9月15日号掲載の報告。

低LDL-C・SBP値に関連の遺伝子変異体、CVリスクを減少/JAMA

 低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)値・収縮期血圧(SBP)値の低下に関連する遺伝子変異体を有する人は、心血管リスクが有意に低いことを、英国・ケンブリッジ大学のBrian A. Ference氏らが、約44万人のバイオバンク登録者を追跡し明らかにした。これまで、LDL-C値とSBP値がより低いことと心血管疾患リスクとの関連は完全には定量化されていなかった。JAMA誌オンライン版2019年9月2日号掲載の報告。  研究グループは、2006~10年に英国バイオバンクに登録した43万8,952例について、2018年まで追跡調査を行った。被験者を、遺伝的LDL-Cスコアと遺伝的SBPスコアにより、それぞれの中央値以下・超で4群に分け、両スコアともに中央値以下の群を基準群とした。

sacubitril -バルサルタンのHFpEFへの有効性/NEJM

 左室駆出率(LVEF)の保たれた心不全(HFpEF)患者において、ネプリライシン阻害薬sacubitrilとARBバルサルタンの合剤(sacubitril/バルサルタン)は、心血管死およびすべての心不全入院の複合エンドポイントを有意に低下させるという結果には至らなかった。米国・ハーバード・メディカル・スクールのScott D. Solomon氏らが、HFpEF患者を対象にsacubitril/バルサルタンとバルサルタンを比較する無作為化二重盲検試験「PARAGON-HF試験」の結果を報告した。LVEFが低下した心不全患者においては、sacubitril/バルサルタンにより心血管死および心不全による全入院のリスクが低下することが示されていたが、HFpEFに対する有効性はこれまで不明であった。NEJM誌オンライン版2019年9月1日号掲載の報告。

後期早産・妊娠高血圧腎症妊婦、計画出産は有益か/Lancet

 後期早産・妊娠高血圧腎症の女性における計画出産は、待機的管理と比較して、母体の障害発生や重症高血圧の頻度は低い一方で、新生児治療室への入室が多いことが、英国・キングス・カレッジ・ロンドンのLucy C. Chappell氏らが行ったPHOENIX試験で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2019年8月28日号に掲載された。後期早産・妊娠高血圧腎症の女性では、母体の疾患進行に関連する制約と、新生児の合併症とのバランスをとる必要があり、至適な分娩開始時期は不明だという。

ダパグリフロジン、HFrEF患者でCV死・心不全悪化リスク26%低下(DAPA-HF)/ESC2019

 2型糖尿病合併の有無を問わず、SGLT2阻害薬ダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)が、左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)患者における心血管死と心不全悪化の発現率を有意に低下させた。フランス・パリで開催された欧州心臓病学会(ESC2019)で、グラスゴー大学循環器リサーチセンターのJohn McMurray氏が、第III相DAPA-HF試験の結果を発表した。  DAPA-HF試験は、2型糖尿病合併および非合併の成人HFrEF患者を対象に、心不全の標準治療(アンジオテンシン変換酵素[ACE]阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬[ARB]、β遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬[MRA]およびネプライシン阻害薬を含む薬剤)への追加療法としてのダパグリフロジンの有効性を検討した、国際多施設共同無作為化二重盲検並行群間比較試験。

ダパグリフロジンがHFrEF患者で主要評価項目達成、同クラスで初/AstraZeneca

 AstraZeneca(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者:パスカル・ソリオ)は2019年8月26日までに、ダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)の心不全に対する有効性を検討した第III相DAPA-HF試験において、主要評価項目を達成したことを発表した。2型糖尿病合併の有無を問わず、心不全患者の標準治療への追加治療として、SGLT2阻害薬の有効性および安全性が実証されたのは初となる。  第III相DAPA-HF試験は、2型糖尿病合併および非合併の成人HFrEF(左室駆出率が低下した心不全)患者を対象に、心不全の標準治療(アンジオテンシン変換酵素[ACE]阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬[ARB]、β遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬[MRA]およびネプライシン阻害薬を含む薬剤)への追加療法としてのダパグリフロジンの有効性を検討した、国際多施設共同無作為化二重盲検並行群間比較試験。

透析患者のEPO抵抗性貧血の解決になるか(解説:浦信行氏)-1102

同時報告の保存期CKDでも述べたように、roxadustatは経口投与の低酸素誘導因子(HIF)の分解酵素阻害薬であり、結果的にHIFを安定化させて内因性エリスロポエチンの転写を促進して腎性貧血の改善を促す。併せて、ヘプシジンの産生を抑制して、鉄利用を高める作用も持つ。今回の透析例における第III相の結果は、EPO製剤投与群と比較して貧血改善効果は同等であった。従来のEPO製剤は、高用量を要するEPO抵抗性の症例が存在する。今回の検討ではCRPの値で2群に分けて検討しており、CRP高値群では反応性の低下からEPOの用量を多く必要としたが、roxadustat群ではCRPの高低にかかわらず良好な反応を示し、炎症に左右されない効果を発揮することが明らかとなった。

保存期CKD患者の貧血治療が経口薬で(解説:浦信行氏)-1101

従来、CKDに合併する腎性貧血は透析例も含めて赤血球造血刺激因子製剤(ESA)が治療の主体であった。roxadustatは経口投与の低酸素誘導因子(HIF)の分解酵素阻害薬であり、結果的にHIFを安定化させて内因性エリスロポエチン(EPO)の転写を促進して腎性貧血の改善を促す。現在、roxadustatを含めて5製剤が開発中である。同時に鉄吸収や肝臓からの鉄の放出を抑えるヘプシジンの産生を抑制して、鉄利用を高める作用も併せ持つ。今回の第III相の結果は貧血改善に著効を呈し、しかも反応も2~3週間後の早期から期待できるようだ。これにはEPO産生の増加だけでなく、EPOの受容体も活性化し、加えて鉄供給・利用も連動することによると考えられる。

糖尿病外来患者の検査、施設でばらつき

 「全国のレセプトデータを調査し、糖尿病診療の質指標を測定した研究」について、国立国際医療研究センターと東京大学大学院医学系研究科などで構成される研究グループが、7月30日に研究結果を発表し、“Diabetes Research and Clinical Practice”1)にも掲載された(発表者:杉山 雄大氏[国立国際医療研究センター 研究所 糖尿病情報センター 医療政策研究室長])。  本研究の目的は、糖尿病診療では、血糖・血圧などのコントロールの他に、合併症を早期診断するために合併症検査を定期的に行うことが重要だとされている、しかし、これまで一部の保険者や施設の実施割合の報告はあったものの、全国における状況を調べた研究はなかったことから今回行われたものある。