遺伝子タイプは一生にわたって変化しないため、青年期の時点から2型糖尿病の高リスク例を同定できる可能性がある。
Vassy JL氏らは、遺伝子スコアに基づく糖尿病予測モデルが、臨床上の危険因子のみに基づく糖尿病予測モデルを上回る可能性があるとして、検討を行った。
この結果、遺伝子スコアに基づく糖尿病予測モデルは、白人および黒人の若年成人における、25年にわたる2型糖尿病の発症を予測するが、臨床上の危険因子に基づく糖尿病予測モデルを超えるには至らない、ということが明らかになった。Diabetologia誌オンライン版2012年7月11日付に報告されたCARDIA研究(The Coronary Artery Risk Development in Young Adults study)の結果。
対象は、若年成人(18~30歳、平均年齢:25歳)で、成人期半ばまで経過観察が行われた。38の遺伝子多様体(variant)スコアの有無別に、青年期に評価された臨床上の危険因子(年齢、性別、人種、糖尿病の家族歴、BMI、平均動脈圧、空腹時血糖値、HDLコレステロール、TG)に基づく2型糖尿病の予測モデルを用いてCox回帰分析を行った。
これらモデルは、C統計量と連続的な純再分類改善スコア(NRI)とで比較された。
主な結果は以下のとおり。
・2,439人の参加者のうち、830人(34%)は黒人で、ベースライン時BMI≥30kg/m2が249人(10%)であった。
・フォローアップ期間(平均23.9年)の間に、215人(8.8%)の参加者が、2型糖尿病を発症した。
・全モデルにおいて遺伝子スコアは、有意差をもって糖尿病発症を予測した。ハザード比は1.08(95%CI:1.04~1.13)であった。
・全モデルで遺伝子スコアによる、再分類改善傾向がみられた(連続的NRI:0.285、95%CI:0.126~0.433)。しかし、有意差はなかった(C統計:遺伝子スコアあり0.824、遺伝子スコアなし 0.829)。人種層別解析も同様の結果であった。
(ケアネット 佐藤 寿美)
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