骨粗鬆症治療薬アドヒアランス良好でも骨折リスクが高い患者の特性が明らかに

提供元:ケアネット

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公開日:2012/11/07

 

 骨粗鬆症治療薬アレンドロネートの服薬遵守により過剰なリスクは軽減されるが、多くの患者の骨折リスクは高いまま残存する。南デンマーク大学のAbrahamsen B氏らは、それら患者の特性を明らかにするため、全国処方レジストリデータを分析し、骨粗鬆症性骨折の新たなリスク因子の同定を行った。その結果、一般集団やFRAX評価集団と比べリスク因子のパターンがやや異なる結果が得られ、一部患者(潰瘍性疾患、認知症)で正しく服用されていない可能性があること、男性さらにグルココルチコイド服用者ではリスクが低いことなどが明らかとなったと報告した。Osteoporos Int誌オンライン版2012年10月16日号の掲載報告。

 デンマーク全国処方レジストリのうち、3万8,088例のアレンドロネート新規服用者を同定し分析した。

 処方薬入手率>80%の患者における、初回処方後6ヵ月以降の重大骨粗鬆症性骨折をアウトカムとし評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・1,072例(5.5%)が、重大骨粗鬆症性骨折を有した。
・リスクは年齢とともに増大したが、男性のほうが低かった。
・最も重大なリスク因子は、同時服薬の薬剤数であった[各薬剤に対するハザード比(HR):1.04、95%CI:1.03~1.06]。
・認知症(HR:1.81、95%CI:1.18~2.78)、骨折既往(1回/ 同1.17、1.02~1.34、複数回/ 1.34、1.08~1.67)、潰瘍性疾患(同1.45、1.04~2.03)も、リスクの増大がみられた。
・糖尿病、リウマチ性疾患については骨折リスクに影響しなかった。
・グルココルチコイド服用者は、リスクが低かった(HR:0.78、95%CI:0.65~0.93)。

 著者らは、この結果はあくまで観察的研究であり因果関係は不明であるとしながらも、骨折リスク因子に認知症や潰瘍性疾患、パーキンソン病を含めるべきだと結論した。

(ケアネット)