HER2+乳がん脳転移例、T-DXdで高い頭蓋内奏効率(TUXEDO-1)/ESMO BREAST 2022
活動性脳転移を有するHER2陽性乳がん患者において、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)で73.3%と高い頭蓋内奏効率が得られたことが、前向き単群第II相試験(TUXEDO-1試験)で示された。オーストリア・ウイーン医科大学のRupert Bartsch氏が、欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2022、2022年5月3~5日)で報告した。
HER2CLIMB試験では、活動性の脳転移を有するHER2陽性乳がんへのトラスツズマブ+カペシタビン+tucatinibの投与で、頭蓋内奏効率が47.3%、無増悪生存期間(PFS)中央値が9.5ヵ月だったことが報告されている。
今回のTUXEDO-1試験の対象は、トラスツズマブまたはペルツズマブの投与歴があり、即時の局所治療の適応がないHER2陽性乳がん患者で、新たに診断された脳転移(未治療)または局所治療後に進行した脳転移を有する15例。T-DXd 5.4mg/kgを3週ごとに投与した。主要評価項目はResponse Assessment in Neuro-Oncology(RANO)-BM基準で中央判定された頭蓋内奏効率、副次評価項目は頭蓋外奏効率、PFS、全生存期間、安全性、QOLなどであった。Simonの2段階デザインに基づき15例が登録され(第1段階:6例、第2段階:9例)、15例全例でT-DXdが1回以上投与された。