脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:43

片頭痛患者の血清尿酸値は痛みの強さに影響しているのか

 プリン体の最終代謝産物である尿酸は、抗酸化物質として作用し、酸化ストレスと関連している。血清尿酸(SUA)は、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、多発性硬化症などの神経変性疾患の病因と関連している可能性が報告されている。しかし、片頭痛とSUAレベルとの関連を評価した研究は、これまでほとんどなかった。トルコ・Istanbul Basaksehir Cam ve Sakura City HospitalのYavuz Altunkaynak氏らは、片頭痛患者の痛みの特徴とSUAレベルとの関係を調査し、頭痛発作中および頭痛がない期間における片頭痛患者のSUAレベルを対照群と比較検討した。その結果、片頭痛患者の発作中と発作がない期間のSUAレベルの差は、痛みの強さと正の相関を示していることが報告された。Medicine誌2023年2月3日号の報告。

なぜジャンクフードを食べたくなる?おやつに意外な効果も?

 高脂肪・高糖質の食品には中毒性がある。高脂肪・高糖質の食事は、エネルギーの過剰摂取と体重増加をもたらすが、その根底にあるメカニズムは明らかになっていない。また、肥満が脳内ドパミン神経系の変化と関連することが知られているが、これらの変化が、「太りやすい体質にしているのか」「肥満に伴って2次的に生じるのか」「欧米型の食事に直接起因するのか」は解明されていない。そこで、ドイツ・マックスプランク代謝研究所のSharmili Edwin Thanarajah氏らは、正常体重の健康成人を対象に、通常の食事に加えて高脂肪・高糖質のヨーグルトまたは低脂肪・低糖質のヨーグルトを8週間摂取させる無作為化比較試験を実施した。その結果、高脂肪・高糖質のヨーグルトの摂取は、低脂肪食品への嗜好性を低下させたが、高脂肪・高糖質のミルクセーキに対する脳の反応を増加させた。さらに、食事とはまったく関係のない連合学習能力も向上させた。これらの変化は、体重や代謝パラメータとは関係がなかった。本研究結果は、Cell Metabolism誌4月4日号に掲載された。

精神科病棟の認知症患者に対する音楽療法~レトロスペクティブ研究

 音楽療法は、地域および施設でケアされている認知症患者の気分を高め、興奮を軽減し、苦痛を伴う行動の減少が期待できる治療法である。しかし、精神科病棟に入院している認知症患者に対する音楽療法の影響はあまり知られていない。英国・アングリア・ラスキン大学のNaomi Thompson氏らは、2つの精神科病棟において認知症患者に対する音楽療法の影響を調査した。その結果、音楽療法を実施した日は実施しなかった日と比較し、苦痛を伴う行動が有意に減少し、音楽療法が患者の気分および興奮の軽減をサポートする価値ある介入であることが報告された。BJPsych Open誌2023年2月23日号の報告。

CTAで側副血行を確認の急性脳梗塞、6~24h後でも血管内治療は有効か/Lancet

 発症または最終健常確認から6~24時間(late window)の前方循環系主幹動脈閉塞による脳梗塞で、CT血管造影(CTA)により側副血行が確認された患者において、血管内治療は有効かつ安全であることが、オランダ・マーストリヒト大学医療センターのSusanne G. H. Olthuis氏らが実施した第III相試験「MR CLEAN-LATE試験」の結果、示された。前方循環系脳梗塞に対する血管内治療は、発症後6時間以内での有効性および安全性が確認されていた。著者は、「今回の結果は、主に側副血行路の有無に基づいてlate windowにおける血管内治療の対象患者を選択できることを支持するものである」と述べている。Lancet誌オンライン版2023年3月29日号掲載の報告。

アルツハイマー病治療薬lecanemab、病態進行を2~3年遅延/エーザイ

 エーザイは4月4日付のプレスリリースにて、同社の早期アルツハイマー病(AD)治療薬lecanemabについて、長期的な健康アウトカムへの影響をシミュレーション評価した結果が、Neurology and Therapy誌オンライン版2023年4月2日号に掲載されたことを発表した。本シミュレーションでは、lecanemabによる治療により、AD病態進行を遅らせ、患者が早期AD段階に留まる期間が延長され、QOL改善の可能性が示された。また、より早期の軽度認知障害(MCI)の段階で投与を開始した場合、病態進行を遅らせる効果がより大きい可能性も明らかとなった。

日本における若年性認知症の初期症状とは

 東京都健康長寿医療センター研究所の枝広 あや子氏らは、認知症のサブタイプごとに、若年性認知症の初期症状を調査した。その結果、若年性認知症はサブタイプにより初期症状の頻度に違いがあることが明らかとなった。著者らは、本結果が若年性認知症の初期症状に対する一般の人々の意識向上に貢献し、早期診断や社会的支援が促進されるだろうと述べている。Psychogeriatrics誌オンライン版2023年2月22日号の報告。  日本における全国的な人口ベースの若年性認知症有病率調査を実施した。データは、若年性認知症を有する人が利用する医療サービス提供者を通じて収集した。初期症状は、記憶障害、失語障害、易刺激性、意欲低下、職場や家庭でのミスの増加、それ以外の異常な行動や態度といった6つのドメインで評価した。

AD治療薬lecanemab、ARIAやQOL解析結果をAD/PD学会で発表/エーザイ・バイオジェン

 エーザイとバイオジェン・インクは3月31日付のプレスリリースにて、同社の早期アルツハイマー病(AD)治療薬の抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体lecanemabについて、第III相試験「Clarity AD試験」における最新の解析結果を、スウェーデンのイェーテボリで3月28日~4月1日に開催の第17回アルツハイマー・パーキンソン病学会(AD/PD2023)にて発表したことを報告した。lecanemab投与群では、プラセボ群よりアミロイド関連画像異常(ARIA)の発現率が増加したが、抗血小板薬や抗凝固薬の使用によるARIAの発現頻度は上昇せず、ARIA-H単独の発現パターンはプラセボ群と同様だったことが明らかとなり、QOLの結果からは、lecanemab治療が被験者と介護者に有意義なベネフィットをもたらすことが示された。

日本の食事パターンと認知症リスク~NILS-LSAプロジェクト

 日本食の順守が健康に有益である可能性が示唆されている。しかし、認知症発症との関連は、あまりよくわかっていない。国立長寿医療研究センターのShu Zhang氏らは、地域在住の日本人高齢者における食事パターンと認知症発症との関連を、アポリポ蛋白E遺伝子型を考慮して検討した。その結果、日本食の順守は、地域在住の日本人高齢者における認知症発症リスクの低下と関連しており、認知症予防に対する日本食の有益性が示唆された。European Journal of Nutrition誌オンライン版2023年2月17日号の報告。  本研究データはNILS-LSA(国立長寿医療研究センター・老化に関する長期縦断疫学研究)プロジェクトの一環として収集され、愛知県在住の認知症でない高齢者1,504人(65~82歳)を対象とした20年間のフォローアップコホート調査が実施された。

日本人の認知症タイプ別死亡リスクと死因

 近年の認知症に対する医療および長期ケアの環境変化は、疾患の予後を改善している可能性がある。そのため、認知症の予後に関する情報は、更新する必要があると考えられる。そこで、医薬基盤・健康・栄養研究所の小野 玲氏らは、日本における認知症のサブタイプ別の死亡率、死因、予後関連因子を調査するため、クリニックベースのコホート研究を実施した。その結果、日本における認知症サブタイプ別の死亡リスクや死因の重要な違いが明らかとなった。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2023年2月6日号の報告。

日本人の認知症リスクに対する喫煙、肥満、高血圧、糖尿病の影響

 心血管リスク因子が認知症発症に及ぼす年齢や性別の影響は、十分に評価されていない。大阪大学の田中 麻理氏らは、喫煙、肥満、高血圧、糖尿病が認知症リスクに及ぼす影響を調査した。その結果、認知症を予防するためには、男性では喫煙、高血圧、女性では喫煙、高血圧、糖尿病の心血管リスク因子のマネジメントが必要となる可能性が示唆された。Environmental Health and Preventive Medicine誌2023年号の報告。対象は、ベースライン時(2008~13年)に認知症を発症していない40~74歳の日本人2万5,029人(男性:1万134人、女性:1万4,895人)。