てんかん治療で新たな展開、患者評価にクラウド活用

提供元:ケアネット

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公開日:2013/12/24

 

 多様な電気生理学的シグナルのデータが急速に増えており、てんかんや睡眠障害など多岐にわたる疾患の患者ケアおよび臨床研究に重要な役割を果たしている。これらデータの2次利用を促進するため、多施設共同研究のontology(概念体系)と同様、新しいアルゴリズムの開発ならびにクラウドコンピューティング技術を用いた新たな情報科学的なアプローチが急務とされている。米国ケース・ウェスタン・リザーブ大学のSatya S Sahoo氏らは、クラウドコンピューティング技術を用いた新たな情報科学的アプローチの有用性を明らかにするため、てんかん患者のデータに基づく心臓パラメータの算出を、従来デスクトップ上で行っていたアプローチと「Cloudwave」を活用したアプローチを比較した。その結果、後者は、大規模な電気生理学的データを活用しうる新しいアプローチであることを報告した。Journal of the American Informatics Association誌オンライン版2013年12月10日号の掲載報告。

 「Cloudwave」は現在、てんかん患者における突然死のリスク因子を特定するための「National Institute of Neurological Diseases and Stroke(NINDS)-funded Prevention and Risk Identification of SUDEP(sudden unexplained death in epilepsy)Mortality(PRISM)」プロジェクトにおいて使用されている。本稿では、(a)MapReduce parallel programming frameworkによる心臓パラメータ算出のための並列化されたアルゴリズムの明確化、(b)大量の電気生理学的シグナルとの相互作用のリアルタイムでのサポート、(c)シグナルの視覚化、およびontology下のWebベースのインターフェースを用いた処理要求を文字列として表す機能などを実現したCloudwave platformを紹介している。研究グループは、てんかん患者のデータに基づく心臓パラメータ(QRS波、RR間隔、瞬時心拍数など)の算出にあたり、Cloudwaveと従来デスクトップで行っていたアプローチを比較評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・評価の結果、Cloudwaveは従来のデスクトップで行っていたアプローチに比べ、1チャネルECGデータについては一桁の改善(向上)、4チャネルECGデータについては20倍の改善(向上)が認められた。
・これにより、Cloudwaveはユーザーのシグナルデータとの相互作用(てんかんと発作の新しいontology)について、リアルタイムでサポートが可能となることが示唆された。
・一方で著者は「Amazon Web Services などのcloud infrastructureおよびcloud platformsの使用にあたり、データのプライバシーは重要な課題である」と指摘し、「Health Insurance Portability and Accountability Act(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法令)の標準を認識しておくべきである」と提言している。そのうえで「Cloudwave platformは、多施設臨床研究の推進にあたり大規模な電気生理学的データを活用しうる新しいアプローチである」とまとめている。

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(ケアネット)