統合失調症の治療において、再発を予防することは極めて重要な課題である。Leucht氏らは抗精神病薬の再発予防への影響を分析した。
統合失調症患者の維持治療期おける65件のプラセボ対照無作為化試験から得られた116件の報告より6,493名の患者データを抽出した。主要評価項目は7~12ヵ月後の再発率とし、忍容性や機能的な影響に関しても調査した。
主な結果は以下のとおり。
1)抗精神病薬投与群ではプラセボ群と比較して1年後の再発率を有意に低下させた(27% vs 64%、リスク比=0.40(95%信頼区間=0.33-0.49)、number needed to treat to benefit(NNTB)=3(95%信頼区間=2-3))。
2)抗精神病薬投与群では再入院率は低かった(10% vs 26%、リスク比=0.38(95%信頼区間=0.27-0.55)、NNTB=5(95%信頼区間=4-9))。
3)抗精神病薬投与群で良好なQOL(両群間の変化差=-0.62(95%信頼区間=-1.15 to -0.09))、攻撃性の低下(2% vs 12%、リスク比=0.27(95%信頼区間=0.15-0.52)、NNTB=11(95%信頼区間=6-100))が認められた。
4)抗精神病薬投与群では体重増加(10% vs 6%、リスク比=2.07(95%信頼区間=2.31-3.25))、運動障害(16% vs 9%、リスク比=1.55(95%信頼区間=1.25-1.93))、過鎮静(13% vs 9%、リスク比=1.50(95%信頼区間=1.22-1.84))が多く認められた。
5)サブグループ解析の結果、エピソード数、寛解率の有無、治療中止方法、症状安定期間、第1世代または第2世代抗精神病薬使用状況、無作為割り当て方法に関しては有意な影響を及ぼさなかった。
6)デポ剤投与患者では経口剤投与患者と比較して再発率が低かった(リスク比=0.31(95%信頼区間=0.21-0.41))。
7)抗精神病薬の効果は非盲検下の2試験においてより大きかった。
8)メタ回帰分析では、抗精神病薬投与群とプラセボ群の差は試験期間により減少した。