プリン体の最終代謝産物である尿酸は、抗酸化物質として作用し、酸化ストレスと関連している。血清尿酸(SUA)は、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、多発性硬化症などの神経変性疾患の病因と関連している可能性が報告されている。しかし、片頭痛とSUAレベルとの関連を評価した研究は、これまでほとんどなかった。トルコ・Istanbul Basaksehir Cam ve Sakura City HospitalのYavuz Altunkaynak氏らは、片頭痛患者の痛みの特徴とSUAレベルとの関係を調査し、頭痛発作中および頭痛がない期間における片頭痛患者のSUAレベルを対照群と比較検討した。その結果、片頭痛患者の発作中と発作がない期間のSUAレベルの差は、痛みの強さと正の相関を示していることが報告された。Medicine誌2023年2月3日号の報告。
片頭痛患者78例、病院職員よりランダムに抽出した健康な対照群78例を対象に、プロスペクティブ横断研究を実施した。頭痛の特徴(発作持続時間、痛みの強さ、頻度)および社会人口統計学的特徴を収集した。片頭痛患者では頭痛発作中および頭痛がない期間の2回、対照群では1回、SUAレベルを測定した。
主な結果は以下のとおり。
・片頭痛患者における頭痛がない期間のSUAレベルは対照群より高かったが、その差は統計学的に有意ではなかった。
・頭痛発作中および頭痛がない期間のSUAレベルの変化に、性差は認められなかった。
・年齢、片頭痛の持続時間、頻度、間隔と痛みの強さの関連を調査したところ、女性の片頭痛患者においてSUAレベルの差は痛みの強さと弱い相関が認められ(p<0.05、R>0.250)、男性の片頭痛患者では中程度の相関が認められた(p<0.05、R>0.516)。
・頭痛がない期間と比較した頭痛発作中のSUAレベルの差に痛みの強さとの正の相関が認められたことから、SUAはその抗酸化作用により片頭痛に関与している可能性が示唆された。
(鷹野 敦夫)