神経内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:8

水分摂取を増やすと肥満や腎結石以外にも有効な可能性

 1日の水分摂取量に関しては、公的な推奨がいくつかされているもののそれを裏付けるエビデンスは明確ではなく、水分摂取量を変更することによる利点は十分に確立されていない。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のNizar Hakam氏らが実施したシステマティックレビューの結果、エビデンスの質と量は限定的であるものの、少数の研究で1日の水分摂取量の増加が体重減少や腎結石予防に有益であることが示され、また、単一の研究では片頭痛予防、尿路感染症、糖尿病管理、低血圧に対する有益性が示唆された。JAMA Network Open誌2024年11月25日号掲載の報告。

便失禁を起こしやすい患者とは?便失禁診療ガイドライン改訂

 日本大腸肛門病学会が編集を手掛けた『便失禁診療ガイドライン2024年版改訂第2版』が2024年10月31日に発刊された。2017年に発刊された初版から7年ぶりの改訂となる。今回、便失禁の定義や病態、診断・評価法、初期治療から専門的治療に至るまでの基本的知識がアップデートされ、新たに失禁関連皮膚炎や出産後患者に関する記載が拡充された。また、治療法選択や専門施設との連携のタイミングなど、判断に迷うテーマについてはClinical Question(CQ)で推奨を示し、すべての医療職にとっての指針となるように作成されている。

飽和脂肪酸摂取量がアルツハイマー病リスクと関連

 食事中の脂肪摂取とアルツハイマー病との関連は、観察研究において議論の余地のある関係が示されており、その因果関係も不明である。中国・北京大学のYunqing Zhu氏らは、総脂肪、飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸の摂取がアルツハイマー病リスクに及ぼす影響を評価し、その因果関係を調査した。The British Journal of Psychiatry誌オンライン版2024年10月11日号の報告。  UKバイオバンクとFinnGenコンソーシアムから得られたゲノムワイド関連研究(GWAS)の要約統計を用いて、2サンプルメンデルランダム化分析を実施した。UKバイオバンクの各種脂肪摂取の研究には、5万1,413例が含まれた。FinnGenコンソーシアムの遅発性アルツハイマー病(4,282例、対照群:30万7,112例)、すべてのアルツハイマー病(6,281例、対照群:30万9,154例)のデータを分析に含めた。さらに、炭水化物とタンパク質の摂取量とは無関係の影響を推定するため、多変量メンデルランダム化(MVMR)分析を行った。

日中の眠気と熱意の低下は認知症の前段階と関連

 日中に眠気があり、活動への熱意を奮い起こすことが困難な高齢者は、そうした症状のない高齢者に比べて、認知症の前段階の一形態である運動認知リスク症候群(motoric cognitive risk syndrome;MCR)になるリスクが3倍以上高いことが、新たな研究で明らかになった。MCRは主観的認知機能の低下と歩行速度の低下が併存した状態を指す。米アルバート・アインシュタイン医科大学のVictoire Leroy氏らによるこの研究の詳細は、「Neurology」に11月6日掲載された。

加齢性難聴予防に「聴こえ8030運動」を推進/耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

 加齢性難聴は、日常のQOLを低下させるだけでなく、近年の研究から認知症のリスクとなることも知られている。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は、都内で日本医学会連合TEAM事業の一環として「多領域の専門家が挑む加齢性難聴とその社会的課題」をテーマに、セミナーを開催した。本事業では「加齢性難聴の啓発に基づく健康寿命延伸事業」に取り組んでおり、主催した日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会では「聴こえ8030運動」を推進している。当日は、加齢性難聴対策の概要や認知症との関係、学会の取り組みなどが講演された。

世界初の軟骨伝導集音器、補聴器との違いや利便性とは

 世界初の軟骨伝導集音器に関する特許を有し、販売を行っているCCHサウンド(以下、CCH)が第6回ヘルスケアベンチャー大賞に輝いた―。CCHは細井 裕司氏(奈良県立医科大学 学長)が発見した“軟骨伝導”という聴覚技術を応用し、役所や金融機関での円滑なコミュニケーションを支援する『窓口用軟骨伝導イヤホン』や日常生活で会話を促進し認知症予防に役立つ『軟骨伝導集音器』を発売しているベンチャー企業である。本稿では、10月25日に開催されたヘルスケアベンチャー大賞の最終審査会におけるCCH代表取締役社長の中川 雅永氏によるプレゼンテーション内容を交えて、補聴器との違いや利便性についてお伝えする。

日本におけるアルツハイマー病への多剤併用と有害事象との関連〜JADER分析

 アルツハイマー病は、世界的な健康関連問題であり、有病率が増加している。アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(AChEI)やNMDA受容体拮抗薬などによる現在の薬物治療は、とくに多剤併用下において、有害事象リスクと関連している。香川大学の大谷 信弘氏らは、アルツハイマー病治療薬の組み合わせ、併用薬数と有害事象発生との関係を調査した。Medicina誌2024年10月6日号の報告。  日本の医薬品副作用データベース(JADER)より、2004年4月〜2020年6月のデータを分析した。対象は、AChEI(ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン)またはNMDA受容体拮抗薬メマンチンで治療された60歳以上のアルツハイマー病患者2,653例(女性の割合:60.2%)。有害事象とアルツハイマー病治療薬の併用および併用薬数との関連を評価するため、ロジスティック回帰モデルを用いた。

「週末戦士」でも脳の健康に利点あり

 週に1〜2回しか運動をしない「週末戦士」でも、運動を全くしない人に比べると、高齢になったときの頭の回転の速さは定期的に運動をしている人と同等であることが、新たな研究で明らかになった。ロス・アンデス大学(コロンビア)スポーツ科学分野のGary O’Donovan氏らによるこの研究結果は、「British Journal of Sports Medicine」に10月29日掲載された。研究グループは、「本研究は、週末戦士の運動パターンと定期的な運動パターンの双方が、軽度認知症(MCI)のリスク低下に同程度の効果があることを示した初の前向きコホート研究だ」と述べている。

抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連

 抗てんかん薬が早期に処方されていた患者は、そうでない患者に比べて認知症発症リスクが低下する可能性を示唆するデータが報告された。横浜市立大学大学院医学研究科脳神経外科学の池谷直樹氏らが国内のレセプトデータを用いて行った解析の結果であり、「Alzheimer's & Dementia: Translational Research & Clinical Interventions」に9月10日、短報として掲載された。  アルツハイマー病をはじめとする神経変性疾患による認知症(変性性認知症)は、脳内でのアミロイドβやタウタンパク質の蓄積が主要な原因と考えられており、それらの変化は変性性認知症発症のかなり以前から生じていることが知られている。また、変性性認知症と関連しててんかん様の症状を来すことがあり、そのような病態に対しては抗てんかん薬が変性性認知症治療に対して現在使われている薬剤とは別の機序で、進行抑制に寄与する可能性が、基礎実験や小規模な症例報告で示されている。しかし、これまで大規模なデータを用いた研究で、その効果が示されたことがなかった。これを背景として池谷氏らはレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を用いたコホート研究を行った。

中年初期の質の低い睡眠は中年後期の脳の老化と関連

 入眠困難や睡眠維持困難などの睡眠の質の低下が認められる中年初期の人は、中年後期になると脳の老化が進んでいる可能性のあることが、新たな研究で示唆された。論文の筆頭著者である米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のClemence Cavailles氏は、「脳スキャンを用いて試験参加者の脳年齢を測定したわれわれの研究から、質の低い睡眠は、中年期の段階で、脳年齢の3年近くの加齢と関連していることが示唆された」と述べている。米国立老化研究所の資金提供を受けて実施されたこの研究の詳細は、「Neurology」に10月23日掲載された。