中等度~重度のかゆみを呈する透析患者において、κオピオイド選択的受容体作動薬difelikefalin投与を受けた患者は、プラセボ投与を受けた患者と比べて、12週後のかゆみの強度は有意に軽減し、かゆみに関連したQOLは有意に改善したことが示された。米国・Donald and Barbara Zucker School of Medicine at Hofstra/NorthwellのSteven Fishbane氏らによる、第III相の多施設共同プラセボ対照無作為化二重盲検試験「KALM-1」試験の結果で、NEJM誌オンライン版2019年11月8日号で発表された。
difelikefalinまたはプラセボを週3回12週間静脈投与
試験は米国内56ヵ所で行われ、2018年2月~12月に登録された中等度~重度のかゆみを呈する透析患者378例を無作為に2群に分け、一方にはdifelikefalin(0.5μg/kg体重)を、もう一方にはプラセボを、それぞれ週3回12週間静脈投与した。
主要アウトカムは、かゆみのない状態を0、想像しうる最悪のかゆみを10とした24時間自己評価「WI-NRS」スコアで、ベースラインから12週後までに、週の平均値が3ポイント以上改善(低下)した患者の割合とした。
副次アウトカムは、かゆみに関連したQOLスコアのベースラインからの変化や、WI-NRSスコアが4ポイント以上改善した患者の割合、および安全性などだった。
difelikefalin群の51.9%でWI-NRSスコア3ポイント以上改善
12週後の週平均WI-NRSスコアが3ポイント以上改善した患者の割合は、プラセボ群30.9%(165例中51例)に対し、difelikefalin群は51.9%(158例中82例)だった。WI-NRSスコアが3ポイント以上改善した患者の帰属割合予測値は、それぞれ27.9%、49.1%でdifelikefalin群が有意に高率だった(p<0.001)。
difelikefalin群は、5-DかゆみスケールおよびSkindex-10スケールで測定したかゆみに関連したQOLスコアについても、有意な改善が認められた。
WI-NRSスコアが4ポイント以上改善した患者の帰属割合予測値も、プラセボ群17.9%に対し、difelikefalin群は37.1%と有意に高率だった(p<0.001)。
一方で、下痢やめまい、嘔吐の発現頻度が、プラセボ群よりもdifelikefalin群で高かった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)