植物油と糖代謝異常の関連~日本人での検討

提供元:ケアネット

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公開日:2013/06/13

 

 脂肪酸は、糖尿病の発症に関与することが示唆されている。しかし、n-3系多価不飽和脂肪酸の豊富な魚を大量に消費する日本人において、その関連性は不明である。国立国際医療センター臨床研究センターの黒谷佳代氏らは、18~69歳の日本人勤労者1,065人における横断的研究により、個々の食餌脂肪酸および食餌脂肪酸パターンと糖代謝異常との関連を検討した。その結果、植物由来の脂肪酸が日本人成人の糖尿病発症を防ぐ可能性が示唆された。PLoS One誌2013年5月31日版に掲載。

 糖代謝異常の定義は、糖尿病歴があり、糖尿病治療薬を使用中で、空腹時血糖110mg/dL (6.1mmol/L)以上もしくはヘモグロビンA1c 6.0%(42mmol/mol)以上の人とした。食事の摂取は自記式食事歴法質問票で評価した。食餌脂肪酸パターンは主成分を分析し、その特徴から3パターンに識別した(植物油パターン、魚油パターン、肉由来パターン)。個々の脂肪酸および食餌脂肪酸パターンの三分位カテゴリーによる糖代謝異常のオッズ比は、潜在的交絡因子を調整しロジスティック回帰を用いて推定した。

 主な結果は以下のとおり。

・多価不飽和脂肪酸、n-6系脂肪酸、リノール酸、オレイン酸について、それぞれ摂取量が多いほど、糖代謝異常の有病率が有意に低かった(それぞれ、傾向のp=0.03、0.01、0.02、0.04)。α-リノレン酸の摂取は、糖代謝異常の有病率減少と若干関連していた(傾向のp=0.12)。

・3つの脂肪酸パターンのうち、植物油パターン(α-リノレン酸、リノール酸、オレイン酸の摂取が多いことが特徴)は、スコアが高いほど糖代謝異常の有病率が低かった(傾向のp=0.03)。ほかのパターンではこの関連は認められなかった。

(ケアネット 金沢 浩子)