腰痛改善に地域薬局が重要なポジション

提供元:ケアネット

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公開日:2013/09/18

 

 腰痛に対するプライマリ・ケアの玄関口として、地域の薬局が重要な役割を担えることが明らかとなった。オーストラリア・カーティン大学のHelen Slater氏らによるクラスター無作為化比較試験において示されたもので、地域薬局を利用している腰痛患者のうちパンフレットを提供された患者は職業性腰痛に関する考え方が改善していたという。地域薬局はエビデンスに基づいた情報を提供するのに適しており、こうした簡単な介入が治療の一部として有用であることが示唆されたと報告している。PLoS One誌オンライン版2013年8月20日の掲載報告。

 研究グループは、地域薬局を利用する腰痛患者の腰痛に対する考え方を改善できるかどうかについて、エビデンスに基づいた情報提供(パンフレット)による介入の有効性を検討した。

 地域薬局35施設が、パンフレット提供とともに患者教育を行う(PE)群(11施設)、パンフレット提供のみを行う(PO)群(11施設)、通常ケア(対照)群(13施設)の3群に無作為に割り付けされ、それぞれの薬局において割り付けに即した介入が行われた。研究に参加した患者は、現在腰痛のために薬局を利用している18~65歳の317例であった。

 検討では、介入前、介入2週後および8週後に、腰痛に対する考え方を評価する質問票(BBQ:Back Pain Beliefs Questionnaire)、恐怖回避思考質問票(FABQ:Fear Avoidance Beliefs Questionnaire)などを用いて評価した。なお、研究代表者、評価者および統計学者は盲検化され、薬局のスタッフおよび患者は非盲検であった。

 主な結果は以下のとおり。

・BBQスコアは、介入2週後および8週後のいずれも、パンフレット提供群(PE群+PO群)と対照群との間で有意差はなく、PE群とPO群との間も有意差は認められなかった。
・FABQの職業関連の恐怖心に関するスコアは、パンフレット提供群(PE群+PO群)で対照群より有意に低かった(群間差:-2.3、95%CI:-4.4~-0.2)。PE群とPO群との間に有意差は認められなかった。
・パンフレットの有効性に関する全般的印象度は、PE群がPO群より高値であった(群間差:0.9、95%CI:0.0~1.8)。

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(ケアネット)